日本発ユニコーン誕生へ、世界の日本好き発掘しつなげる——500 Startups日本代表

アメリカ・シリコンバレーに本社を置き、主にスタートアップ企業のシード投資(ビジネスアイデアの計画時にベンチャー投資をすること)ファンドを運営する500 Startups。ニューヨーク上場を果たしたクラウド通信のTwilioや、配車アプリを運営するGrabなどの評価額10億ドルを超えるユニコーンに投資するなど、現在までに累計60カ国・1900以上のシード投資実績を持つ。

James Riney, 500 Startups Japan

「シリコンバレーで年収3000万円以上を稼ぐエンジニアの中にも、日本に移り住んでベンチャーで働くことを希望する人材がいる」と話すジェームズ。

撮影:室橋祐貴

2016年2月に設立した日本ファンドの500 Startups Japanは、総額3500万ドル(約37億円)のローカルファンドを組成、運用を始めた。現在までに31社への投資を行っている。日本代表を務めるのは、バイリンガルでバイカルチャルなJames Riney(ジェームズ・ライニー)。

設立から2年、ジェームズがいま力を入れているのは、国内外に潜在する日本で働くことを望むグローバル人材を発掘すること。そして、彼らと日本のスタートアップをマッチングさせて、国内のベンチャー企業のグローバル化を加速させ、日本から多くのユニコーン・ベンチャーを創出することだ。

2018年3月6日。ジェームズにとっては記念すべき日となる。一つにはこの日、ジェームズは29歳になる。そして、500 Startups Japanは同日の夕方、「Bilinguals & Gaijins in Startups」と名づけたマッチング・イベントを東京・大手町で開催する。募集開始からまもなく、40を超える国・地域から400人以上のエンジニアやデザイナー、マーケターらが殺到した。会場にはスタートアップ15社の代表が出席する予定だ。

James Riney, Head of 500 Startups Japan

流暢な日本語でインタビューに答えるジェームズ・ライニー。

撮影:室橋祐貴

「国際的なマインドセット(Mindset=考え方の基本的な枠組み)を持ち、東京の外資系企業で働く日本人や外国人の中には、スタートアップで挑戦をしたいと考える人が増えてきている。シリコンバレーでも、年収3000万円以上を稼ぐエンジニアが、今度は日本に移り住んで有望ベンチャーを育て上げたいという」とジェームズは話す。

「グローバル展開を計画するベンチャー企業にとっても、早い時期に文化や言葉、考え方などの多様性があるマネジメントチームを作りあげることが不可欠だろう」

この2年間で、500 Startups Japanは投資先の企業にグローバル人材を紹介し、採用にまでこぎつけたケースを増やしている。

宇宙の通信インフラ構築を目指すインフォステラには、500 Startups Japanが開いたイベントを通してビジネスデベロップメントの幹部ポスト人材を紹介した。フリーランスで働く人たちや中小企業などを対象に仕事のマッチング・プラットフォームを展開するZehitomoは、2人の外国人が起業したスタートアップだが、500 Startupsが日本人のグローバル人材をつなげた。今では、CSO(最高戦略責任者)兼営業部門幹部として働いている。

500 Startups Japanの勉強会

500 Startups Japanが投資先企業と開催した勉強会。

500 Startups Japan提供

ミシュランガイドで星を獲得したレストランなどの予約から決済までを可能にするオンライン予約サービス「Pocket Concierge」を運営するポケットメニューでは、2人の優秀なインターンが働いた。1人はフィンランドの大学生がエンジニアの卵として、もう1人は世界で最も入るのが難しいと言われるサンフランシスコのミネルヴァ大学の学生がマーケターとして、ポケットメニューで活躍した。いずれも500 Startupsのグローバルネットワークが、人材発掘に生かされた。

12歳まで日本で過ごしたジェームズは、ペンシルバニア州の大学を卒業後にアメリカ最大の銀行J.P.Morganに入社。在職中に東京に移り住むと、ResuPress社(仮想通貨取引所を運営するコインチェックの前身)を起業した。その後、DeNAでベンチャーキャピタリストとして、東南アジアとシリコンバレーを中心に投資活動を行ってきた。

「マネジメントのコア部分を早い段階でもっとグローバル化すれば、日本の多くのスタートアップはより速くグローバルビジネスを展開しやすくなる。日本のスタートアップが真のグローバル企業となって、中国や韓国、アメリカのユニコーン企業と競い合えるほどになれば良いと思う」とジェームズは語る。

「日本は世界で住みやすい国の一つ。世界に散らばるグローバル人材たちは日本のスタートアップで働くことを願っている。僕たちは、彼らと日本のスタートアップをもっとつなげていきたい」(敬称略)

(文・佐藤茂、写真・室橋祐貴)

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