アメリカでは昨今、「エモーショナル・サポート・アニマル」の機内への持ち込みが問題になっている。航空会社は乗客に、本当にその動物が医療的に認められたものかどうか、証明するよう求めている。※写真は、流されたハムスターではありません。
Flickr / Peter Houghton
- アメリカの格安航空会社スピリット航空の従業員が、ペットのハムスターを空港のトイレに流すよう勧めたと、ある女性が訴えている。
- 同社は、この女性に対し、機内にハムスターの持ち込みができると誤って伝えてしまったと言う。だが、動物をトイレに流したり、傷つけるようなことを勧めた従業員はいないと主張している。
- スピリット航空は、「その動物が宿泊できる別の場所を見つける時間」を与えるため、この女性のフライトの予約を9時間後に変更した。
- 女性は航空会社を相手取り、訴訟を起こすことを考えていると報じられている。
アメリカでは最近、エモーショナル・サポート・アニマル(病気で苦しむ人を精神的に支える動物)の機内への持ち込みが問題になっている。どのような条件で、どのような動物の持ち込みを許可するのか、航空会社は頭を悩ませている。
そして、今回はアメリカの格安航空会社スピリット航空がトラブルに見舞われた。乗客のある女性が、同社の従業員にペットのハムスター(名前はペブルス)を空港のトイレに流すよう勧められたと訴えたのだ。マイアミ・ヘラルド紙が最初に報じた。女性の名前はBelen Aldecoseaさん。Aldecoseaさんは、彼女のハムスターはきちんと認められたエモーショナル・サポート・アニマルだと主張している。
今回の事件の背景には、Aldecoseaさんと航空会社の間の誤解がある。メリーランド州ボルチモアから、実家のあるフロリダへ向かう11月21日のフライトを予約していたAldecoseaさんは、事前に2度、航空会社に対し、ハムスターの持ち込みができるかどうか、電話で確認をしていた。航空会社はその都度、ハムスターと一緒に乗れると伝えていたと、スピリット航空の広報担当はBusiness Insiderに語った。
だが当日、Aldecoseaさんがボルチモア・ワシントン国際空港の保安検査場を通る前に、スピリット航空の従業員は、ハムスターの搭乗は許されないと告げたという。
Aldecoseaさんは難しい状況に置かれた。ハムスターを空港まで引き取りに来てくれるほど親しい友人や家族はおらず、車を借りることもできず、健康上の問題で実家に帰らなければならなかった。すると、スピリット航空の従業員はAldecoseaさんに対し、ハムスターを外に逃がすか、空港のトイレに流すよう勧めたという。
Aldecoseaさんは後者を選んだ。
「ペブルスは怯えていたし、わたしも怖かった。トイレに流すのは、本当に恐ろしいことだった」Aldecoseaさんはヘラルド紙に語った。「わたしは感情的になってしまって、泣いていたの。10分はその場にしゃがみこんで泣いていたわ」
「調査の結果、我々はいかなるタイミングにおいても、誰もこのゲスト(やその関係者)に対し、動物をトイレに流す、もしくは傷つけることを勧めていないと、自信を持って言うことができる」スピリット航空はBusiness Insiderへの回答文で述べている。「空港にハムスターとともにこのゲストが現れたとき、従業員は、その動物が宿泊できる別の場所を見つける時間を確保するため、フライトを遅らせてはどうかと提案し、ゲストもそれを受け入れた。我々の記録によると、彼女は11月21日の午前10時39分発に搭乗する予定だったが、最終的に同じ日の午後7時42分発に搭乗している」
アメリカでは、こうした動物の扱いをめぐり、論争が続いている。エモーショナル・サポート・アニマルだとして、クジャクを機内に持ち込もうとした女性もいた。ユナイテッド航空やデルタ航空は新たなポリシーを導入し、乗客が持ち込もうとするエモーショナル・サポート・アニマルが本当に医療的に認められているのか、機内で問題を起こすことなく振舞えるのか、証明するよう求めている。
(翻訳/編集:山口佳美)