仮想通貨のマイナー(採掘者)には、大量のプロセッサー、プロセッサーを冷やすシステム、そしてそれらを動かす大量の電力が必要。
Thomson Reuters
- 仮想通貨マイナーは、通常はPCゲームに使う高性能グラフィックカードを買い占めている。
- その結果、グラフィックカードの購入は非常に難しい状況に。2倍、3倍に値上がりしているケースもある。
- エヌビディア(Nvidia)は小売業者に対して、仮想通貨マイナーよりもPCゲームユーザーを優先するように求めている。
ゲーム用PCの自作は難しい状況になっている。
ゲーム用PCを実際に自作することは、以前より簡単。そしてPCでゲームをプレイするのは楽しい。だが問題はPCのグラフィックパワーを左右する重要なパーツ、グラフィックカードの需要が異常なほどに高くなっていること。今やもともとの価格で見つけることは難しい。多くの小売業者は値段を倍か、それ以上につり上げている。
だがこの需要は、PCゲーム愛好者が急増したためではない。仮想通貨マイニングが原因となっている。
エヌビディアやAMDなどのグラフィックカードは最先端ゲーム画像の高速・高精細な描画に使われるが、仮想通貨のマイニングにも有効。有効どころか、仮想通貨マイナーにとって重要なツールとなっている。
その結果、グラフィックカードは至る所で売り切れになっている。
アマゾン、ベストバイ、Neweggをチェックしてみたところ、状況は実際、その通りだった。入荷待ち、売り切れ、値上げ転売。
エヌビディアのフラッグシップGPU「GTX 1080 Ti」の希望小売価格は700ドル(約7万7000円)。だが、アマゾンでの最低価格は1100ドル(12万円)前後になっている。
Amazon
レディット(Reddit)のPCゲーム・コミュニティは、適正な価格でグラフィックカードを購入できないことをネタにしたジョークでいっぱい。グラフィックカードが高騰した理由を説明するための専用スレッドもあるくらいで、しかもサブレディット「Build a PC」のトップページの目立つ位置に置かれている。
イーサリアム・マイニングのFacebookグループの投稿に対して、以下のようなコメントもある。
これがゲーマーがマイナーを嫌う理由...
エヌビディアもAMDも、この件についてコメントを拒否した。
エヌビディア・ドイツのPRマネージャーBoris Böhles氏は、ドイツのウェブサイトComputer Baseに対して、同社は小売業者に「適切な出荷を行うよう」積極的に働きかけており、本来の消費者がグラフィックカードを手に入れられるようになると語った。
エヌビディアはパートナーがどこに販売するかを制限することはできない。小売業者に対しても同様。この問題は、需要と供給の問題に他ならない。
もちろん問題は、仮想通貨マイニングの人気がかつてないほど高くなっていることにある。
多くの人が、PCゲームのためにパワフルなハードウエアを求めている。エヌビディア、AMD、Ausuなどのグラフィックカード・メーカーが供給増に動かない限り、この問題はすぐには解決しないだろう。
[原文:Cryptocurrency miners are making it impossible for people to find a crucial component of PC gaming]
(翻訳/編集:増田隆幸)