アマゾン・ブックスは、同社のより大きな狙いのためのショールームのよう。つまり同社のハードウエアやサービスを売り込むことだ。
Mark Matousek / Business Insider
- アマゾンは驚異的なスピードで成長している。一方、老舗書店バーンズ・アンド・ノーブル(Barnes&Noble)は長年、苦戦を続けている。
- バーンズ・アンド・ノーブルの店舗はアマゾン・ブックスより魅力的。だがアマゾン・ブックスのミニマリズムは、小売チェーンの未来像と言えるだろう。
- アマゾン・ブックスのビジネスモデルは、書店にとっての理想形ではない。書店には、本との思いがけない出会いを生み出すような専門的な棚づくりと十分な在庫が不可欠。
アマゾンとバーンズ・アンド・ノーブルほど、大きな違いが現れた会社はない。アマゾンは世界で最も企業価値の高い企業の1つ。一方、バーンズ・アンド・ノーブルは長年、苦戦を続けており、年末商戦での低迷を受けて従業員を解雇すると発表したばかり。
両社を競合と捉えること自体も奇妙なことだ。2015年、初のアマゾン・ブックスがオープンする以前、アマゾンは実店舗を持っていなかった。現在は13店舗を展開、苦境を打開しようとするバーンズ・アンド・ノーブルに立ちはだかる壁にもなっている。アマゾンによれば、さらに3店舗のアマゾン・ブックスが間もなくオープンする予定だ。
ニューヨークの両方の店舗に行ってみた。そこには、小売業の未来に関する重い現実があった。
まずはミッドタウンの34丁目にあるアマゾン・ブックスに行ってみた。ニューヨークにある2店舗のうちの大きい方で、面積は5200平方フィート(約480平方メートル)。
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アップルストアと昔からある街の書店を合わせたような感じ。
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表紙をずらりと並べた棚はよく整理されている。だが目に入ってくる情報が多すぎて、必ずしも良いとは言えない。
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品揃えのほとんどは、オンラインストアでの星の数とカスタマーレビューによって決まっているようだ。
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セレクトはいろいろ。
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本の価格は、店頭のバーコードリーダーでスキャンするかアプリを使う必要がある。オンラインより手間がかかる。
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だがアマゾン・ブックスは本の販売だけに注力しているわけではないだろう。店の中央には、アマゾンエコーなどの製品が並んでいる。
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キンドルもある。
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アマゾン・ブックスは、オンラインストアの実店舗版と言える。
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アマゾン・ブックスは、アルゴリズムで作られたように感じる。隣接するカフェまでも、読書や友だちとの語らいより「インスタ映え」を重視し、空間を広くとったミニマルなデザイン。
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次は、5番街にあるバーンズ・アンド・ノーブルへ。
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1階に、同社の強みと弱みが現われていた。
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本のディスプレイはうまい。だが無関係な商品が多すぎ。
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レジ付近はまるで100円ショップ。
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一貫性のない品揃えで店が雑然として見える。絶望的にも感じる。
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コイン収集に関する本や専門書など、一部の人にしか読まれないような本のディスプレイに多くのスペースを割いていた。
もっと狭いほうが、より良いサービスを提供できるのではないだろうか。
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だが、ある1点においては非常に優れている。本の販売だ。
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ディスプレイは昔ながらのスタイルで分かりやすい。
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全体的にアマゾン・ブックスより魅力的。
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ちなみにコーヒーショップとしてスターバックスが入っている。この点もアマゾン・ブックスより魅力的。
問題はあるが私はどちらかと言えばバーンズ・アンド・ノーブルで買い物したい。だがアマゾン・ブックスは小売チェーンの未来像に近いものだろう。
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だ。バーンズ・アンド・ノーブルは完璧ではないにせよ、魅力的な品揃えで、書店の生き残りが難しい街で地元の本屋に取って代わっている。だがその販売戦略は、アップルやWarby Parker(ワービー・パーカー)のように革新的ではなく、広すぎる売り場で多すぎる商品を扱い、苦戦している百貨店に極めて似ている。
ミニマルな手法はテック製品には最適かもしれないが、書店ではそうはいかない。在庫を絞れば絞るほど、まずは顧客に足を運んでもらうという目的から外れてしまう。バーンズ・アンド・ノーブルは、アマゾン・ブックスよりも良い店。だがそのビジネスモデルはもはや劣悪だ。
[原文:We visited Amazon and Barnes & Noble bookstores to see who does it better — and the winner is clear]
(翻訳:本田直子/編集:増田隆幸)