店舗経営に関する新サービスが発表された「Airレジ カンファレンス 2018」。
リクルートライフスタイルは1月30日、渋谷ヒカリエで「Airレジ カンファレンス 2018」を開催した。会場には、同社の展開する簡易POSレジアプリ「Airレジ」などの製品の導入を検討する約600の入場者が集まった。
基調講演には、同社ネットビジネス本部グローバルソリューション事業ユニットの大宮英紀ユニット長と同Air事業ユニットの山口順通ユニット長が登壇。4周年を迎えるAirレジ関連サービスの振り返りに加え、新サービスが発表された。その中でも、多くの経営者の関心を集めたのが経営アシスタント「Airメイト」だ。
Air系サービスとホットペッパーなどのビッグデータで経営予測
現在開発中のAirメイト。
Airメイトは、2018年春にサービス開始予定の、店舗毎の経営状況の確認や分析をiPadで行えるサービスだ。開始当初は、飲食店向けにカスタマイズされたもので提供する。
同社のAirレジアプリの利用が必須で、各店舗にAirレジを導入し、事業担当者や店の管理者(スーパーバイザーや店長)がAirメイトを使い逐次経営方針を検討する、といった使い方が想定されている。
従来のAirレジアプリでも、売り上げの分析機能などは提供されてきた。しかし、AirメイトはAirレジのデータだけではなく、従来からある予約台帳アプリ「レストランボード」や新発表のシフト表作成サービス「Airシフト」と連携し、予約客の割合やQSC(Quality:品質、Service:サービス、Cleanliness:清潔さ)の分析も可能。
さらに、Airメイト導入店やホットペッパーなどの自社データ、天気などの外部データを組み合わせ、売り上げの着地予測や周辺地域の潜在顧客の割合も表示できる。利用者(店舗)はそれらを見て、今後の経営戦略の具体化につなげられる。
中小規模の店舗でも、比較的高度なデータ分析が可能になるという点が画期的だ。
Airメイトでは経営状況の分析、改善策の実施、振り返りといった一連の作業をサポートする。
なお、AirメイトはGoogle Cloud Platformで実装されている。Airレジやホットペッパーなどのビッグデータは、あくまでも予測のために使われる。利用企業には個別に許諾を取っているとはいえ、個社の経営傾向などが他社の経営方針に活用されることについて抵抗があるかもしれない。これについて山口順通氏は「(リクルートとして)明確なポリシーはないが、導入企業ごとに対話をし、利用される方のためになる方向性を維持したい」と語っている。
なお、Airメイトの課金は月額制になるのか、利用頻度などで変化する従量課金制になるのかを含め「未定」としている。一方で実店舗での試験運用は始まっており、すでに居酒屋「九州男児」などを運営するダイニングファクトリー社がAirメイトを導入済み。今後も試験的に導入企業を増やし、機能やビジネスモデルを確立する計画だ。
有用なデータを提供するだけでなく、各業界や店舗に適した使い勝手を模索していく。
経営ツールより「アシスタント」に近い存在へ
写真左から山口順通氏、大宮英紀氏。
山口氏はAirメイトの今後について「明日の売上予測やシフト・仕込み調整を手伝えるようにしていきたい」と話す。単なる経営分析ツールではなく、同サービスのリリースにあるとおり「お店の経営アシスタント」というイメージだ。
同社によると、Airレジ自体は31万8000店舗で導入されている。また、すでに独自のPOSシステムを持つ企業なども「Airペイ」や「モバイル決済 for Airレジ」といった決済サービス、「Airウェイト」「Airリザーブ」などの受付・予約管理のサービスを個別に採用するケースも増えている。同社としては、各種Airサービスの大小さまざまな顧客を増やし、保有するビッグデータの量と質を高めることで、Airメイトを中心としたより競争力のあるソリューション開発を展開していくことが狙いなのだろう。
Airレジハンディやレストランボードなどで入力された顧客データの分析も可能
各属性ごと詳細を確認することもできる
リクルート社の持つ技術で、スマホの位置情報から「潜在顧客」分布を表示
AirレジのPOSデータをもとに商品ごとの売り上げを見ているところ
開発中のスマホ版は単なるUI違いではなく、よりアドバイスをくれる存在になる
同時発表の「Airシフト」は従業員のシフト表づくりをアシスト
各キャッシュレス決済のサービスを個別に導入する店舗もある
(文、撮影・小林優多郎)