再生医療へのVC投資が5年で3倍に増加 —— ゴールドマン・サックス報告書

バイオベンチャーの経営陣

左から: サムメッド(Samumed)のオスマン・カイバー(Osman Kibar)最高経営責任者(CEO)、Cevdet Samikoglu最高財務責任者(CFO)、Yusuf Yazici最高医療責任者(CMO)

Diana Yukari/Business Insider; photos courtesy Samumed

ゴールドマン・サックスの報告書によると、ベンチャーキャピタル(VC)は再生医療を研究する企業への投資を増やしている。2011年に2億9600万ドル(約328億円)だった投資額が2016年には8億700万ドルに増加、年間の成長率に換算すると、34%のペースで伸びている。

「再生医療は最も注目すべきベンチャー投資対象の1つだ」と報告書は言う。

ゴールドマン・サックスは再生医療を、幹細胞から細胞や皮膚を生成する手法、再生を促進する治療法、もしくは体外で作成した臓器や皮膚の移植と定義している。

これらの治療法が実際に機能すれば、人類がより健康的に、そして長く生きることが可能となり、人類の加齢のあり方にも革命が起こりうる。

報告書によると、VCから資金提供を受けた再生医療関連企業は過去3年間で80社に上る。また、2015年と2016年のVCによる高額投資のほぼ半分が再生医療関連だった。

グラフ

Goldman Sachs

報告書にはこの数年で巨額の出資を受けた企業がいくつか紹介されている。サムメッド(Samumed)は評価額120億ドルの非上場スタートアップで、毛髪、皮膚、骨や関節の再生に取り組む。ユニティ・バイオテクノロジー(Unity Biotechnology)は老化細胞に働きかける治療を研究している。老化細胞とは、分裂が完全に停止した細胞のことで、眼疾患や心疾患などと密接に結びついていることが明らかになっている。

ブルーロック・セラピューティクス(BlueRock Therapeutics)も報告書で紹介されている企業の1つだ。同社はドイツの医薬品・化学大手バイエルのスピンアウト企業で、2億2500万ドルの出資を受け設立された。iPS細胞を利用して心筋を再生する治療法や、パーキンソン病の治療法を研究している。

報告書は「この分野の先駆的研究者に支えられた企業や、画期的な設備を持つ企業は、高額投資の受け皿となり、企業価値も膨らむだろう」と指摘している。

倫理的な課題も浮上

これまでも数十年にわたって、多くの研究者たちが幹細胞と再生医療の研究を続けてきた。そこには、いくつもの挫折があり、注目を集めているスタートアップが失敗しない保証もない。しかし、研究者たちは楽観的に考えている。

アステラス製薬・再生医療研究所のロバート・ランザ(Robert Lanza)最高科学責任者(CSO)はBusiness Insiderに対し「これらのどれか1つでも成功させることができれば、文字通り何千万もの人々を助けることができる」と語った。

同社は、幹細胞を利用した失明の治療に取り組んでいるが、ランザ氏はこれを含めさまざまな治療法の実現に向けて、再生医療分野の先駆者や研究者を一致団結させようとしている。

「私たちはより良い世界をつくることができる立場にいる」と彼は述べた。

しかしながら、再生医療にはまだまだ多くの課題がある。細胞の仕組みは複雑で、アイデアや初期研究が実際に治療に応用できるかは未知数だ。また、倫理的な問題もくすぶっている。

「倫理的な課題にはヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)の利用方法、人間を被験者とする実験的研究の潜在リスク、移植用臓器をつくるための人間と動物の『キメラ』の開発などが存在する。再生医療の発展と共に、これらの問題に真剣に取り組み、解決する必要がある」と報告書は述べている。

[原文: Money is pouring in to a hot new area of science that could change the way we think about aging]

(翻訳:Yuta Machida)

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