仮想通貨取引所コインチェックから約580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)が流出した問題を受け、金融庁は、仮想通貨の取引所などを運営する複数の業者を対象に、資金決済法に基づき、立ち入り検査をはじめた。これらの業者についても、セキュリティ対策や、顧客の資産の管理態勢などを詳しく調べる必要があると判断した。
関係者によると、金融庁に登録している「仮想通貨交換業者」で、GMOコイン(東京都渋谷区)、取引所Zaif(ザイフ)を運営するテックビューロ(大阪市)が立入検査を受けている模様だ。
コインチェックの巨額流出問題を受け、金融庁は2月1日付で、仮想通貨交換業者16社と、コインチェックを除くみなし業者15社に対して、改正資金決済法に基づく報告を求める命令を出した。同庁が各社からの報告内容を精査した結果、システムリスク対策や、顧客の資産の管理体制などについて、詳細な検査が必要な業者が浮上した。
金融庁は今後、対象の業者に対して、業務改善命令などの措置も視野に検査を進めるとみられる。
テックビューロは、2014年6月の設立。同社が運営する取引所ザイフは、実質的に登録制度がスタートした2017年9月29日、金融庁に交換業者として登録された。業界では、最大手bitFlyer(ビットフライヤー)や、コインチェックに次ぐ存在感を示している。
社長の朝山貴生氏は、コインチェックから流出した仮想通貨ネムを推進する組織、国際ネム財団の理事を務めている。流出した仮想通貨の追跡などにも協力しているとされる。
2017年には、仮想通貨を用いて資金調達する新しい手法ICO(Initial Coin Offering)を実施し、日本円換算で100億円以上を調達したとされる。
GMOコインは、東証一部上場のGMOインターネットのグループ会社で、2016年10月に設立。2017年5月にサービスを開始し、同年9月29日に金融庁に交換業者として登録された。
2018年2月2日には、自社サイトのニュース欄で「顧客資産保護体制」と題して、「顧客資産は全て自社資産と分別して管理している」などと説明している。
立ち入り検査について、GMOコイン、テックビューロはいずれも、「コメントできない」としている。
(文・西山里緒、木許はるみ、小島寛明)
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