ソフトバンク「携帯事業会社 上場」報道で騒然、学割施策の発表会は緊張含み

ソフトバンク

ソフトバンクグループは1月15日、「当社子会社の上場に関する報道について」と題したプレスリリースを公開。日本経済新聞が報じた同社子会社で通信事業者のソフトバンク社の年内上場について「株式上場もその選択肢の一つですが、正式に進めることを決定した事実はありません」と答えた。

ソフトバンクのリリース文

ソフトバンクのリリース文(タップするとリリース文に遷移します)。

ソフトバンクは現在、「ソフトバンク」と「ワイモバイル」の2種類のブランドで国内通信事業を展開。そのほかにも、「ソフトバンク光」や「Yahoo! BB」など個人向け固定回線サービスも提供している。従業員数は約1万7200人(2017年3月末現在)、代表取締役会長は孫正義氏、代表取締役社長兼CEOは宮内謙氏がつとめている。日本経済新聞によると、想定される資金調達額は2兆円程度。仮にこの上場が実現すれば、過去最大規模の新規株式公開となるという。

「上場」報道の緊張の中で新キャンペーンを発表

ソフトバンク 学割2018

新キャンペーン「学割先生」などを発表したソフトバンク代表取締役副社長兼COOの榛葉淳氏。

未明の「上場」報道の翌朝、ソフトバンクは2018年の学割キャンペーン発表会を開催した。

登壇した代表取締役副社長兼COOの榛葉淳氏は、記者からの質疑応答時間の前に「報道発表した内容以上のコメントは差し控える」と上場報道への質問を牽制。結果として、榛葉氏への囲み取材などもなく、発表会は学割のみの説明に終始する進行で行われた。

年始から3月にかけては、ソフトバンクに限らず携帯通信事業者各社が学生などの若者向け需要を獲得するための重要な商戦期だ。今回のソフトバンクの新キャンペーン「学割先生」では、生徒・学生だけではなく教師も学割の対象となり、月額料金の割引やプレゼントキャンペーンの優遇が受けられる。

ソフトバンク 学割先生

「学割先生」キャンペーンとして、写真左より志尊淳さん、生瀬勝久さん、竹内涼真さん、壇蜜さんを起用した新CMも公開された。

なお、今回発表になった学割先生の概要は以下の5点だ。

  • 学割先生に申し込むと最大1年間、月々の通信費から毎月1250円割引。
  • 毎月50GBの通信料が利用できる「ウルトラギガモンスター」(月額7000円)への加入が必要。
  • 申し込めるのは25歳以下の生徒・学生もしくは先生(公立学校共済組合か私立学校教職員共済の証明書が必要)とその家族。
  • 家族が新規で加入する場合は、さらに学生・先生の月額料金から1000円割引(最大1年間)。
  • 「スマホデビュー割」でiPhone 8/8 Plusが特別価格になるが、学割先生とは併用できない。

ちなみに、新機種・iPhone Xはこの学割先生の対象だが、ソフトバンク広報によれば「iPhone Xと8/8 Plusシリーズでの販売差はほとんどないが、学生やそれを買う親御さんは価格的な面でiPhone 8/8 Plusを選ばれているという認識」と答えている。

差別化の少ない国内通信事業でどのように個性を出していくか

しかし、これらのキャンペーンは程なくして他社も追従し、多少差異はあるものの似たようなキャンペーンになるのが通信業界の常。現時点でも、ドコモとauの2キャリアもすでに独自の学割施策を発表済みだ。

ソフトバンクは今回、株式上場に関する可能性までは否定しなかった。上場するにせよ見送るにせよ、格安SIMや大手サブブランドが人気の中で、大手キャリアの「差別化」が重要なポイントになるのは間違いない。「学割」がどう受けるのか、市場の反応は今後も注目していく必要がある。

(文、撮影・小林優多郎)

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