あなたの会社の会議がイケてないのは経営会議が原因だ——すごい会議の仕組みとは

会議風景

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会社や事業の方針を議論する「経営会議」、若い皆さんはまだ参加したことがないかも知れません。

私はさまざまな経営会議に参加した経験がありますが、参加者、アジェンダ、会議の進め方、ホントさまざまなのです。たかが会議ですが、経営会議がイケてる企業は、その後成長していきます。逆にイケてない経営会議をしている企業は、衰退していきます。

経営会議の仕方は、その会社のほかの会議のあり方にも影響しています。皆さんの参加している会議がイマイチならば、きっと経営会議もイマイチなのです。今回はイケてる経営会議の仕方について考えます。皆さんが普段参加している会議をよくするヒントにしていただければ嬉しいです。

アイデア出しの阻害要因はM&M

突然ですが、皆さんは、どのような場面でクリエイティブなアイデアを思いつくでしょうか?

ある人は自宅の特定の場所を挙げます。お風呂、ベランダ、リビングあるいはトイレなど。ある人は時間帯を挙げます。例えば、早朝や深夜。飛行機や新幹線で長距離移動しているときにアイデアを思いつく人もいるようです。

共通していることは2つ。一つは仕事から離れていること。オフィス内、就業時間内ではないのです。

もう一つは、「M&M」がないことです。「M&M」とは、Meeting(会議)とManager(上司)です。アイデアを考えているときは、集中力が必要です。その集中を阻害するのがM&Mです。集中していても、Meeting(会議)時間になると参加しないといけません。急にManager(上司)から指示があれば、優先的に対応しなくてはいけません。

ここで経営会議を思い出してください。会社内で最も高い役職者が集まって会議をし、会社や事業の最も重要なことを議論して決めているのが、経営会議です。この会議こそ最もクリエイティブであってほしいのですが、実はもっともクリエイティブになりにくい2重苦、M&Mを背負っているのもこの会議なのです。

つまり、普通にやると経営会議はつまらない会議になるということです。

どのようなアジェンダを経営会議で扱うと良いのか

経営会議をクリエイティブにするにはどうすればよいのでしょうか。

アジェンダの決め方図解

入口として重要なのは、会議のアジェンダの決め方です。このアジェンダは、「重要度」と「ステップ」の2軸で整理することができます。

例えば、「重要度」は、(1)高(2)中(3)低の3つに区分できます。「ステップ」は、①議論(発散)→②議論(収束)→③決議→④報告の4区分できます。つまり、アジェンダには3×4の12種類に区分できるわけです。

経営会議では、さすがに重要度の低いものは無いでしょうから8区分、さらに言えば重要度の中も外し4区分が実態でしょう。

一方のステップでは、上流工程にあたる①議論(発散)に対して、相対的に充分な時間を取るべきです。例えば議論(発散)が十分でなく、本来の選択肢を見逃してしまっていた場合、その後の②議論(収束)→③決議のステップは、意味を無くしてしまうからです。

つまり、重要度の高いものの議論(発散)にこそ時間を取る必要があるのです。そして、議論を発散させるには、意見が異なる人が参加していることが重要です。

現在も、経営会議参加者の顔ぶれは、プロパー、男性、経営管理部門の人たちが多いのではないでしょうか。最近は女性、外国籍あるいはデザイン部門など多様なバックグラウンドの人を入れようとする動きがあります。経営会議の目的に照らせば、方向性は間違っていないと思います。

イケてる・イケてないの違いは何か

私が考えるイケてる経営会議とイケてない経営会議の違いをお伝えしたいと思います。違いは、(1)誰が(参加者)(2)何を(アジェンダ)議論しているのか、そして(3)決議後の態度の3点に現れます。順に見ていきましょう。

イケてる経営会議の特徴

  1. 誰が:意見が異なる人、部門の利益代表ではない人が厳選された少人数
  2. 何を:トレードオフのあるアジェンダに会議時間を多く配分する
  3. 決議後の態度:disagree but commit:最初の意見が異なっていても、決まったら実行する。

参加者の決め方

つまり意見が異なる少人数が集まってトレードオフのあるアジェンダの議論が重要ということです。トレードオフとは、こちらを立てれば、こちらが立たないということが起こりがちな問題です。短期業績と中長期の投資、労働時間削減と短期業績などです。解決するのが難しいテーマを、意見が異なる人が集まり、活発に議論して解決策を見出していきます。参加者が部門代表ではないので、利害にとらわれにくく本質的な議論ができます。少人数なので率直に議論でき、決まった後にコミットもしやすいのです。

イケてない経営会議の特徴

  1. 誰が:意見が類似している人や部門の利益代表を集めた大人数
  2. 何を:コンセンサスを得られるアジェンダに会議時間を多く配分する
  3. 決議後の態度:agree but non-commit:その場は納得した様子だが、実際は実行しないことも多い。部下に報告する際に、「俺は意見が違ったのだが……」と言い訳を伝えがち。

意見が類似している部門の利益代表が集まり、会議の事務局メンバーも、できるだけコンセンサスが得られるように事前根回しをします。コンセンサスが得られるアジェンダが中心になりやすいので、活発な議論や本質を深掘りするような議論は不要です。大人数なので、そもそも率直な議論は難しい。参加者は部門代表なので、自組織に不利にならないように振る舞いますし、もし不利な結論が出た場合には、部門メンバーへの言い訳が必要になるのです。

経営会議に限らず、皆さんが参加している会議でも、思い当たることがあるのではないでしょうか。特に一般の会議では、どうしても④報告案件が多いので、一層イケてない会議になる可能性が高くなります。日々の会議こそ、面倒と思わずに上に書いたポイントで会議を振り返ってみてください。

重要テーマに時間を使うためのポイント

いざ会議になるとなかなか時間のコントロールが上手くいかないという声をよく聴きます。次の3ステップで会議時間の有効活用が可能です。

会議設計のステップ

1. アジェンダの整理・取捨選択

さすがに経営会議では実施しているはずだと思うかもしれません。ところが、社内の会議規定などでもともと定められているアジェンダにより、定期的に時間を取られていないでしょうか

具体的には、過去1年間のアジェンダを洗い出してグルーピングし、取捨選択します。この作業を通して、見える化することで、経営会議から下部会議に権限委譲が可能なケースもあります。実際、私が担当していた経営会議でも複数見つかりました。経営会議以外の一般の会議では、これを定期的に実施することで、時間の有効活用が可能です。

2. タイムスケジュールの設計

事前にアジェンダと論点を明確にした上でタイムスケジュールを設計し、資料とともに事前共有するのです。アジェンダとタイムスケジュールは事前に決めていることが多いと思いますが、論点を明確にしていないケースが、散見されます。

タイムスケジュールも小項目が不明確なケースが多いです。具体的には、一つの大アジェンダに対して、資料説明と議論と結論というような小項目の時間が不明確なのです。これらを設計するだけで、会議を効率的に進められます

3. 事前審議(当日プレゼン無し )

経営会議は、時間と場所を合わせて実施します。最近はITを活用することで、テレワークや海外など遠方からの参加も可能になり、場所の制約にしばられないケースが出てきましたが、この場合でも、時間は共有し、音声の会話でコミュニケーションをします。この「リアルタイム」と「会話」という制約も外せないでしょうか?この観点で事前に対応できるものは事前に処理するという発想が「事前審議」です。

参加者は事前に共有される資料を読み、その起案内容に対して、「承認」「否認」「保留」といった意思表示を行います。「否認」「保留」の場合は、その理由をコメントで明確にする。参加者全員が「承認」の場合は、議論の必要がありませんし、既に皆理解している内容なので、アジェンダから省けます。起案者は経営会議前に次のアクションを取り始めることができます。「否認」「保留」の場合も、経営会議メンバーの態度とその理由が明確になっているので、起案者はそれに基づいて次の準備ができるわけです。つまり、経営会議当日の議論が1段階早まるわけです。

経営会議当日も、資料説明時間を省くことができます。皆さんも実感があるかもしれませんが、実は、会議で一番時間を使っているのは資料説明時間です。削減できれば、本来やりたい議論に時間を使えるようになるのです。

私自身、リクルートマネジメントソリューションズでこの事前審議の方法を学び、その後自分が就いた組織でも活用しました。リクルートグループ内のいくつかの会社は、類似の事前審議の方法を活用して、重要アジェンダ、つまり難しいけれど解決すべき課題や、クリエイティブな発想を生み出すことに時間を使っています。このような会議の位置づけや運営の仕方が、リクルートの骨太な新規事業開発につながっているのではないかと考えています。

私が考えるこのイケてる経営会議を行うことができれば、会社が変わるのではないか、という仮説をもって、実際に取り組んでみてもらえないかとある会社に相談してみました。次回は、その会社での実証結果をお伝えしたいと思います。

(文・中尾隆一郎)


中尾隆一郎(なかお・りゅういちろう):リクルートワークス研究所副所長。大阪大学大学院工学研究科修了。リクルート入社。リクルート住まいカンパニー執行役員(事業開発担当)、リクルートテクノロジーズ社長などを経て、現職。

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