アメリカ陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」の隊員たち(2017年6月29日、ワシントン州ルイス・マッコード基地)。
US Army
- 米軍の高官たちは、北朝鮮有事に備えて仮のシナリオを描くことを目的とした机上演習に参加した。
- 北朝鮮との戦争が始まれば、1万人前後の兵士が開戦後まもなく負傷する可能性があるという。
- 北朝鮮の核施設を狙う場合、どれだけの規模の特殊部隊を投入する必要があるかを含め、彼らは複数のシナリオを検証した。
ハワイで行われた極秘演習に参加した米軍の高官たちは、北朝鮮との戦争は開戦後まもなく1万人前後の犠牲者をアメリカにもたらすであろうことを学んだ。2月28日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズが報じた。
仮のシナリオを試す机上演習(TTX)は数日間にわたって行われ、陸軍参謀総長のマーク・ミリー(Mark Milley)陸軍大将や、特殊部隊の司令官レイモンド・トーマス(Raymond Thomas)陸軍大将も参加した。
戦闘で負傷する可能性のある兵士の数だけでも衝撃的かもしれないが、ニューヨーク・タイムズによると、民間では数千人から数十万人規模の犠牲が出ると見込まれている。韓国に駐留する米兵の数は約2万8500人だが、北朝鮮の攻撃範囲にあるその首都ソウルには約2400万人が暮らしている。
机上演習の関係者によると、ミリー参謀総長は「その残忍性は、いま生きている兵士が誰も経験したことのないものになるだろう」と述べたという。
韓国、ソウル(2017年8月11日)。
Chung Sung-Jun/Getty Images
ニューヨーク・タイムズによると、軍の高官たちは、北朝鮮の核施設を狙う場合、どれだけの規模の特殊部隊を投入する必要があるのか、米陸軍の通常部隊はトンネルで戦うことになるのか、米空軍用に道を開くため、北朝鮮の防空をいかにして破壊するかといった、さまざまな要素を検討した。
北朝鮮とアメリカ、韓国の間の緊張は、韓国で開催された冬季オリンピックに北朝鮮が参加したことで、ここ数週間、低下していた。だが、アメリカの政府高官は、北朝鮮に対する懐疑的な見方を変えていない。
アメリカの方針をめぐっては、トランプ政権の高官がさまざまな相反する考えを示してきた。トランプ大統領は2月26日(現地時間)、北朝鮮との対話は「適切な条件の下」であれば、行う用意があると述べている。
国務省は、こうしたトランプ大統領の主張を踏襲している。「我々の条件とは、非核化だ」ヘザー・ナウアート(Heather Nauert)広報官は言った。
「我々の方針は変わっていない。政権発足以来、この方針を語ってきた。最大の圧力、そして朝鮮半島の非核化だ」
(翻訳、編集:山口佳美)