スタートアップ登竜門イベント、優勝はフードベンチャー「TLUNCH」、首都圏のランチ難民を解消:ICC福岡2018

スタートアップ・カタパルト

ICC FUKUOKA 2018の1日目の一番最初のセッションとして、メイン会場で行われたスタートアップ・カタパルト。優勝したmellowの柏谷氏には、ファッションベンチャーのFABLIC TOKYO賞としてオーダージャケット権などが贈られた。

福岡で2018年2月19〜22日まで開催中の共創イノベーションカンファレンス「ICC FUKUOKA 2018」。そのオープニングを飾ったスタートアップの登竜門「スタートアップ・カタパルト」では、気鋭のスタートアップ12社が事業のもつポテンシャルを競いあった。

審査員からの投票で優勝企業に選ばれたのは、都内で増加中の移動型店舗フードトラックと、出店スペースをマッチングするプラットフォーム「TLUNCH」(トランチ)を運営する「mellow」だ。

出場したスタートアップ一覧

優勝
・フードトラックプラットフォーム「TLUNCH」/mellow(柏谷泰行氏)

2位(同列)
・完全食/ベースフード(橋本舜氏)

・完全無料の最先端工科大学「キリロム工科大学」/vKirirom(猪塚武氏)

4位
・コールセンターチャットボット「Karakuri」/カラクリ(小田志門氏)

5位
・ボイスメディアサービス「Voicy」/Voicy(緒方憲太郎氏)

その他のエントリー
・AI営農支援システム「RightARM」/テラスマイル(生駒祐一氏)

・料理人の起業支援「横丁コミュニティ」/アスラボ(片岡義隆氏)

・情報共有ツール「Stock」/リンクライブ(澤村大輔氏)

・定型業務自動化ツール「BizteX cobit」/BizteX(嶋田光敏氏)

・人材採用支援ツール「HERP」/HERP(庄田一郎氏)

・完全食「COMP」/コンプ(鈴木優太氏)

・歯医者向けプラットフォーム/DentaLight(藤久保元希氏)

ICC FUKUOKA 2018スタートアップ・カタパルトの様子(公式動画)。


フードトラックのマッチング「TLUNCH」起業の半端じゃない熱量

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フードトラックビジネスはいま、オフィスの近くに飲食店がないというような、都市圏特有の「ランチ難民」の問題を解決する存在として注目を集めている。

関連記事:なぜ急増?ビジネス街ランチ難民の救世主「フードトラック」 —— 私たちはコンビニ飯に飽きている

mellowの柏谷泰行代表がTLUNCHを着想したのは、以前の職場近くのフードトラックで食べたお弁当が「めちゃくちゃうまかった」という体験からだという。会社経営のかたわら、自分自身でもフードトラックの見習いをしながら、フードトラック独特の原価構造や課題を実地で学んだ。

TLUNCHのプレゼン資料

食事を栄養摂取の作業のように摂るスタッフの姿に、オフィスの「食」問題という課題意識を感じていた柏谷氏。


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フードトラックでの食事体験が大きなきっかけとなり……。


TLUNCHのサービスをおこす前

上場企業を経営しながらフードトラックの見習いまで始めてしまう。

たとえば、フードトラックは物理的な店舗を持たないため賃料がかからず、「1日平均50食売れれば利益が出る」というビジネスで、また店舗内装工事も不要のため「開店の初期費用が店舗の5分の1(=約200万円)」で済む。だから、いま首都圏のオフィス街を中心に、自分の店の代わりにフードトラック起業をするオーナーシェフが増えているのだという。

一方で大きな課題は、「売る場所が足りない」こと。道路上に路駐して販売をすると道路交通法違反になってしまうため、ビルオーナーに交渉して、私有地を販売スペースとして使わせてもらう必要がある。けれども、販売スペースの開拓は、そう簡単にはいかないことも多い。

TLUNCHの収益構造

TLUNCHの収益構造。ビルオーナーにとっても、収益源が増えるというビジネス的な取り組みとして提案できるモデル。既存の有料駐車場よりも収益が高いケースも出てきているという。

TLUNCHのコアビジネスは、ビルオーナーへの交渉から場所の借り上げまでを一括して行い、フードトラックオーナーに「出店機会」を提供する。フードトラックは売り上げの15%をTLUNCHに支払い、TLUNCHはそのうち5%をビルオーナーに支払う。残り10%が、TLUNCHの収益だ。

TLUNCHがユニークなのは、単に場所とトラックをマッチングしているだけではないという点だ。

たとえば、店舗が移動できるというメリットを生かして、「日替わり配車」することで、毎日飽きずにランチが食べられるという仕組みを、すでに実現している。また、どんなフードトラックが、いつどこで売れているのかという、ある種の「フードトラックの商圏データ」を独自に分析して、そのオフィス街にマッチしたトラックを配車。これによって、個店の売り上げ最大化の支援もしている。2016年と2017年の比較では、1店舗あたりデイリーで144%の売り上げ増になったという。

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フードトラックの配車をコントロールできるプラットフォーマーだからこそできる機能。日替わりになることで、「飽き」が起きにくくなるため、売り上げ向上の意味もありそうだ。

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出店管理システムでは、地域ごとの嗜好の傾向をもとに、より人気の出るフードトラックを配車しているそう。

mellowの柏谷泰行代表

スタートアップ・カタパルトの結果発表後にインタビューを受けるmellowの柏谷泰行代表。

結果発表を終えたmellowの柏谷代表に聞いたところ、出店スペースの開拓は、社員などが地道に足を使って見つけてくるそうだ。

そもそも、近くに食事できる環境がないビルは、不便だという理由で賃料自体にもマイナスの影響がある。だから、ビル所有者側からしても、お洒落で味のレベルも高いフードトラックが営業することは、むしろ歓迎している部分がある。

TLUNCHは今後、フードトラックの配車時間をランチどき以外にも拡大していくほか、食事以外のトラックとして、4月からマッサージトラックの配車も開始する予定だ。

(文、写真・伊藤有)

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