商社で増えるミレニアル離職、丸紅社長が明かす人材育成の新たな一手

丸紅の國分文也社長は2月15日、変化の激しい時代環境を踏まえ、「ここで大きなイノベーションが起きない限り、サバイブできないという局面に来ている」との強い危機感を示し、4月から社内外との業種をまたいだ人材交流制度と、丸紅グループ内の選抜人材を集めたアカデミア(学園)形式のイノベーション創出の場の開設を検討していることを、明らかにした。

「働き方を考えるカンファレンス2018『働くを定義∞する』」(一般社団法人at Will Work主催)に登壇し、大阪大学大学院経済学研究科准教授の安田洋祐氏との対談で、話した。

対談風景。

働き方を考えるカンファレンス2018では、働き方改革の風潮が高まる中、改めて「働く」の定義について登壇者がディスカッションした。

國分社長は「社内でも盛んに言っているが、スパークするような、まったく違う個、知性を入れないとイノベーションは起きない」と強調。そうしたイノベーションを起こしていく上で「一番必要なのは多様性。国籍、性別、年齢、全く関係なく、違う考え方、違う発想、違う文化をいかに取り込めるかが、一つのキーだと思っている。その多様性を入れるために、これからいろんな仕組みをこれから作っていく」とした。

具体的な動きとして「今年(2018年)の4月からいろいろ制度を変えようと思っているが、その一つが、社内の人材交流の制度化。(社内の)いろんな業種をまたいで1年か2年、人の交流をやる。社外(企業への)の留学制度もこれまでなかったが、制度化する」との構想を明らかにした。

専門領域を決めて、その中でキャリアパスを歩ませることが通例の、商社の人材育成策としては異例の取り組みとなりそうだ

丸紅社長。

「イノベーションがなければサバイブできない」と語る、丸紅の國分文也社長。

さらに、社内からのイノベーション創出を目的とした、アカデミア形式の「場」づくりも検討しているという。海外からトップを迎え、丸紅本体の社員はじめ、グループ内から数十人程度を選抜。1年間のプログラムで、社外との交流を通じて、発想や変革を生み出す仕組みとして機能させていくという。

「研修では決してない」(國分社長)と強調し、新たなビジネスにつながるイノベーションを目指す姿勢だ。

安田氏の「今までにない組み合わせ、コンビネーションがイノベーションのコアだと言われている。領域を超えた人事異動や、外部から人を入れて多様性を強引に入れるなどの、新たな取り組みを進めているか」との質問に答えた。

丸紅は2016年から、ビジネスアイデアの社内公募を実施しているが、イノベーション創出の場づくりは、その進化版となりそうだ。

高まる商社ミレニアルの離職率

また、対談の中で「最近30歳ぐらいの 離職率が商社全体で非常に上がっている」との傾向を明らかにした。

ただし、「マーケットバリューのある人」が前提とした上で、「戻ってきている人も、ものすごく多い。幹部社員にも役員にも、(社外に出てから)戻ってきた人がいる。ある意味、そういう循環作用は生まれつつあり、そういう社会、文化ができつつあると感じている」として、人材の流動性が高まっているとの実感も示した。

そうした中で「若手に一番提供したいのはオポチュニティー(機会)」と話し、「これからの時代をつくっていくのは若い世代。若い世代にどうチャレンジさせるか、モチベートさせるかが、問題だ」と、若手の育成に力を入れる姿勢を見せた。

at Will Work主催の「働き方を考えるカンファレンス」は今年で2回目。「働き方の選択肢がある社会」を目指し、企業、個人、団体の事例共有の場として、約800人が参加。テクノロジーやマネージメントなど8つのキーワードで、働き方のこれからについて議論を交わした。

(文・写真、滝川麻衣子)

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