独自解析:コインチェック580億円流出は「わずか5分」の犯行と判明、データ解析で探る巨額のゆくえ

仮想通貨取引所コインチェックから、約580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)が不正に引き出された問題を受け、Business Insider Japanは、ブロックチェーンに詳しいエンジニアに、コインチェックから仮想通貨が引き出された履歴の解析を依頼した。

その結果、2018年1月26日(時間はいずれも日本時間)、計11回、総額5億2630万10XEM(XEMは、NEMの通貨単位)がNC4で始まるアドレスに送金されていた。また、NC4から9つのアカウントに送金されていることも判明。全体で11アカウントが、不正送金となんらかの関連があるとみられる。

コインチェックからの仮想通貨流出の流れ

コインチェックからの仮想通貨流出の流れ(アドレスの最初の3桁のみ記載した)

制作:小島寛明

解析に協力してくれたのは主に、ブロックチェーン・ベースの電子政府システムCOMMONS OSの開発を進めているエンジニア河崎純真さん(26)と小副川健さん(36)の2人だ。NEMを含む仮想通貨は、資金の移転がブロックチェーン上の台帳に記録され、ほぼ改ざんが不可能とされているため、不正に引き出されたNEMの動きを追うことが可能だ。

被害の大半は26日0時台のわずか「5分間」で起こった

NEMのアドレスは、英数字の組み合わせでつくられている。コインチェックから多額のNEMが送金されたアドレスは、以下の通りだ。

送金先アドレス:NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG

コインチェックは当初、不正な送金が発生したのは1月26日午前2時57分ごろと発表していたが、その後、「正確な発生時刻を特定するため、現在調査を継続しております」と修正している。

今回の解析で把握できた限りでは、最初の動きがあったのは、1月26日午前0時2分(以下、秒数は省略する)。少額の10XEMが、コインチェックのアドレスから、この「NC4」に送られている。河崎さんは「最初の10XEMは、テストとして送金したのでは」とみる。

その2分後の午前0時4分から0時9分の5分間に計5回、NC4への送金が記録されている。この5回はいずれも、1回につき1億XEMが送金され、この5分間で、被害額のほとんどを占める5億XEMが送金されたことになる。

1月26日午前0時10分以降も、計5回送金され、コインチェックのアドレスからNC4への送金は総額5億2630万10XEMとなっている。コインチェックのアドレスからの送金は、1月26日午前8時26分で止まっている。

コインチェックの発表によると、同社が、多額のNEMが引き出されていることに気づいたのは、1月26日午前11時25分ごろだ。不正な引き出しが完了してから半日が経過していた。

記者会見開始時刻にも「不正送金」は進行していた

NC4から先の「不正送金」については、26日午前2時57分から午前3時59分の約1時間には、NC4を基点に計10回の資金の移動が記録されている。

コインチェックが記者会見を始めた時間帯にあたる、26日午後11時42分にも、NC4から1回の送金が記録されている。

1月28日(日)の朝までに、NC4からの送金が確認されているのは、9つのアドレスだ。そのうちのひとつNA6(最初の3桁のみ記載)については、さらにNCFにいったん送金したものの、直後に戻している。

仮想通貨はアドレスだけで個人を特定することが、極めて難しい。ただ、NEMを法定通貨に換金する際などに、特定につながる痕跡が残る可能性は高いという。

小副川さんは「今回、不正に引き出されたアドレスの動きを、世界中の人たちが監視している。包囲して、動けなくすることが大切だ」と話す。

小副川さんは1月27日夜、今回の解析で作成したコードを、ソフトウェア開発のためコードや情報を共有するプラットフォームGitHubで公開した。

(文・小島寛明)

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