大手仮想通貨取引所コインチェックから約580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)が流出した問題で、仮想通貨関連の事業者が組織する「日本仮想通貨事業者協会(JCBA)」は1月29日、会員企業に対して、仮想通貨の広告を管理する態勢を整備するよう要請した。
出典:日本仮想通貨事業者協会
JCBAに加盟している仮想通貨の取引所は18社。コインチェックは加盟しているが、最大手ビットフライヤーは同団体には加盟していない。取引所間で顧客の獲得競争が激しくなる中、各企業はアフィリエイトやテレビへのCM出稿などを積極的に行っているが、顧客が過度なリスクを取らないよう自主規制を強化した。JCBAは、次の11項目について、各社に管理態勢の整備を求めた。
1.リスクの表示
2.不適切な表現の使用禁止
3.不実の表示・表現の禁止
4.比較の適正化
5.誤認防止
6.出典の表示
7.個別通貨の推奨禁止
8.誹謗中傷の禁止
9.アフィリエイト広告管理
10.役職員によるSNS等における発言
11.広告審査態勢の整備
※日本仮想通貨事業者協会の公表資料から抜粋
コインチェック社は2017年12月8日から、お笑いタレントの出川哲朗さんを起用したCMをテレビやインターネットで展開していたが、多額の仮想通貨の流出を受け、公式サイトに掲載していた動画と出川さんの画像を1月28日に削除した。CMの放送は当面中止するとしている。
また、コインチェック社の和田晃一良社長や取引所「Zaif」を運営するテックビューロ社の朝山貴生社長は自身のツイッターアカウントで情報を発信しているが、JCBAの担当者は「テレビCM出稿やSNSアカウントの登録自体は規制しない。既存の金融商品に関する広告規制を参考に、リスクの表記や、個別の通貨を推奨したり、インサイダー情報を流さないように要請した」と回答した。
今後、広告の管理態勢を整え、仮想通貨業界全体の信頼を高めていきたいという。
(文・室橋祐貴)