東シナ海で炎上するイラン企業所有のタンカー「サンチ(Sanchi)」。1月13日。撮影:上海マリタイム・サーチ・アンド・レスキュー・センター、提供:China Daily。
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- 10万トン以上の原油を積んだイラン企業所有のタンカーが、東シナ海で香港船籍の貨物船と衝突、日本の排他的経済水域(EEZ)内で沈没した。
- 衝突による爆発で、数千トンの原油が流出。
- タンカーが運んでいたのはコンデンセート。これは超軽質原油の一種で重質原油よりも除去が困難。
- 原油の流出がどれほどの規模になるか、海洋にどのような影響を与えるかはまだ分からない。
東シナ海での原油流出事故は、今や2010年に石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」が引き起こしたメキシコ湾原油流出事故以来の最悪の規模になっている。
全長900フィート(約274メートル)のイラン企業所有のタンカー「サンチ(Sanchi)」は、10万トンを超えるコンデンセート(超軽質原油の一種)を運搬中の1月初めに香港船籍の貨物船と衝突、爆発炎上した。乗組員32人は全員が行方不明、大量の原油が東シナ海に流出した。
1月14日(現地時間)、タンカーは衝突から8日経って日本の排他的経済水域(EEZ)内で沈没した。
中国国家海洋局は、原油の流出はこの週末で3倍以上に広がったと発表。現在、油膜は3方向以上に広がり、その面積は約332平方キロメートルにおよぶ。17日時点の約101平方キロメートルから3倍以上に広がった。
爆発でかなりの原油が燃え尽きたと見られているものの、流出がどれほどの規模になるかまだ分からない。
衝突により爆発、タンカーはその後、数日間燃え続けた。
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救難船が現場に向かい、消火作業にあたった。
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3隻の救難船が活動、流出の規模が分かる。
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コンデンセート(超軽質原油)は、ディープウォーター・ホライズンやエクソン・バルディーズ号原油流出事故のときの重質原油よりも除去が困難。
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コンデンセートは可燃性が高いため、従来の除去方法ではかなり危険性が高くなるとアトランティックは伝えた。
またコンデンセートは油膜として長期間留まっていないため回収が難しくなる。有害成分が大気中に蒸発、あるいは海に溶ける。
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さまざまな海の生き物に悪影響をおよぼす。有害成分は何カ月も海中に留まり、低濃度でもガンや他の合併症を引き起こす可能性があるとバズフィードは伝えた。
グリーンピースによると、タンカーが沈没したエリアは重要な漁場。
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コンデンセートの大規模な流出事例は数が少ないため、環境への長期的な影響については分からないことが多い。
日本、中国、イランは救助活動を続けている。だがまだ3人の遺体を発見しただけ。
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出典 : The Guardian
(翻訳/編集:増田隆幸)