人生100年時代を生き抜くために20代から身につけたい7つの資質とは

イベントの様子

人生100年時代、働く期間が長くなると言われるこれからの時代に向け、今の20代・30代はどんなスキルを身につけていくべきなのか。

2018年1月24日、“キャリアのカリスマ”として注目されている4人のスピーカーを招いて開催されたBI主催イベントは立ち見が出るほどの大盛況に。生き残る人材になるために知っておきたいアドバイスが満載の当日の内容から、ハイライトをレポートする。

<スピーカーのプロフィール>

東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 柳川範之さん

・1963年生まれ、経済学博士。専門分野は金融契約、法と経済学 。父親の海外赴任をきっかけに“中卒”のまま独学生活を送り、通信教育過程で慶應義塾大学を卒業。“独学で東大教授になった”という異色のキャリアの持ち主。

・2013年に「40歳定年制」を提唱し、注目を集める。

経済産業省 産業人材政策室 参事官 伊藤禎則さん

・1994年、経済産業省入省。米コロンビア・ロースクール修士、NY州弁護士資格取得。

・日米貿易摩擦交渉、エネルギー政策などを担当。筑波大学客員教授、大臣秘書官を経て、2015年より現職。

・経産省内で「柔軟な働き方に関する3研究会」(2016年10月〜17年3月) や「人材力研究会」(2017年10月〜18年3月) を主導するなど、働き方改革 と人づくり革命 の“官の旗振り役”として知られる。

オールラウンダーエージェント、morichi代表 森本千賀子さん

・1993年にリクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社し、2010年より経営層のキャリア支援に特化したリクルートエグゼクティブエージェントに所属。これまで約2000人の転職に携わる。

・2017年3月に会社設立。会社員との兼業期間を経て、同年9月に独立。

・パラレルキャリア(兼業・複業)を自ら実践しながら、キャリアの市場価値を高める手法として発信中。2児の母。

パナソニック社員 One JAPAN 共同発起人・代表 濱松誠さん

・1982年生まれ。2006年パナソニックに入社し、北米向けテレビのマーケティングを担当した後、インド事業推進室へ。

・2012年、社内公募に手を挙げ、「転職するくらいの気持ちで」人事へ異動。グループ内の若手社員交流会「One Panasonic」を発起人として活動を広げる。他社も巻き込んだ大手企業若手の交流会「One Japan」へと発展。

・2016年、パナソニックとして初となる資本関係のないベンチャー企業(パス)への出向。現在はIoT家電プロジェクトを担当。

冒頭では、人生100年時代のキャリア設計が従来とはまったく異なるものになることを、それぞれの立場から説明。

今から7年ほど前、政府に向けて「40歳定年制」を提案して世を驚かせた東京大学教授・柳川範之さんは、その意図について「重要なのは、個人がキャリアの途中地点でスキルをアップデートできる機会を持つこと」と強調。企業の寿命よりも個人が働く期間のほうが長くなる今後、より自律的にキャリアを見直せる仕組みづくりや姿勢が問われているという。

会場の様子

経済産業省の伊藤禎則さんも「同じ属性の組織の中でスキルを磨けばよかった“たこつぼ型”の人材育成教育から、異なる属性の人たちが混じり合って刺激を交換できる環境へ。その変化を促進させることが、イノベーションの条件にもなるはず」と話した。

転職市場の現場を知るmorichi代表の森本千賀子さんは「将来のために、どんな組織に身を置くべきかと迷う20代、30代からの相談も増えている」と言う。

現在35歳で、パナソニック社員でありながら、組織をまたいだ交流活動にも打ち込む濱松誠さんは、「大手企業も『このままではいけない』と気づいているし、特に若手社員は危機感を持って行動を始めている」と語った。

では、実際にどんな意識、行動を身につけていくべきなのか。4人の議論から見えてきた7つのキーワードとは。

(1)想像力

柳川さん

独学で大学に進学した経済学者の柳川範之さん。

「40歳定年制を提唱した当時は、『そうはいっても、なかなか変わらないだろう』と思っていたが、実際にははるかに大きな潮流が生まれている。兼業・複業についてこれほど積極的な議論がされるようになるとも想像していなかった。つまり、世の中は劇的に変わる。 今の20代・30代の皆さんがやがて迎える40代・50代の働く姿は、今の上司のそれとは全く違うものになっていると思ってください。その時にどんな姿で働き、何をしていたいか。膨らませられる想像力の大きさが、そのまま皆さんを変える力になるはず」(柳川さん)

(2)居場所を変えてみる

「これから必須となるのは、どんな環境でも柔軟に活躍できる対応力。選択肢を広げるためには、“居場所を変える”チャンスを積極的につかんでほしい。会社を変える転職までいかずとも、社内での異動でも十分。子会社への出向、M&Aした会社への転籍措置などは、ハードに感じるかもしれませんが、難易度の高い環境こそ自分を鍛えるチャンス。実際、転職相談にこられたクライアントに『まずは社内で可能なキャリアチェンジを探って』と勧めることはよくあります」(森本さん)

(3)プロフェッショナルを目指す

「“一社一生”の雇用前提が崩れつつある今、個人の能力開発は会社任せにできなくなっている。自分自身をプロフェッショナルとして磨いていくために、どんな経験や知識が必要なのか、自分で責任を持ってアクションを起こしていく意識が必要。これからのキャリア開発は、ハシゴ型といわれるキャリアラダーやサイコロを振って駒を進め 「上がり」を目指す 形ではなく、“ポケモンGO型”が主流になるのでは。自分の意志でさまざまなステージを選び取り、スキルや人脈といったポケモン =持ち札 をゲットしていく」(伊藤さん)

「プロフェッショナルな能力とは、一つの企業にだけ通用するものでは意味がない。他社でも通用する汎用性の高い能力を身につけてほしい」(柳川さん)

(4)マルチタスクプレイヤーを目指す

森本さん

オールラウンダーエージェントでmorichi代表の森本千賀子さん。

「専門性の高いプロフェッショナル分野を、1つだけでなく2つ、3つと持っている人材への需要が高まっている。例えば、『ずっと経理畑』よりも『はじめは営業、その後に経理に行って、途中で地方勤務を数年、今は経営企画をやっています』という人のほうが今は引きがある。兼業・複業、社会活動などでのパラレルキャリアで複眼的センスを持つことも強みに」(森本さん)

(5)仕事の“斜め展開”で独学する

「新たなスキルを磨こうとする時、お勧めしたいのが今の仕事の周辺からスキルの幅を広げていく“斜め展開”方式。日頃一緒に仕事をしている他職種から技術を学ぶのが早い。さらに、そのスキルを使って将来何がしたいのか、具体的にイメージしてみる。イメージするだけでも始めるべきアクションが見えてくるので、自立的なキャリア開発の第一歩になる」(柳川さん)

(6)社外の仲間と出会える場に行ってみる

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パナソニック社員でOne Japan 共同発起人・代表の濱松誠さん。

「いきなり副業のような思い切った行動はできないという人は、社内で禁止されていない軽いアクションをやればよし。交流会やイベントなど、社外の人と会える場やサークル活動に参加してみるといい。ただし、単に参加するだけでは意味がなく、『意見交換できそうな仲間をつくる』『参加した感想と共に企画提案を上司にしてみる』という行動を取ることが大事」(濱松さん)

価値観の異なる人たちと出会えるサードプレイスを持つことは、キャリアの選択肢を広げてくれる。1週間のうち会話した社外の人が5人に満たない場合はイエローカード。より積極的な社外交流を」(森本さん)

「社外の知人・友人4、5人で“バーチャルカンパニー”を作ってみる。この仲間ならどんな会社ができそうか、実際に会社を起こさなくても話してみるだけで、客観的なスキルの棚卸しができる。1人ではなくグループで評価し合うと、お互いの強みや伸びしろを発見しやすい」(柳川さん)

(7)“花粉の運び手”になる

伊藤さん

経済産業省産業人材政策室参事官の伊藤禎則さん。

「企業にとっても、中で働く人がどんどん外に出て多様な経験・スキルを身につけることはメリット。イノベーションで著名な IDEO のトム・ケリー氏が企業変革を担う重要な人材として挙げているのが“花粉の運び手”。つまり、異なる組織を行き来して、受粉、すなわち最適な資産のマッチングをする人材。社外活動や学びの経験によって、どんな花粉を運べるかを意識することで、個人のスキルアップが企業のイノベーションにつながっていく」(伊藤さん)

(文・宮本恵理子、撮影・今村拓馬)

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