仮想通貨取引所コインチェックから約580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)が流出した問題で、2018年1月30日午後10半ごろから約30分間、流出先のアカウントから計14回、9つのアカウントにNEMの一部が送信されたことがわかった。
攻撃者がかく乱を狙ったともみられるが、一方で、30日の送付先のアカウントはいずれも、最初に流出したNEMが送られた「NC4」で始まるアカウントにメッセージなどを送信した形跡がある。このため、NC4から第三者にNEMが送られた可能性もあるという。
14回の総額は1100XEM(XEMはNEMの通貨単位)と少額で、11回については100XEMずつ送信され、残る3回は0XEMが記録されている。
解析の結果、NC4に対して少額のNEMを送る複数の動きも出ていることも判明した。エンジニアの小副川健さん(36)は「NC4にメッセージや仮想通貨を送ったアカウントに対して、NC4からNEMが送られた履歴をみて、他の人も少額のNEMを送っているのではないか」と分析している。
流出したNEMの動き
制作:小島寛明
解析に協力してくれたのは主に、ブロックチェーン・ベースの電子政府システムCOMMONS OSの開発を進めているエンジニア河崎純真さん(26)と小副川さんの2人だ。
コインチェックから、最初に多額のNEMが送金されたアドレスは、以下の通りだ。
送金先アドレス:NC4C6PSUW5CLTDT5SXAGJDQJGZNESKFK5MCN77OG
1月26日には、午前0時2分から午前8時26分の間に、総額5億2630万10XEM(XEMはNEMの通貨単位)が、コインチェックのアカウントから、NC4に送金されている。
その後、26日深夜までに、NC4から9アカウントに資金の一部を分散させ、しばらくは、ブロックチェーン上の動きは確認されていなかった。
30日には、午後10時33分から午後11時2分の間、NC4から9つのアドレスにNEMが送られている。この9つのアドレスはいずれも、NC4に対して、メッセージなどを送った形跡がある。そのうち1アカウントは31日朝にNC4に送り返していた。
(文・小島寛明)