アメリカの貿易政策、政権内に不協和音

NAFTAに抗議する人々

Brandi Simons/Getty Images

貿易政策に対するトランプ大統領の攻撃的な姿勢はぶれないが、彼の側近たちの考えは割れている。

メディアが報じた北米自由貿易協定 (NAFTA)再交渉に関する政府原案の内容を、トランプ大統領のショーン・スパイサー広報官が一蹴した一件からも、不協和音がうかがえる。

ウォール・ストリート・ジャーナルが 「政府がNAFTA再交渉で保護主義姿勢を軟化させ、小幅な修正にとどめる」ことを示唆する原案を入手し、報じたことについて、 スパイサー広報官はこう述べた。

「こういった文章や記事の中に確かなことは1つもない。政府の意向とはまったく異なるもので、我々の状況を正しく理解していない」

同じ日、ウィルバー・ロス商務長官は貿易政策に関して、アメリカが特定の国々と貿易赤字を抱えている理由を明らかにするための90日間の「調査」を行う大統領令の署名に言及した。この非現実的な取り組みついて、多くの経済学者は、国際貿易の仕組みに関する理解が著しく欠けていると批判している。

一方、1月19日の大統領就任式前日に財務長官に指名された、元ゴールドマン・サックス幹部でハリウッド映画プロデューサーのスティーブン・ムニューチン(Steven Mnuchin)氏は、選挙中のトランプ大統領の公約だった保護主義を重要なものとしてとらえていない。

つまり、貿易政策には政権内でも強硬派と柔軟派が存在する。では誰を信じるべきなのか。ほかの全ての政策と同様、最終的な決定権を握るのは大統領だ。そしてトランプ大統領の貿易政策に対する方針は大して変わっていない

トランプ大統領は大統領選挙中、対メキシコ、中国の関税引き上げを約束し、中国を「為替操作国」と呼んだ。またメキシコ人を犯罪と製造業の雇用喪失の原因だと非難を続け、アメリカとメキシコの国境に壁を築くことを誓った。トランプ大統領はこれらの公約の実行に踏み切ってはいないが、彼の(メキシコに対する)敵意は同国とアメリカとの関係を緊張させている。

大統領顧問らの意見が食い違っているとしても、大統領自身の姿勢は一貫しているということだ。

[原文:Trump's team is all over the place on trade — but one message is clear

(翻訳:小池祐里佳)

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