ニューヨークのソーホー地区にあるH&M。セール品がいっぱい。
Business Insider/Mary Hanbury
H&Mがオフプライス専門店を始める。
アファウンド(Afound)と呼ばれるこの新しい店は、スウェーデンで2018年中にオンライン、実店舗の両方で展開される。アファウンドはH&Mの他、& Other StoriesやCOSといった同社の他ブランドの製品を割引価格で提供する。外部のブランドも取り扱うという。
オフプライス市場への参入という同社の戦略は、数少ない小売業界のスイートスポットを捉えようとするものだ。実際、メイシーズやノードストロームは同様の戦術を取り入れ、それぞれ「メイシーズ・バックステージ(Macy's Backstage)」「ノードストローム・ラック(Nordstrom Rack)」というオフプライスの店舗に注力している。TJ Maxxの手法を真似た形だ。
ただH&Mは、TJ Maxxのようにデザイナーズブランドを割引価格で提供するわけではない。H&Mは自社の製品を割引価格で売る。つまりこの新しいブランドは、余剰在庫を処分するために使われるのだろう。
同社はアメリカでアファウンドを展開するかどうかは明らかにしていない。アファウンドの広報担当はBusiness Insiderに対し、まずはヨーロッパの他の国での出店を計画していると語った。
H&Mは最近苦戦している。2016年の業績不振は2017年も続き、第4四半期(9月~11月)にはグループ全体で売り上げが4%減った。結果、同社の株価は31日(現地時間)、10%下落した。
その背景には、ZARAのようなファストファッションのライバルに押されている現状がある。H&Mはかつてファストファッションの王者だった。しかし今、最速1週間で商品化ができる競合他社に同社は後れを取っている。H&Mでは最大6カ月もかかっているのだ。このサプライチェーンのスピードの差が、H&Mを流行の最先端から遠ざけている。結果的に感度の高い客は最新のデザインを求めて他のブランドに流れ、H&Mには余剰在庫が生まれる。
その結果、H&Mの店内には大々的なセール品の売り場がしばしば見られるようになった。
カリフォルニア州アーバインにあるH&M(2015年12月撮影)。
Yelp/Kristine T.
同社の2017年第3四半期の収支報告で、CEOのカール・ヨハン・パーソン(Karl-Johan Persson)氏は、不振の原因として利益率の低さを挙げたが、それは夏のセールを積極的に行ったためで、在庫を一掃し、次のシーズンに備えて良い準備ができていると述べた。だが、Business Insiderが1月にH&Mの店舗を訪れたとき、店内にはセール品があふれており、話が食い違っている。
絶えず続くセールはブランドイメージを損ない、消費者の目にも魅力的には映らない。
一方で、新しく立ち上がるアファウンドは、同社にとって、古くなった在庫を処分し、H&Mでのショッピング体験を向上させるのに役立つかもしれない。ただ、CFOのJyrki Tervonen氏は、同社がアファウンドをバーゲンの拠点ではなく、ブランドの成長分野と捉えていると語っている。
「狙いとしては、オフプライス市場に何かしら新しいものを持ち込もうということだ。大きな意味を持ち、成長が期待できる」Tervonen氏はファッション・メディアのDrapersに語った。「充実したキュレーションと幅広い品揃えで、アファウンドが(市場において)大きな役割を果たす、素晴らしい可能性がある。スタイリッシュなアイテムを魅力的な価格で提供する」
[原文:H&M's plan to open an even cheaper store is an ominous sign of trouble]
(翻訳/編集:山口佳美)