格安SIMでiPhoneを“子どもスマホ化”、トーンモバイルが新事業に参入する理由

TONE SIM for iPhone

専用端末と回線を提供していたトーンモバイルだが、ついにiPhone向けSIMの提供を開始する。

格安SIMを提供する各社の重要課題のひとつは、iPhoneユーザーを上手く獲得することだ。

Tポイントなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下で格安スマホを展開するトーンモバイルは、iPhone向け格安SIMの提供を4月上旬から開始する。

同社はこれまで、自社ブランドスマホ「TONE」シリーズと回線をセットにして販売。端末から回線を自社で管理する方式で、高齢者や子ども向けの強力な見守り&サポートサービスを提供してきた。同社としては“SIM単体”の提供は今回が初めてだ。

石田CEO

トーンモバイル代表取締役社長の石田宏樹氏。

同社の石田宏樹社長は、新事業について「iPhone向けSIMはレッドオーシャン(既に競争の激しい市場)である」と語る。トーンモバイルは、格安スマホ事業者でありながら、これまでほかの仮想移動体通信事業者(MVNO)とは異なる独自路線を歩んできた。ここでその路線に新たな事業を追加するのは、高校生にまつわる、独特の「スマホ事情」が背景にある。

日本の高校生が使いたいのは、結局iPhoneだ

日本のモバイルOSシェア率

iOS(iPhone)のシェア率は日本では圧倒的。

いまさらだが、日本でのiPhoneのシェアは圧倒的だ。 StatCounter GlobalStatsによると、iOSの全世界シェアは19.6%なのに対し、日本では66.2%。さらに、高校生の所有する端末のOSシェアは、iOSが65.4%と全体と比べるとやや落ちるが、若者層のiOS支持率は高い(いずれも2018年1月時点)。

同社のTONEシリーズは、通信とハードウェアを組み合わせた見守り機能が強みではあるが、自分でスマホが選べる年齢になると、「やっぱり使いたいのはiPhone」となることをデータが示しているわけだ。

親と子の意識の違い

親は心配で見守り機能を使わせたいが、iPhoneでは多くの人がネットなどで検索し、見守り機能を解除してしまうのが実情という。

こうしたニーズを背景にiPhoneでも「親が安心できるスマホ」として「TONE SIM(for iPhone)」の提供に踏み切る。石田氏は「iPhoneのシェアがAndroidの3倍、さらに高校生市場が小中学生の2倍と考えると、トーンモバイルがいままで扱ってきた市場の約6倍の規模を狙えるのでは」と意気込む。

見守り機能はiOS標準と自社の独自技術の組み合わせ

TONEコントロールエンジン

iPhoneでの見守り機能を実現する「TONEコントロールエンジン」の仕組み。

TONE SIMの月額通信費は1500円。通信容量は無制限だが、速度は500〜600Kbps(1GBあたり350円で高速通信可能)。通話は通常時はIP電話のみで、別途かけ放題オプションや090の音声通話オプションも用意する。

TONE SIMを契約すると、閲覧サイトのフィルタリング、位置情報や利用状況の確認、アプリの利用制限など、TONEシリーズで実現していた見守り機能の大部分を利用できる。

子ども向けスマホに欠かせない「アプリの利用制限」などに関しては、iOS標準のモバイルデバイス管理機能(以下、MDM)を活用している。

この方法はKDDIの提供する「あんしんフィルター for au」などでも採用されているが、MDMのプロファイルをリアルタイムに書き替える機能や、親子間で定めたルールが守られていない場合には通信全体(SIMの通信)をストップする機能も備えている。これはSIMやアプリに加え、同社のファミリー管理システムやMVNO交換機を組み合わせた特許出願中の技術だという。

関連記事:iPhone Xや8が子ども用スマホに変身、KDDIの“あんしんフィルター”が「深い」理由

中古iPhoneが子ども向けスマホになる、CCCグループ内で連携

気になるのは、“子どもスマホ化”させるiPhoneの出所だ。石田氏はMMD研究所の調査結果を引用し「iPhoneユーザーの約60.7%が古い端末を自宅に保管している」と説明。さらに、日本の中古市場の拡大にも触れ、同じくCCC傘下で中古端末の売買を行うイオシスとも連携を図っていくとしている。

トーンモバイルは、iPhoneを取り扱う予定は現時点ではないとしているが、いままでカバーできなかった「“iPhoneを使いたい子ども”を持つ親」を自社の得意分野である見守り機能で獲得していく方針だ。

TONE m15とiPhone

同社のAndroid端末「TONE m17」(左)の提供はこれからも続けていく。今後、TONE m17の機能も順次iPhoneでも使えるようにしていく。

(文、撮影・小林優多郎)

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