平野歩夢を破って金メダルを獲得したショーン・ホワイト。
Quinn Rooney/Getty Images
- 平昌オリンピック、スノーボード・ハーフパイプでショーン・ホワイトは金メダルを獲得。3度目のオリンピック王者となった。
- 何人かのスノーボード選手はかつて、彼が好きではないと語っていた。
- マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、トム・ブレイディといった超一流選手たちも、情け容赦ないほど競争心が強いと言われている。
ショーン・ホワイトは2月14日、平昌オリンピックのスノーボード・ハーフパイプで、ドラマチックな滑りを見せ、自身3度目となる金メダルを獲得した。
彼にとって今回の勝利は、2014年のソチ・オリンピックで失敗し、表彰台を逃したことへのリベンジ。だがライバルたちが彼の勝利をどう考えているかは分からない。多くの選手が以前、彼を嫌っていた。
「スノーボード・コミュニティは皆、ショーンが好きではない」とアメリカのスノーボード選手、ブランドン・デイビスは2014年、タイムに語った。
「彼は皆と距離を置いている。一匹狼」
これはデイビスだけの考えではない。ホワイトは、あえてライバルとは距離を置いていると語っている。
「他の選手と一緒に滑るのは好きではない。なぜなら彼らはライバルだから」とホワイトは今月初めに語ったとワシントン・ポストは伝えた。
こうした姿勢は同時にホワイトを、仲間意識の強いスノーボード・コミュニティから浮いた存在にしている。スノーボードでは競技のときも、のんびりした雰囲気になりがち。だがホワイトの激しい競争心は、各界の一流選手にとっては極めて当たり前のこと。
マイケル・ジョーダンとコービー・ブライアントはバスケットボール界のカリスマ選手、彼らも情け容赦ないほど競争心が強いことで知られている。ジョーダンは自身の業績が称えられたときでさえ、過去に自分が軽んじられたことを引き合いに出した。2009年、バスケットボール殿堂入りでのスピーチで、何人かを名指ししたことはよく知られている。
試合での最高のパフォーマンスにもかかわらず、ブライアントはチームから愛されることはなかった。ブライアントはロサンゼルス・レイカーズのゼネラル・マネージャー、ジェリー・ウエストに一度、こう語っている。「チームメイトは私を嫌っている」と。
そしてアメリカンフットボール史上、最高のQBと称えられるトム・ブレイディも、チームスタッフではなくパーソナル・トレーナーを使っていることで、チーム内で亀裂を生んでいると伝えられた。
激しい競争心はチームメイト、そしてライバルとの間に亀裂を生み出すこともある。だが、ファンはしばしばそうした選手を「頼りがいのある選手」として応援する。彼らは自分に自信があるからこそ、試合を決める最後のシュートを打ち、逆転の超ロングパスを投げる。ホワイトは今回、最後にほぼ完璧な滑りを見せて、金メダルを取った。
ホワイトを中傷していた人のうちの何人かも、2014年からのネガティブな感情が少しなくなったと語った。
「ホワイトが好き、嫌い、どちらにも確かな理由があるのだと思う」と平昌オリンピックに出場しているスキー選手、ガス・ケンワージーはワシントン・ポストに語った。
「勝ち続けている選手が好かれないのはよくあること。だが今のホワイトは少し違うと思う」
今はそれほど孤独ではないのかもしれない。
(敬称略)
(翻訳/編集:増田隆幸)