【保存版】大混戦模様の仮想通貨業界全覧——新規参入は「100社待ち」とも

引いた視点から仮想通貨業界を見ると、金融庁に登録済みの取引所だけでなく、新規参入を目指す企業や、無登録で営業する海外の取引所など、さまざまなプレーヤーがひしめく混戦模様が見えてくる。

メガバンクやLINE、メルカリといった注目度の高い企業が参入を表明し、今後は混戦に拍車がかかりそうだ。一方で、コインチェックから巨額の仮想通貨が流出した事案をきっかけに、政府による規制の強化をめぐる議論も始まっており、先行きの不透明感も強まっている。

仮想通貨取引所一覧

仮想通貨取引所の一覧。参入予定には大手銀行や証券会社、FX大手などがひしめく。高解像度を見たい方は画像をクリック。

仮想通貨の事業者の4つの分類

仮想通貨に関連する事業を手がける企業は4つに分類できる。

仮想通貨交換業者は、金融庁の審査を経て、登録を済ませている業者のことだ。2017年4月の改正資金決済法の施行で、登録をしていない業者は違法になる。同法の施行で、登録が義務付けられ、同年9月末から業者の登録が始まった。

みなし仮想通貨交換業者は、同法施行以前から、仮想通貨の取引所などを運営していた企業で、現在も審査中の企業をいう。コインチェックも、みなし業者のひとつだ。

新規参入の企業はみなし業者以外で、新たに参入を決め、金融庁の審査を受けているか、今後、審査を受ける企業。

これに加え、日本で事業を行っている海外の取引所の中には、登録の申請をせずに、無登録のままの企業もある。

新規参入はメガバンクなど「100社待ち」とも

もっとも注目すべきは、新たに参入を表明した企業の動向だ。

メガバンク、LINE、メルカリ、サイバーエージェントなどが参入の準備を進めている。強力なプレーヤーの参入で、業界の地図が大きく変わる可能性がある。金融庁による交換業者の審査は現在、「100社待ち」とも言われている。

メガバンクの一角である三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、独自の仮想通貨「MUFGコイン」の開発を進めている。2018年1月には、このMUFGコインを日本円などと交換する取引所の開設を目指していると報じられた。みずほフィナンシャルグループも、「Jコイン」の開発を進めている。

メガバンク

三菱UFJフィナンシャルグループは2018年度中の取引所開設を目指すという。

REUTERS/Kim Kyung Hoon

チャットアプリなどを展開するLINEは2018年1月31日、仮想通貨事業を担うLINE Financialを設立したと発表した。LINEで仮想通貨を交換できるサービスなどを展開するという。すでに、金融庁への登録を申請しており、審査を受けている。

サイバーエージェントも、2017年10月2日にサイバーエージェントビットコインを設立し、2018年春に取引所を開設する準備を進めている。

メルカリの子会社で金融関連の事業を担うメルペイも、仮想通貨による決済の導入を目指している。また、マネックス証券も参入方針を明らかにしている。

新規参入を目指す企業は相次いでいるが、コインチェックの巨額流出事案で、規制の強化や審査の厳格化が予想される。このため、準備中の企業も、参入のスケジュールの見直しを余儀なくされている。

国外の無登録取引所には警告も

日本国内で仮想通貨の取引所などを運営する企業で、金融庁への登録をしていない企業もある。

金融庁は2018年2月13日、資金決済法に基づき、中国のマカオに本拠地を置くブロックチェーンラボ(Blockchain Laboratory Ltd.)に対して、資金決済法に基づき警告した。必要な登録申請をせずに営業していると判断した。

ブロックチェーンラボの場合、日本でセミナーを開くなど営業実態があったことから、同庁は警告に踏み切ったとみられる。

このほかにも、拠点は海外にあるが、日本語で取引ができる仮想通貨の取引所などもある。

金融庁は2017年9月以降、登録申請をせずに営業している国外の仮想通貨取引所や、関連のビジネスを展開する国内外の企業15社に対して、会社の概要や営業内容などを問い合わせる照会状を送っている。

同庁は、無登録の業者で仮想通貨の取引をしないよう、注意を呼びかけている。

「みなし業者」16社は立ち入り検査を受ける見通し

みなし仮想通貨交換業者は、コインチェックを含め16社ある。アメリカの取引所Kraken(クラーケン)など、2017年4月に登録制度がはじまる前から取引所などを始めていた企業があったため、「経過措置」(金融庁)として設けられた制度だ。

インターネットで資金調達するクラウドファンディングサービスで知られるCAMPFIREも、みなし業者の1社に入っている。同社は仮想通貨取引所FIREXを運営していたが、登録制度の運用が始まった2017年9月29日にサービスの一時休止を発表している。

報道によると、麻生太郎金融相は2018年2月16日の閣議後の記者会見で、コインチェックを除く、みなし業者15社に順次、立ち入り検査する方針を明らかにしている。

2017年9月29日以降に、計16社が仮想通貨交換業者として登録された。bitFlyer(ビットフライヤー)Zaif(ザイフ)を運営するテックビューロGMOコインDMM Bitcoinなどがある。SBIバーチャル・カレンシーズもサービスの開始を準備している。

GMOフィナンシャルホールディングス

関係者によると、登録済み交換業者の中では、GMOコインとテックビューロが金融庁の立入検査を受けている模様だ。

撮影:西山里緒

関係者によると、GMOコインとテックビューロに対して、金融庁は立入検査を始めており、他の登録済み交換業者への検査実施も検討しているという。

コインチェックからの巨額の仮想通貨流出により、大きく揺れた仮想通貨業界は今後、さらに大きな変化がありそうだ。

(文:室橋祐貴、木許はるみ、小島寛明・チャート制作・枝常暢子)

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