Fbグループを獲得に活用、英紙「タイムズ」の取り組みは成功するか?

ロンドンを本拠とする英国の全国紙タイムズ(The Times of London)が、新しい読者を獲得し、ゆくゆくは購読者になってもらうため、各テーマに特化したFacebookグループの実験を進めている。

ニューズUK傘下のタイムズは、この半年間に3つのFacebookグループをスタートさせた。1つ目はブレグジットに着目した「52 | 48」。ローンチは4月で、メンバー数は1300人を超えている。残りの2つはその2カ月後にスタートした。「ファースト・エディション(First Edition)」という本好きのグループ(1200人強)と、「スクリーン・タイムズ(Screen Times)」という映画マニア向けのグループ(約400人)だ。タイムズによると、52 | 48のメンバーの89%は毎月、グループにエンゲージメントメント――投稿、いいね、コメント――を残している。

ブレグジットのグループは、実際のミーティングにもつながった。貴重な貢献を一貫して行っているとタイムズが感じたメンバー5人を、カナリー・ワーフにあるニューズUKのオフィスに招待し、このFacebookグループに関するフィードバックを求めたのだ。このミーティングでは、政治記者のヘンリー・ゼフマン氏、ポリシー編集者のオリバー・ライト氏、コラムニストで元スピーチライターのフィリップ・コリンズ氏らと、ブレグジットに関して議論するセッションもあった。現在、どのグループも、メンバーとのミーティングをさらに行う――1月の実施を計画中――ことと、ジャーナリストがもっと定期的に議論に加わるようにすることを目指している。

コメントよりもFBグループ

タイムズのFacebookグループを運営するのは、ソーシャルメディアのジャーナリスト5人。リンク、Webサイトから集めた世論調査、図表、イラストなどを、議論の口火になるように企画し、各グループにつき1日4件まで投稿している。「グループでは教師にはなりたくない。我々が議論を運ぼうとは必ずしも思っておらず、調整に努めている」と語るのは、タイムズとサンデー・タイムズ(The Sunday Times)でオーディエンス開発の責任者を務めているベン・ホワイトロー氏。「グループは、記事やテーマをもっと際立たせるための我々の武器なのだ」。

タイムズのFacebookグループ

タイムズのFacebookグループでは、各投稿にコメントが数十件つくことが多い

スクリーン・タイムズとファースト・エディション――書籍とペットの画像が多い――は、投稿したコンテンツについて議論が対立するようなことはそこまでないが、その熱量ではブレグジットのグループに負けておらず、ことによるとそれ以上かもしれない。いずれのグループも、投稿には通常、数十件のコメントが集まる。

タイムズは、Webサイトの記事ページにコメントする人たちを重視し、ほかの出版社と同じように、もっとも関心の高い訪問者だと考えているものの、ホワイトロー氏によると、記事の下にコメントをしていく形よりFacebookグループのほうが議論を続けていくのには適している。Webサイトの記事へのコメントは、新しい記事が公開されると目立たなくなるという理由で、読者からの苦情もきているのだ。またホワイトロー氏によると、Facebookのほうが、人々が素性を包み隠さない傾向があり、Webサイトでのコメントだと、実名が使われる可能性が低くなるという。

グループ参加者の傾向

タイムズのFacebookグルーブに参加することを選んだ人は、概してタイムズのコンテンツを多く読む人であり、つまり、タイムズに登録して、記事を週に2本、無料で読めるようにしていることが多い。そして、ブレグジットのグループの参加者が特に関心があるのは、ホワイトロー氏によると閣僚たちの働きぶりだ。

「タイムズなどの報道から、ボリス・ジョンソン(英外相)やテリーザ・メイ(英首相)の浮き沈みを描くのが大好きな人たちだ」とホワイトロー氏。「(残留に投じた人にしろ脱退に投じた人にしろ)人々の心のなかをうかがえる。そこで起きていることを把握して、それを編集会議に持ち込むことができる」と、同氏は語った。

タイムズは来年早々、これらのエンゲージメントチャネルの購読者獲得への効果について、さらに分析することを計画している。Facebookはグループメンバーに関するデータをあまり提供していないので、どのメンバーがタイムズの購読者なのかについてタイムズは大規模な調査はまだ実施していない。

読者と正面から向き合う

タイムズが規則を破りそうになったグルーブメンバーに注意をしなければならなかったのは、この半年でわずか4回だった。1回は、軽蔑するような言葉を使わないように注意をした。また、メンバーの1人が、ブレグジット阻止という自分のキャンペーンの宣伝にグループを使ってはならないと注意を受けたことがあった。問題行為の少なさについて、ホワイトロー氏は、グループに参加したい人たちをタイムズが1人ずつ許可しており、許可を判断するためにグループのテーマに関する質問をすることもあるからではないかとみている。これは英経済誌「エコノミスト(The Economist)」も同様で、米国の政治に関するエコノミストのクローズドなFacebookグループは、メンバーが1800人を超えるまでに成長している。

「(出版社が)このように読者に正面から向き合うのに意欲的なことはあまりない」とホワイトロー氏は語る。「我々の製品をどう使っているのか、どんなジャーナリストを好きなのかなど、我々のあらゆる仕事に読者を組み入れていくよいきっかけになっている。大事なのはコメント数だけではない」。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)

DIGIDAY[日本版]より転載(2018年1月10日公開の記事

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