パティ・マッコード氏は、従業員にとっても企業にとっても、健全なことだと言う。
Patty McCord
- ネットフリックス(Netflix)では、従業員が他社の面接を受け、そこから何を学んだか、上司と話し合うことが奨励されている。
- 同社の元最高人材責任者パティ・マッコード(Patty McCord)氏は、そうすることで自身の価値を知り、キャリア上の目標が明確になると言う。自社で雇うべき新たな人材を見つけることにもつながる。
- 会社はチームだ。家族ではない。本来、互いに義理立てする必要などないのだ。
ネットフリックスの人事管理は論理的だが、手厳しい。
出世するためには、一生懸命努力するだけでは足りない。成果が上がらなければ、去るのみだ。成果を上げていたとしても、会社がさらに上を目指していれば、職を追われる可能性もある —— 充実した退職手当は見込めるとしても。
パティ・マッコード氏は、こうした多くの型破りなマネジメント手法を、自身の最新の著書『Powerful: Building a Culture of Freedom and Responsibility(パワフル:自由と責任の文化を作る)』で紹介している。マッコード氏はネットフリックスの元最高人材責任者で、現在は自身のコンサルティング会社を経営している。
中でも最も衝撃的なのは、ネットフリックスが従業員に他社の面接を受けるよう、積極的に奨励しているということだ。
Business Insiderでは、その背景にあるロジックをマッコード氏に尋ねた。
1. キャリア上の目標が明確になる
「わたしの経験からすると、人は自分の上司よりも、見ず知らずの他人に対して、より素直になる傾向があります」マッコード氏は言う。
「あなたは会社がどんな言葉を期待しているか、分かっているでしょう。でも、相手が見ず知らずの他人で『どんなことがやりたい? 』と聞いてくれば、あなたも『実は、いくつかアイデアがあって……』と答えるのではないでしょうか」
2. 自分の価値を知り始める
「他の企業にとって自分がどのくらいの価値があるのか、あなたは知りたいはずです。それが今の待遇の良し悪しを判断する基準になるからです」
マッコード氏は特に女性に対して、他の企業を見て回るようアドバイスしている。「他の仕事の面接を受けたからといって、夫を裏切っているような気分になる必要はありません。市場で何が起きているか、探っているだけです」
3. ネットワークが広がる
「例えば、その会社に実際転職する気がなかったとしても、面接で会った人たちを好ましいと思うかもしれません」マッコード氏は言う。「だとすれば、あなたは自分の会社への転職者候補を見つけたことになります。全てはネットワーキングなのです」
4. 今の会社の良さに気付く
「隣の芝が青く見えないこともあります」マッコード氏は言う。
「他社の面接を受けた後、戻って来て『あの会社はもっとかっこよくて、もっとチャンスがあると思ってたけど、実際そこへ行って座ってみたら、今やっている仕事が実はとても好きだと気付いたよ。喜んでここに残りたい』と言った人たちもいました」
マッコード氏はすでにネットフリックスを離れているが、こうした面接は今も奨励されている。同社ウェブサイトの「カルチャー」のセクションには、こう書かれている。「ネットフリックスを去った人が他の企業にすぐに採用されていることは、我々にとって励みだ。社外で時々面接を受けるのは健全なことで、従業員がそこで何を学んだか、上司と話すことを我々は奨励している」
社外での面接は有益だとするマッコード氏の主張は、同氏の哲学 —— (会社は)チーム作りであり、家族ではない —— に通じるものだ。会社に従業員を雇い続ける義務はないし、同じように、従業員が会社に残る義務もない。
厳しい? その通りだ。
だが興味深いことに、ネットフリックスは2017年、人々が働きたいテック企業ランキングと、従業員が選ぶ良い大企業ランキングで、それぞれ9位につけている。どちらもその透明性の高さが評価されたのかもしれない。
[原文:Netflix encourages employees to interview at other companies — here's why]
(翻訳/編集:山口佳美)