物議を醸すか、仮想通貨取引所「Zaif」のテレビCM —— 業界団体は「CMの内容は未確認」

仮想通貨取引所コインチェックから約580億円相当の仮想通貨NEM(ネム)が流出し、仮想通貨業界が大きく揺れている。そんな中、取引所Zaifを運営するテックビューロが2月16日、女優の剛力彩芽さんを起用したテレビCMの放送を全国で始めた。

「ビットコインするならZaif 〜ハピネス篇〜」と題した本CM。Youtubeで公開された15秒バージョンでは、「ビットコインするならZaif」、「Zaif」と流れるオリジナル曲を背景に、黒いドレス姿の剛力さんが多数のダンサーとともに歩き、ビットコインのロゴ入りの林檎にキスをして「ビットコインするならZaif」とつぶやく。

リリース文によると、CMにより「Zaifの安全への取組について知っていただき、さらにはサービスの認知向上、そして業界全体のイメージ向上を目指す」という。

業界団体は1月末に広告規制を強化したばかり

一方、コインチェックの仮想通貨流出に始まった騒動は収束に向かう気配がない。関係者によると、テックビューロは金融庁の立入検査を受けている1社だとされる。仮想通貨取引所をめぐっては、2月16日の閣議後の記者会見で、麻生太郎財務・金融担当相は、登録申請中の「みなし業者」15社に対し立入検査を実施する方針を明らかにしている。

また、さかのぼること約2週間前の1月29日には、仮想通貨の業界団体「日本仮想通貨事業者協会(JCBA)」と「日本ブロックチェーン協会」は会員企業に対して、仮想通貨の広告を管理する態勢を整備するよう要請したばかりだ。

テックビューロはJCBAに加盟し、また代表取締役の朝山貴生氏はJCBAの理事も務める。業界の自主規制に注目がことさら集まるなかでのCM開始。

日本仮想通貨事業者協会広告規制

出典:日本仮想通貨事業者協会

JCBAの担当者は、以前のBusiness Insider Japanの取材に対し、「テレビCM出稿やSNSアカウントの登録自体は規制しない。既存の金融商品に関する広告規制を参考に、リスクの表記や、個別の通貨を推奨したり、インサイダー情報を流さないように要請した」と回答していた。しかし、今回のZaifの新CMを見る限り、リスクの表記が大きく変わった様子はない。

関連記事:コインチェック余波で広告に「規制」SNSの発言やリスク表示も —— 業界団体が要請

コインチェックは、2017年12月8日からお笑いタレントの出川哲朗さんを起用したCMを開始。このCMでは最後の約1秒で「法定通貨とは異なり」、「レートの変動により損失を被る可能性もある」こと、「取引内容をよく理解し、自身の判断で行う」ことを明記していた。

coincheckCM

コインチェックのCMでは最後1秒ほどリスク表記が流れた。

出典:coincheck

ZaifのCMも大きくは変わらず、「法定通貨とは異なり」、「レートの変動により損失を被る可能性もある」こと、「取引内容をよく理解し、自身の判断で行う」ことを明記。違いと言えば、金融庁の登録業者であることが追加された点ぐらいだ。

zaifCM

コインチェックのCMに比べ少し文言が増えたが、ほとんど変わらない。

出典:Zaif

これは「広告規制」の新たな自主規制ルールに沿っているのか。

JCBAの担当者は「テックビューロ社から事前にCMの相談は受けていたが、(途中でCM出稿を停止すると発生する)契約の違約金が発生してしまうタイミングであり、今回は移行期間の措置として例外的に認めた」と回答。ただし、取材時点(2月16日12時40分頃)では「まだCMの内容を確認できていない」としている。

金融庁は「個別案件に対しては会社の経営判断でありコメントしない」としながらも、「資金決済法上、金融庁が直接的に広告を規制することはない。しかし、利用者保護の観点から、広告などが適切な情報を提供しているか、または誤解を招くような情報を提供していないかを注視している。また、業界団体に対しては規制強化をするよう求めている」と回答した。

テックビューロはCM放映に関するBusiness Insider Japanからの質問に対し、次のようにコメントした。

「CM出稿タイミングについては、立ち入りに関係なく、以前から計画していたものです。仮想通貨やブロックチェーン技術、仮想通貨取引所への社会的関心も日々増している中で、一般消費者へ向け、当社が運営する仮想通貨取引所『Zaif』の安全への取組について知っていただくと共に、業界全体のイメージ向上を目指し実施しております。内容を都度協会サイドに確認する必要はないですが、適宜調整は図っております」

編集部より:テックビューロよりZaifのCMに関する回答をえられたため、記事をアップデートしました。2018年2月16日 20:35)

(文・室橋祐貴)

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