パナソニック、サンフランシスコの日系VCと合弁会社 —— 社内アイデアをベンチャーに変える

パナソニックは2018年3月、サンフランシスコに拠点を置く日系ベンチャーキャピタル「スクラムベンチャーズ」(SV社)と、合併会社「BeeEdge」を設立する。パナソニックだけでは予算化のハードルが高い、社内で生まれる「尖った」アイデアの事業化を目指す。

スクラムベンチャーズ

BeeEdgeの設立が発表された説明会。パナソニックの本間哲朗氏(左)とBeeEdgeの春田真代表取締役(右)。

合併会社の設立は、2018年3月1日に都内で開かれたパナソニックの「家電ビジョン」説明会で明らかにされた。BeeEdgeは、資本金1億円、SV社が51%、パナソニックが49%を出資した。代表取締役には、ディー・エヌ・エイ(DeNA)前会長で、シリコンバレーのスタートアップに投資するSV社のパートナー春田真氏が就任する。BeeEdgeは、SV社が培ったベンチャー企業の拡大のノウハウを活用し、2018年度には数件のアイデアを事業化させ、パナソニックの社員が出向する新企業の起業支援を行う方針だ。

説明会に出席したパナソニック専務執行役員の本間哲朗氏は、BeeEdgeはアイデアの事業化だけでなく、「SV社が新しく募集しているファンドにも出資する」と述べ、合弁会社が持つもう一つの役割を説明した。また、「アメリカからいろいろなアイデアがあれば、日本の家電製品と結びつける形でやりたい」と加えた。

game chaneger catapult

Game Changer Catapultで生まれたアイデアの事例。「Bento@YourOffice」は、個々の健康管理に基づいた弁当をアプリで予約できる。

パナソニックは2016年度に、新規事業を生み出す取り組み「Game Changer Catapult」を始めた。同社は、この取り組みを通じて、社内でアイデアを募集し、米国で行われるビジネスフェスティバル「SXSW(サウスバイサウスウエスト)」で、2016年度に8本、2017年度には10本のアイデアを紹介してきた。

一方、アイデアの事業化にはハードルが高く、本間氏は「すべては事業部基軸で運営している。反面、新しいシーズが提案されても、所属の部長がやらないと言うとお蔵入りになってしまう。単線的では大きなチャレンジができない時がある」と理由を説明し、合併会社の意味ついて「既存事業にも刺激を与える副次的な役割がある。出口の複線化が狙いの一つ」と話した。

beeedge

説明会で設立が発表された、BeeEdgeのメンバーら。

具体的な事業化の進め方について、SV社のジェネラルパートナーでBeeEdgeの宮田拓弥取締役は、Business Insider Japanの取材に「数人チームでBeeEdgeのもとにベンチャー企業を立ち上げることになると思う。メンバーはパナソニックから出向する。会社を作り上げるノウハウを提供したい」と説明した。社外ベンチャーのメリットには「パナソニック(大企業)では、事業は数百億円の規模で、例えば1億円、数億円の規模ではビジネスにならないことが多い。ベンチャーなら1億円でも意味がある」という点を挙げた。投資の額は明言を避けた。

それらのベンチャー企業が成長した場合は、「パナソニックを含む、どこかが買収するのが好ましいと思う。事業内容はネットワークサービスが想定され、(ベンチャー企業が)結果的に(パナソニックの)アセットになると思う」と期待した。

(文、撮影・木許はるみ)

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