ソフトバンクが作るEC包囲網、アマゾンと楽天に挑む秘策はあるか? —— アパレルでストライプとタッグ

日本のeコマース(EC)市場は2018年、いまだかつてない競争の渦にのみ込まれそうだ。

楽天と世界最大級のスーパーマーケットチェーンのウォルマートが1月に戦略的提携を結べば、ソフトバンクは、傘下のヤフーとイオンと共同でネット通販事業を始める方向で検討を始めた。さらに、ソフトバンクは2月15日、アパレルの製造・販売を行うストライプインターナショナル(本社:岡山市)とECデパート「STRIPE DEPARTMENT」の運営を開始した。

孫正義氏

2月上旬に開かれたソフトバンクの記者会見に臨む孫正義氏。

REUTERS/Toru Hanai

ソフトバンクとストライプが設立した合弁会社「ストライプデパートメント」が同ECデパートの運営を行い、約600のブランド、2万点以上の商品を扱う。15日に発表した資料によると、STRIPE DEPARTMENTが導入する試着サービスでは、利用者は一度に3着まで試着の申し込みができる。購入する商品以外のアイテムは送料無料で返品することが可能だ。

また、「パーソナルスタイリング(Personal Styling)」と呼ばれる機能を使えば、スタイリストがオンラインでユーザーに商品選びやコーディネートの提案を行う。サイトには、人気のモデルやスタイリストが登場し、特集記事も定期的に掲載される。

ストライプとソフトバンクの記者会見

2月15日に開かれた記者会見で握手をする、ストライプCEO・石川康晴氏(中央)とソフトバンク執行役員・藤長 国浩氏(写真左から三番目)

小林優多郎

国内のEC市場では、アマゾン・ドットコムと楽天が全体の4割を占め圧倒している。追うソフトバンクグループ(Yahoo! ショッピング)は3位に位置するが、そのマーケットシェアは約9%(2016年)とトップグループ2社から引き離されている。ジェトロ(日本貿易振興機構)がまとめたレポートによると、アマゾンと楽天の2016年のシェアはそれぞれ、20.2%と20.1%。

「次の一手が見えてこない」

「(ソフトバンクは)EC包囲網を作っているように見えるが、孫さん(孫正義氏)のこの分野における次の一手が見えてくるまで何とも言えない」と、ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は断った上で、「高齢化が進み、これから数年でスーパーやデパートに買い物に出かけることが困難に感じる消費者は増えてくる。いわゆる『買い物難民』が都市部でも地方でも増加する中、EC市場が成長することは間違いない」と断言する。

国内のBtoCにおけるEC市場規模(取引総額)は2016年、前年から10%増え15兆円を超えた。経済産業省の報告によると、2010年の約7兆7900億円から倍増している。スマートフォンを経由する物販分野における取引額が前年から29%拡大して約2兆6000億円となり、全体の市場規模の拡大に貢献した格好だ。

楽天・三木谷浩史会長とウォルマートCEOのダグ・マクミロン氏

楽天とウォルマートの戦略的提携で、1月26日の記者会見に出席した楽天会長兼社長の三木谷浩史氏とウォルマートCEOのダグ・マクミロン氏。

撮影:伊藤有

楽天会長兼社長の三木谷浩史氏とウォルマートCEO(最高経営責任者)のダグ・マクミロン氏は1月26日、「未来の小売りはデジタルと実店舗のコンビネーションとなり、この2つを組み合わせたハイブリッド型を進めることが効果的だ」と強調し、日本で協業を始めるネットスーパー事業で、関東地方を中心に配送センターを設けて、配送能力を拡大していくと説明。生鮮食品や日用品だけでなく、カット野菜や半調理食品などの簡易食品の品揃えも拡充させるという。

楽天・ウォルマートがアマゾンを追う

楽天とウォルマートは電子書籍(e-book) 事業でもアライアンスを組み、アメリカ市場で拡大を図る。楽天グループの「Rakuten Kobo Inc.(本社:カナダ・トロント市)とウォルマートは、アメリカ市場における楽天 Koboの量販店としてウォルマートが独占販売を行うことで合意し、2018年中に、楽天 Koboが取り扱う電子書籍やオーディオブックを「Walmart.com」の利用者に販売していく。

楽天とウォルマートの共同記者会見から2週間後の2月8日、複数の国内メディアがソフトバンク、ヤフー、イオンの共同通販事業構想を伝えると、ソフトバンク広報担当は「検討していることは確かだ」とコメント。報道によると、イオンの品揃えと物流ネットワークに、ヤフーの持つテクノロジーを融合させて、食品や衣料品などを扱っていくことを検討している。

イオン広報担当者は、「協議をしているのは事実だ。現時点で決まったことはない」とBusiness Insider Japanの取材に答えた。ソフトバンクの広報担当者も「検討はしている」と述べ、詳細に関するコメントを避けた。

アパレルのオンライン・ショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが速いペースで事業拡大を進める中、15日の記者会見に出席したストライプCEOの石川康晴氏は、「ZOZOTOWNのスタート時は17ブランド、ストデパ(STRIPE DEPARTMENT)は600ブランドでスタートした。今後10年くらいでやり切れるのではないだろうか」とした上で、「デジタルマーケティングをどう活用できるかが肝になってくる」と述べた。

一方、ソフトバンクでデジタルマーケティング事業統括部長を務める藤平大輔氏は、「店舗業務のオートメーションや無人店舗なども実現していきたい。ウェブ店舗だけでやっていくことはない」と話した。

(文・佐藤茂、小林優多郎)

(編集部より:ストライプインターナショナルとソフトバンクからのコメントを最終段落に追加し、記事を更新しました)

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