先制攻撃するなら、金正恩氏の専用トイレを狙え —— 軍事専門家が指摘

金正恩氏

左上の金正恩氏の車の後ろに見える茶色の小屋が、同氏専用のポータブル・トイレと考えられている。ミサイルの発射実験に立ち会う際、しばしば近くに置かれている。

KCNA/Reuters

  • 軍事専門家のジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)氏は、アメリカは金正恩氏に脅威を与えるため、同氏専用のトイレを空爆すべきだとのコラムを書いた。
  • ルイス氏のアイデアは一見ジョークのようだが、アメリカが検討しているとされる「ブラディ・ノーズ(鼻血)」作戦を確実に遂行するために、必要な考え方を示している。
  • ルイス氏や他の専門家らは、金正恩氏がミサイルの発射実験に立ち会う際に、専用のポータブル・トイレを持ち込んでいることを発見している。これをピンポイントで爆撃することで、アメリカはそのスキルの高さと正確さを見せつけることができるだろう。

北朝鮮問題の権威は、その指導者に対する型破りな攻撃を提案した。

アメリカのカリフォルニア州モントレーにあるミドルベリー国際大学の東アジア不拡散プログラムのディレクターで、ブログ「The Arms Control Wonk」の設立者でもあるジェフリー・ルイス氏は、アメリカが金正恩氏の専用トイレを爆撃することを提案した。

ウェブニュース「デイリー・ビースト(Daily Beast)」に掲載されたルイス氏のこの案は、アメリカの北朝鮮に対する先制攻撃が取り沙汰される中、それにこたえる形で示されたものだが、特定のメッセージを送るために武力行使をするという動機とその危険性を示している。

北朝鮮への先制攻撃をめぐる報道が増えているのは基本的に、アメリカ政府が北朝鮮の度重なる抵抗に嫌気が差し、限定的な攻撃を実施することでこれに応じたいと考えているからだ。

理論上は、自国よりも弱い敵対国への武力行使は、相手国にその責任を認識させる。ただ、北朝鮮はアメリカの小規模な攻撃も防ぎ切れないだろうが、そもそも守るつもりもなさそうだ。

その軍事的な姿勢は、一貫して攻撃的だ。北朝鮮にとって、自国に対する巡行ミサイル攻撃や空爆を止めることはできなくても、2500万人が暮らす韓国の首都ソウルを砲弾で攻撃し始めるのは簡単なことだ。

ルイス氏は、先制攻撃のアイデアには一部メリットはあるものの、北朝鮮にとってある程度の痛手となり、かつ金正恩氏が戦争の口火を切るほどではない攻撃目標を見つけるのは難しいと考えているようだ。同氏はデイリー・ビーストにこう書いている。

「限定的な軍事攻撃のオプション『ブラディ・ノーズ』作戦を考えたとき、その最大の課題は、どの攻撃目標が金正恩氏の『鼻』に見合うかを特定することだ —— 同氏に脅威と屈辱を与える攻撃目標ではあるが、核兵器による報復に踏み切らせるような大規模攻撃とはならないターゲットだ」

そこでルイス氏は、戦略的な重要度はほとんどないが、正恩氏個人に大いに関わりのあるターゲットを挙げた。同氏専用のポータブル・トイレだ。

金正恩氏はほぼ毎回、北朝鮮のミサイルの発射を専用のトレーラーから見学している。発射実験は通常、周辺に何もない場所で行われるため、最高指導者にふさわしい専用のポータブル・トイレといった設備を持ち込む必要がある。

双眼鏡を除く金正恩氏

KCNA Watch

「ポータブル・トイレを破壊することは、金正恩氏のための高価な設備を否定し、アメリカの精密兵器の驚くべき正確さを見せつけることで、同氏とその取り巻きに危機感を与える。そして、『お前が用を足している間に、我々はその命を奪うことができる』という間違えようのないメッセージを送ることができる」と、ルイス氏は書いている。

自身のアイデアについて、同氏は「コメディーであり、アクション映画だ」としているが、米軍はおそらく笑っていないだろう。

ルイス氏のアイデアは一見ジョークのようだが、特定のメッセージを送るために武力行使する際の、ターゲットの選び方をよく表している。口頭、外交、経済、さまざまな手段を通じて北朝鮮にメッセージを伝えようという国際社会の度重なる試みが失敗する中、トランプ政権はこれまでにないほど、軍事行動のオプションを主張している。

[原文:Top North Korea expert makes the case for the US bombing Kim Jong Un's personal toilet]

(翻訳/編集:山口佳美)

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