ヤフーが若手社長就任でデータ会社として再出発 ── 宮坂現社長は謎のZコーポレーションを牽引

ヤフー CEO

写真左から現社長の宮坂学氏、2018年4月から社長に就任する川邊健太郎氏。

Yahoo! JAPANは、2012年に代表取締役社長CEOに就いた宮坂学氏に代わり、2018年4月から川邊健太郎氏が就任すると発表した。川邊氏は2000年8月にヤフーに入社、同社子会社のGYAOの代表取締役(2009年)や同社の最高執行責任者(2012年)、副社長(2014年)をつとめている。

ヤフー 発表会場

会場である六本木・グランドハイアット東京の会議場に集まった取材陣。

既存事業で「大きな前進はできた」と語る宮坂氏

ヤフー 宮坂氏

代表取締役社長を離れる経緯を話す宮坂氏。

1月24日15時、ヤフーの新社長就任会見場には記者約50人が慌ただしく詰め掛けた。日本を代表するITプラットフォーマーの新社長会見の割に人数が少ないのは、当日11時に突然の「新社長会見開催」リリースが発信されたためだ。

冒頭、現社長の宮坂氏より今回の件の背景が語られた。検索や広告などのメディア事業に加え、eコマースの強化に取り組んできた宮坂氏は「まだ途中段階で余裕はない状態だが、ある程度大きな前進はできた」と自身の功績を振り返る。「今後ヤフーが成長するために、挑戦すべき新しいテーマが必要な時期になった」(宮坂氏)とし、「新しい挑戦には新しいリーダーシップが必要」と自身より7歳年下の川邊氏にバトンを譲ると説明した。

ヤフーを「データの会社」にしていく新社長・川邊氏

ヤフー 川邊氏

ヤフーの今後の取り組みについて語る川邊氏。

一方、川邊氏は自身と新しい経営陣の強みを「インターネットを心底愛していること」と話す。川邊氏自身、もとはネット関連のベンチャー企業「電脳隊」の取締役として社会に出て、2000年8月にヤフーに入社。その後同社の役員である孫正義氏、井上雅博氏、そして宮坂氏から経営のノウハウを学んだと言う。川邊氏は、自身の世代(1974年生まれ)は「生まれたときからインターネットがあったというわけではない」と振り返りながらも「社会に出たときからインターネットを使いこなした」世代。そのネットネイティブに近い若い発想や早い決断力が、今後ヤフーの事業を広げるのに役立つと語っている。

川邊氏らヤフーの新経営陣が打ち出している事業のテーマは「スマホの会社に加え、データの会社になる」ということだ。

ヤフージャパン創業から20年が経ったいままで蓄積されてきたデータを使い、「既存のメディアやeコマースといった分野をさらに伸ばしていく」と川邊氏。また、データ自体とデータを取り扱うノウハウを社外の企業に売り出すビジネスも模索しているようだ。

ビッグデータはその集まったデータの質と量が価値に直結する。「日本に住んでいる方に最も使われている」ヤフーは、「(日本在住者の)データも最も持っている」企業だ、と川邊氏は自信を見せる。

宮坂氏の新会社「Zコーポレーション」とは?

なお、宮坂氏は同社の取締役会長として今後もヤフーの管理・監督をするとともに、今月18日に設立した同社の100%子会社「Zコーポレーション」の代表取締役社長に就任する。

Zコーポレーションは、ヤフー(Yahoo)のYの次、という意味で込められた社名で、宮坂氏によると「ヤフーでやれなかったことを探っていく」と、既存事業にとらわれない新事業に取り組むと明言。

しかし、具体的な言及については「まだ話せるような状態ではない」(同氏)と、控えた。

宮坂氏は4月以降も、ヤフーの会長職を兼任するが代表権は持たない。同社広報によると「Zコーポレーションでの業務に集中するため」とのことで、文字通り心機一転、新事業の開拓に取り組むという意思表示でもある。

ヤフー CEO

会見中、ふたりには時折笑顔が見られた。

(文、撮影・小林優多郎)

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