平昌五輪で試した、2月中韓国無料の au「世界データ定額」—— 海外ローミング最新事情

仁川国際空港で記念撮影をする親子

仁川国際空港で記念撮影をする親子。当然、思い出を共有するのにスマートフォンは便利だ。

キャリア回線を海外で使う際の「海外ローミング代」が高いという先入観はいまだに根強い。けれど、それはもう古い固定観念だ。

海外でもスマホ便利だが「パケ死」の印象はいまだにある

オフラインのスマートフォン

海外では機内モードのままにしている、というパターンもあるのでは。

海外出張で気をつけたいことは、パスポートの紛失、現地通貨やクレジットカードの確保などだが、スマートフォン全盛の現代では「データ通信環境の確保」も当然必要な項目だ。

ドコモ、au、ソフトバンクの国内3キャリアを契約しているのであれば、データ通信環境の確保は「海外ローミング」で解決できる。海外ローミングの料金は年々低下傾向にあり、短期間の海外出張や旅行であれば、Wi-Fiルーターをレンタルするよりもむしろ安く済むキャリアが増えてきた。

たとえば、auの「世界データ定額」もそういったキャリアの海外ローミングサービスの1つだ。

平昌オリンピック 4G

現地時間24時間、980円で使える。LTE提供エリアであれば現地4G回線で快適。

世界データ定額は、同社で販売するiPhoneおよびAndroidスマートフォンで利用できる海外ローミングプラン。24時間ごとに980円という料金設定で、163の国と地域で利用できる(2017年2月時点)。利用エリアは米国本土、ハワイ、台湾、韓国など日本人渡航者の渡航先の約99.9%をカバーしている。

KDDI SMS

世界データ定額対象の契約および地域であれば、電源の利用開始時および終了時には無料のSMSが端末に届く。その後も開始・終了時にSMSが届くため「いつから使い始めたのか」「ちゃんと止まっているのか」を確認しやすい。

KDDI 世界データ定額

利用可能な残り時間が表示される(韓国では2月末までキャンペーンにより、何回でも利用料無料)。

利用前の準備は、同社の通信オプション「データチャージ」(月額無料)に加入して専用のアプリを入れ、スマートフォンのデータローミング設定をオンにしておくだけ。渡航毎の事前申請は必要ない。現地到着後にアプリを起動し、画面にしたがって海外ローミングを開始すればいい。ユーザーが任意でローミングを設定しない限り、auのサポート(無料)以外へのデータは流れず、課金ははじまらない仕組みだ。

ちなみに、裏技的だが、実はアプリのインストールを忘れていても利用できる。入国時に届くSMSに書かれているリンクをタップすると、世界データ定額の専用ページが表示され、そこからアプリと同様にローミング開始の設定やローミング停止までの時間を確認できるようになっている。

KDDIは東京五輪イヤーまでに海外利用率30%を目指す

KDDIの同サービス担当者によると、「現状で海外のデータローミングの利用率は、全契約者数の10%台後半」だという。世界データ定額は海外で利用したデータ量が国内での月々のパケット使用可能量から減らしていく仕組みで、ARPU(1回線あたりの売り上げ、KDDIでは1アカウントごとに計算する「ARPA」)向上を図るためにも同社にとって重要な施策の1つだ。同社では「2020年までに30%を目標にしたい」と語っている。

筆者は取材などで年に数回海外へ行くことがあるので、世界データ定額もWi-Fiルーターも現地SIMもそれぞれ使ったことがある。今回は平昌オリンピックの取材にあわせて世界データ定額を利用した。2月末まで実施されている「韓国無料キャンペーン」を試すためだ。

KDDI 特設デスク

2月中は韓国国内での利用は何回でも何時間でも無料(パケットは消費する)。また、仁川(インチョン)国際空港の第1・2ターミナルにある現地キャリア・LG U+のブースにはKDDIのサポートデスクがある。

平昌オリンピック 撮影

平昌オリンピックの観戦中、写真を撮ってインスタグラムにアップした。スピードも国内で使っているのと同じ感覚で十分だ。

国内キャリアによるローミングプランは「24時間定額」が主流に

他キャリアを見てみると、ドコモは現在「海外1dayパケ」という24時間ごと課金のサービスを展開しているが、3月15日以降は世界データ定額とほぼ同じ仕組みの「パケットパック海外オプション」をスタートする。

ソフトバンクは「海外パケットし放題」および「アメリカ放題」を展開しているが、前者は日本時間ベースで最大2980円/日(非課税)の段階制料金を採用しているなど、2社と比べると対応がやや遅れている印象がある(ただし、2月1日から手動による海外通信事業者の選択設定を廃止するなど進歩は見られる。また旅先がアメリカであれば、「アメリカ放題」は安価で良いサービスだ)。

もちろん、海外に長期滞在するのであればもちろん、現地SIMのほうが圧倒的に安いケースが多い。しかし、旅行や出張時はなるべく観光を楽しんだり、仕事をしたいもの。時間を効率的に使うためにも、日本の端末を海外に持っていくだけで使える、各社の海外ローミングのプランを見直してみよう。

KDDI 世界データ定額 韓国

2月末までの世界データ定額の韓国無料キャンペーンによって、サポートデスクでハンドクリームと免税店用のクーポンがもらえる。取材した江陵(カンヌン)会場の気温は常に氷点下を下回っていたので助かった。

(文、撮影・小林優多郎/取材協力・KDDI)

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