アマゾン、スマート家電スタートアップを買収 —— 大物投資家がダメ出ししたスタートアップの見事な復活劇

ジェフ・ベゾス

アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏。

Joshua Roberts/Reuters

  • アマゾンがモニター付きスマートドアホンを展開するリング(Ring)を買収する。
  • 金額は明らかにされていないが、報道では10億ドル(約1060億円)以上と伝えられた。
  • リングは2013年にテレビ番組「シャーク・タンク(Shark Tank)」から生まれた。

アマゾンは、モニター付きドアホンの人気商品を展開するスタートアップ、リング(Ring)を10億ドルで買収する。これはアマゾンが家庭にさらに進出し、日用品や食品を直接届ける“ハイテク配送網”の基盤を構築する一助となるかもしれない。

アマゾンとリングの関係者が2月27日(現地時間)、Business Insiderに明らかにしたところによると、今回の買収はアマゾン Echoのようなスマート家電の展開を補完するもの。この分野は成長を続けている。両社とも金額は明らかにしていないが、ロイターウォールストリート・ジャーナルなどは10億ドル以上と伝えた。

これは、24年におよぶアマゾンの歴史において、2017年8月に買収したホールフーズの137億ドル、2009年に買収した靴のネット通販ザッポス(Zappos)の12億ドルに次ぐ規模となる。

リングのモニター付きドアホンの価格は179ドル〜500ドル、家のオーナーのスマートフォンに玄関前にいる人物の画像を送信する。

アマゾンはBusiness Insiderにメールで「リングのホームセキュリティ製品とサービスは当初から顧客を喜ばせている。才能あふれるチームと連携し、住宅の安全と安心を保つ彼らのミッションを支援できることを楽しみにしている」と述べた。

当初、大物投資家たちはダメ出し

リングのスマートドアホンを使うと、玄関前に誰がいるのかが分かる。

リングのスマートドアホンを使うと、玄関前に誰がいるのかが分かる。

Ring

今回の買収により、グーグルとの競争が激化することになりそうだ。グーグルは傘下のネスト(Nest)から昨年、同様のモニター付きドアホンを発売した。

リングの買収でアマゾンは人気商品を獲得、ハードウェアと小売配送事業の結びつきをより強化することが可能になる。2017年10月には、ホームセキュリティーカメラとスマートロックを使って、配送員を認識し、不在時でも家の内に入って荷物を届けるサービス「Amazon Key」を発表した。

リングは2月27日に出した声明の中で「アマゾンのような、独創的で顧客志向の企業」と連携することで、同社の「より安全な地域というミッション」をさらに追求することができると述べた。

買収はリングにとって、驚くべきサクセス・ストーリーとなった。リングは2013年、テレビ番組「シャーク・タンク(Shark Tank)」(大物投資家にプレゼンし、出資を得る番組)に出演するも惨憺たるデビューとなった。当時ドアボット(DoorBot)という名称だった同社は、大物投資家たちへのプレゼンに失敗、だがリブランディングを行い、消費者に受け入れられた。

小規模な企業だったにもかかわらず、リングはすぐにベストバイ(Best Buy)やターゲット(Target)といった大手小売での販路を獲得。さらに2015年には、ヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン氏の関心を引いた。同氏はリングの製品を大いに気に入り、同社に投資した。

Crunchbaseによると、アマゾンはすでにAlexaファンドを通じてリングに投資していた。2017年1月、リングはゴールドマン・サックスとクアルコム・ベンチャーズなどから1億900万ドル(約115億円)を調達。ニュースサイトAxiosによると、リングは評価額10億ドルとなる資本調達の途中だった。

[原文:Amazon is spending $1 billion to buy doorbell-camera startup Ring, a 'Shark Tank' reject that turned into a massive success story

(翻訳:本田直子、編集:増田隆幸)

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