ZOZOSUIT「納期最長8カ月」の理由には、前澤社長“執念”が見える

ZOZOSUIT

このパッケージが多くの人の手元に届くのはいつか。

ファッションECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を展開するスタートトゥデイは1月31日、世界展開を目指すプライベートブランド(PB)の全容を発表した。一方で、購入の前提となる体型データを計測するZOZOSUITの到着が、長ければ6〜8カ月先になる可能性もあるとの知らせに「待ち遠しいけど少しがっかり」「来ないなら来るまで待とう」など、多くの反響がTwitterなどで交わされている。

PB発表の場となった第3四半期決算の会見に姿を見せた、スタートトゥデイの前澤友作社長は「本来、2017年内に間に合わせたいと散々申し上げていたPBのローンチが遅れに遅れ、今日に至ったことを深くお詫び申し上げます」とした上で、ZOZOSUITについては「ミリ単位で精度を求める声に、精度を追求しなくちゃと、今一度検証した」と、当初の予定より大幅に遅れた理由が、改良にあったことを明らかにした。

「当然、ミリ単位で測れるんだよなという、想定より厳しいご意見が多かったのは、耳が痛かった」

前澤社長がZOZOZUITの無料配布を発表したのは、2017年11月22日の自らの誕生日だった。「身体の寸法を瞬時に採寸できる、伸縮センサー内蔵のボディスーツ」とのアナウンスが大いに話題を呼び、注文が殺到した。

ZOZOSUIT上

発送に時間がかかっているのは、直前での改良も理由にあるという。

しかし、ユーザーからは、想定よりも高い計測レベルを求める声が多く寄せられた。先の「耳が痛かった」という発言は、これに対する率直な心情だ。「作るもの(PBで販売する洋服)は、1センチ刻み、2センチ刻みなので、ミリ単位まで精度求める声が多いのは、意外な反応だった。(そういった声を受けて)身が引き締まって、ミリ単位で精度追求しなくちゃ、となった。今一度検証した結果、小さい方や大きい方、特殊な(体型の)方で(計測の)精度誤差が大きかったので、やり直して時間をいただいた」(前澤社長)。

全身1万5000カ所のデータを計測できるというZOZOSUIT。その計測を経て注文するPBは、Tシャツとデニムの発売を開始しているが、数千種類のサイズのパターンをすでに用意しているという。「あらゆる体型のサイズに合わせたオーダーメイド」が売りだ。

改良の詳細については明らかにされていないが、発言を総合すると、より多様な体型を正確に計測できるよう精度を上げた、ということになる。

「納期は半年先」のお知らせメールにどよめき

1月31日の会見の直前には、ZOZOSUITを注文した人へ「ZOZOSUITのお届けについて」とのメールが配信された。そこには「お客様へのお届けに本日より最長6(または8)カ月程度かかる可能性があります」(抜粋)と書かれていた。

前澤社長は会見で発送を開始したことを明らかにし「早い人で明日にも」としたが、最長8カ月となると、到着時期は実際のところ予想がつかない。

Twitter上には、ZOZOSUITの到着を心待ちにしていた人たちのつぶやきがあふれた。

喜んだのも束の間。

楽しみにしているからこそ、待つのが辛い。

著名人でも届いていない(1月31日時点)。

こんなエールも。

前澤社長はPBについて「将来的には、トップファッションブランドになっていきたい。ZARAやH&M、(ユニクロの)ファーストリテイリングといった大先輩と並ぶくらい、超えていくくらいに夢は広がっています」と、目標を高く見据えている。

とりわけ、精度へのこだわりは「驚きのフィット感」で差別化したいという執念を感じさせる。ZOZOSUITのユーザー体験が、いち早く注文した人たちの高い期待に応えるようなものになるのかどうか。今後数カ月のスタートトゥデイの動向は目が離せないものになりそうだ。

(文・滝川麻衣子、撮影・今村拓馬)

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