日本上陸の中国スマホ「OPPO」急成長の原動力“若者受け戦略”とは

2016年にアップルやファーウェイ(華為技術)をしのいで中国スマホシェア首位に立ち、世界から一気に注目された中国メーカーOPPOが日本進出を発表した。

既にアジアでもトップシェアに成長しているOPPOの飛躍の背景には、“スマホデビュー世代”の若者ニーズに徹底的に寄り添うマーケティング戦略がある。

OPPO

大量の広告で人々の生活に浸透したOPPO。

REUTERS PICTURES

シャオミと入れ替わり台頭

皆さんは同じ中国メーカーのシャオミ(小米)をご存知だろうか。

5年ほど前、“中国のスティーブ・ジョブズ”ともてはやされた雷軍(レイ・ジュン)が立ち上げたブランドで、雷軍のカリスマ性を最大限に生かしたマーケティングと、コストを最小化するオンライン販売モデルで大ブームを起こした。しかし、シャオミの快進撃は長く続かず、同社の失速と入れ替わるようにこの数年でファーウェイ(華為科技)、OPPO、vivoが台頭した。

ファーウェイは高機能、高価格帯に注力してサムスンに置き換わる存在となり、OPPOはカメラ機能を前面に押し出し、若者という顧客層を開拓した。中国の消費者の成熟が、特定のユーザー層向けに明確な特徴を打ち出すブランドの追い風となった。

人の目につくところに広告や店舗を大量投下して「人々の生活に浸透する」手法は、シャオミのオンライン販売モデルを陳腐化させた。

OPPOと同じく急成長したvivoは、実は同じ会社から分岐した兄弟のようなブランドで、製品も戦略も顧客層もよく似ており、中国ではセットで語られることも多い。

OPPOの創業者チェン・ミンヨン

OPPOの創業者は1969年生まれの陳明永(チェン・ミンヨン)。ファーウェイの創業者より25歳若く、シャオミの創業者とは同い年。陳明永は2004年にOPPOを創業、当初はMP3プレイヤーなどを生産していたが、携帯電話市場の急拡大を受け、2008年に携帯メーカーに転じた。

陳明永はメディアの取材に対し、自分のことを「間違って理系の大学に進学した文系人間」と表現し、それはOPPOの商品にも反映されている気がする。ガジェットの細かい仕様の説明は、そういうのが好きな男子に任せるとして、女性にとってOPPOのスマホはおしゃれで、かゆい所に手が届く印象。OPPOはガラケー時代、「音楽携帯」を売りにして若者に人気だったが、SNS社会が到来すると、「カメラスマホ」にシフトした。

oppo

街のあちこちで見かけるOPPOのキャラクター。仕事なのか遊んでいるの分からない時も。

浦上早苗撮影

OPPOはカメラに関する特許をたくさん持っている。それが具体的にどんな技術なのか、ユーザーの多くは分からない。けれど、中国では「OPPOのスマホなら、他のメーカーよりもきれいに撮れる」というイメージがあり、人気の最大の理由になっている。画質がいい、セルフィー写真を自動修正してくれる、2つのカメラの画素が同じ、そして後から画像を加工しやすい。そんな評価が確立されている。

ほかにも、「充電5分で通話2時間」「大き目のディスプレイ」など、スマホを手放せない若者のニーズをとらえるような機能を押さえている。

最大の広告は「25万の店舗」

OPPOのもう一つの特徴は、積極的な広告出稿と大量出店だ。ネットでも、テレビでも、駅でも、バスでも、OPPOの広告を見ない日はない。

CMには人気スターを登用し、国民的な歌番組「中国新歌声」のスポンサーになっている。この番組の視聴者は若者が中心だが、家族で見ている人も多い。出演者が歌っているときに、背後にはいつもOPPOの文字が映っている。

中でも最大の広告と言えるのが、大量の店舗だろう。OPPOは2017年末、店舗数が25万店に達したと発表した。大学の周囲には販売店が密集し、通りを歩いていると見える範囲に複数のOPPOの店舗あることも珍しくない。店の前では、OPPOのキャラクターが通行人とコミュニケーションをとる姿もよく見られる。

「クラスの人気者」OPPO、「リーダー」のファーウェイ

グラフ

2017年10月、大連民族大学の4年生50人にアンケート。その他は「meizu」「HTC」「モトローラ」など。

浦上早苗作成

よくよく考えれば、OPPOの機能の多くはファーウェイにもiPhoneにもついているが、OPPOは機能と価格のバランスが受け入れやすく、「デビュースマホ」としてのポジションも確立している。

OPPOのスマホの中心価格帯は3000元前後(約5万円)で、iPhoneのほぼ半分だ。中国でスマホは大学入学祝いの定番で、一番人気はiPhoneだが、現実的には多くの家庭が「価格が妥当だし、若者に人気のようだし、テレビでよく見かける安心なブランド」として、OPPOを選ぶ。

各ブランドを擬人化すると、OPPOは「誰とでも仲良くできるクラスの人気者」ファーウェイは「クラスのリーダー」アップルは「イケメン外国人転校生」といったところだろうか。シャオミ、レノボは「隣のクラスの、名前だけ知ってる人」。私が以前持っていたサムスンは「自分を裏切った親友」。ただでさえ中国ブランドの評価が上がっている中、1年前のあのGalaxy Note7発火事件で、サムスンへの信頼は失墜した。

中国市場2けた減、海外進出は当然の選択

OPPOは最近、日本でのスマホ発売を発表し、1月17日にはTwitterに日本向けアカウントを開設した。中国のスマホ市場が減速する中で、海外進出は当然の選択だろう。

中国工業情報化部が公表した2017年の中国のスマホ出荷台数は前年比11.6%減少し、4億6100万台だった。とくに2017年12月の出荷台数は前年同月比3割以上落ち込んだ。

2016年に出荷台数を前年比122%増伸ばして1億台に乗せたOPPOも、2017年の成長はかなり鈍化している。広告費や新規出店でコスト高のビジネスモデルとあって、呉磊(ウー・レイ)副総裁は現地メディアに対し、「(中国のスマホ市場の縮小は)この10年で初めての事態だ」と危機感をあらわにしている。

潜在的ユーザーのほぼ全てにスマホが行き渡ったこと、そして4G端末への買い替えが一巡したことなどで、中国のスマホ市場は頭打ちだというのが関係者の共通認識だ。各メーカーはだいぶ前から海外展開を進め、市場調査会社counterpointの調査によると、2017年第3四半期の世界のスマホ市場で、OPPOは世界シェア4位、アジア首位に立っている

ただし、OPPOが日本で成功するかについては、未知数どころか疑問の声が多い。

OPPO広告

マレーシア・クアラルンプールに登場したOPPOの広告。OPPOは東南アジア進出を加速させている。

Jaggat Rashidi shutterstock

OPPOは中国人の若者の好みを徹底的に理解し、彼らのニーズに合わせるプロモーション、商品開発で成功したブランドだ。自身の強みを生かして、日本でも若者をターゲットに展開するだろうが、当然ながら、同じ世代でも日本人と中国人の価値観や好みは大きく違う。

日本に留学している、スマホに非常に詳しい中国人男子学生に聞いたところ、「日本ではガジェットとしての競争力はあまりないんじゃないかな。ただ、自撮りの機能が充実していて、システムの操作がiPhoneにとても似てるから、女性からは支持される可能性がある。実際に台湾では人気ブランドになっているし。中国ほどは売れないにしても、そこそこ売れる可能性はある」との答えだった。

OPPOの日本進出を報じる中国メディアも、日本はiPhoneのシェアが高いことから、「壁が高い」との論調が多い。OPPOは2017年12月24日、上海にフラッグシップショップをオープンするなど、ブランドイメージの向上に努めており、日本進出もブランド戦略の一環とみる向きも多いようだ。

(敬称略)

(文・アンゲロマ、編集・浦上早苗)

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