Xperia XZ2は本当に“買い”なのか? ソニーの新端末発表に感じる「疑問」と「違和感」

Xperia XZ2とXZ2 Compact

ソニーモバイルの最新スマートフォン「Xperia XZ2」(左)と「Xperia XZ2 Compact」(右)。

「ソニーは新型Xperiaを売るつもりがあるのだろうか?」

2月末にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル見本市のMWC 2018。会場オープン日の朝いちばんで開かれたソニーブースの発表会では、筆者も含め、そういう疑問を感じたプレス関係者の声が漏れ聞こえた。

Xperia XZ2自体は「新しさ」を感じる製品

Xperia XZ2

2:1の縦横比なので、ディスプレーサイズは5.7インチと広いが持ちやすい。

ソニーが2018年のMWCで発表したスマートフォンの新端末は「Xperia XZ2」と「Xperia XZ2 Compact」の2モデル。どちらのモデルもクアルコムの省電力で高性能な最新チップセットSnapdragon 845を搭載している。

ディスプレーは、2017年頃から各社がこぞって採用しはじめた2:1(18:9)の縦横比を採用し、SNSや縦長なニュースサイトも広く表示できる。Xperia XZ2だけでなく、コンパクトモデルのXperia XZ2 Compactも画面解像度は上級機並みの1080×2160ドット。コンパクトモデルでフルHDを越える解像度は、同社として初めてだ。

ソニー発表会のスライド

4K HDRの動画撮影機能は、スマホでは世界初。

カメラ機能も主に動画撮影が強化されており、4K HDRでの撮影に対応した。これは動画撮影専用のDVカメラでもいまだハイエンドモデルでしか搭載されていない機能だ。

また、SNS映えを狙える960fpsのスーパースローモーション撮影機能も進化。前モデルまではHD解像度だったのが、フルHD解像度で撮影できるようになった(ただしスーパースローでの撮影時間は約半分)。

Xperia XZ2のカメラ設定画面

カメラアプリの設定から4Kを指定し、HDRをオンにして撮影可能。

Xperia XZ2の3Dクリエイター

Xperia独自の人の顔や立体物を3Dスキャンする「3Dクリエイター」は、背面のメインカメラだけでなくフロントカメラも利用できるようになり、自撮り感覚で自分の顔を3Dで取り込み、アニメーションなどに利用可能。

Xperia XZ2の背面

背面はガラス素材で、1枚のガラスを滑らかな曲線になるように加工している。また、Xperia XZ2ではワイヤレス充電(Qi)にも対応した。

Xperia XZ2/XZ2 Compact、どちらも前モデルの欠点をしっかりと改善しており、最新のトレンドもおさえ、さらに機能も強化している。

デザインも今までの直線的だったフォルムから、背面はカーブを描く丸みを帯びた持ちやすいものになり「新しいXperia」の誕生を感じさせる。そんなよくまとまった端末に仕上がっている……にもかかわらず、「売る気があるのだろうか?」と言われたのには理由がある。

期待の二眼カメラ技術は次世代機まで「おあずけ」

プレス陣の注目を集めたのは、Xperia XZ2/XZ2 Compactのプレゼンテーションに続いてアナウンスさえれた「最新カメラ技術」だ。

新たに独自開発した二眼カメラと新しい画像融合処理プロセッサーを組み合わせることにより、静止画でISO感度51200、動画で12800と、いままで以上に暗い場所に強い、最新カメラ技術が発表された。

Xperia XZ2の発表会スライド

発表会で二眼カメラについての発表が行われた。

ソニーの展示ブースでもこの新技術は展示されており、真っ暗なボックスの中を動画撮影すると、旧モデルは暗闇でほとんど写らないのに対し、最新カメラ技術を使ったモデルではしっかりと撮影できていた。この最新カメラ技術はスマートフォンでのカメラ撮影を数段階レベルアップさせられる、そう感じさせる技術だ。

ソニーの最新二眼カメラ技術のデモ

ブースでのデモでは、旧モデル(写真下)と比較して最新カメラ技術を使ったテスト機(写真上)がどれだけ明るく撮れるかアピール。

技術展示を見る限りは実際の性能も良さそうなこの最新カメラ技術、実は今回のXperia XZ2/XZ2 Compactには「搭載されていない」。デュアルレンズカメラは現世代のスマホでは準標準と言っていい装備で、ローエンドにも採用しているメーカーは多い。

最新モデルに未搭載の重要な要素技術を、わざわざ先行披露するという発表は、他メーカーへの威嚇にはなっても、Xperiaユーザーにとっては「次のモデルを待ってくれ」とわざわざ宣伝しているようなものではないか。

だから冒頭の感想が、取材陣の口から漏れてきたわけだ。

次のモデルの発表後、比べてから検討したい

ソニーモバイルの古海氏

Xperia XZ2を紹介するときにソニーモバイルの古海氏はモデル名を間違えてしまう。

今回の発表会でプレゼンテーションを行なったのは、ソニーモバイル EVP、Global Sales&Marketing担当の古海英之氏だった。実は、壇上でXperia XZ2を紹介するときにモデル名をうっかり間違えて「Xperia XZ2 Premium」と口にしてしまった。

また、現地で行なわれたソニーモバイルへのグループインタビューでも、「最新カメラ技術は、まずプレミアムモデルから搭載する」との回答を得ている。

ソニーモバイルの二眼カメラモジュール

開発中の二眼カメラモジュール。

ソニーは明言こそしないものの、おそらくは「Xperia XZ2 Premium」という次期モデルの開発がソニーモバイルでは進んでおり、その端末には最新カメラ技術が搭載される可能性が非常に高いわけだ。

しかも、これまでのXperiaのプレミアムシリーズは実質的にNTTドコモのほぼ専売で、高精細な映像表示ができる4Kディスプレーを搭載している。もし、今回のXperia XZ2/XZ2 Compactに搭載されている4K HDR動画撮影機能も搭載されれば、4K HDRの高品質な動画を撮影から視聴まで単体で楽しめるということになる。

ソニーモバイルの画像融合処理プロセッサー。

画像融合処理プロセッサーも新規に開発している。

ここまで次に発表されるモデルがはっきりとわかってしまうと、今回発表されたXperia XZ2とXperia XZ2 Compactがすっかり霞んで見えてしまう。

個人的にも「Xperia XZ2とXperia XZ2 Compactがオススメ」とは書けず、「次のモデルが出て比べてから買いたい」と表現せざるを得ない。

ソニーモバイルは国内シェアが低下、猛追するシャープ

ここまでソニーの発表内容にこだわるのは、スマートフォン市場におけるXperiaシリーズのシェアがここ最近減少傾向にあるためだ。

MM総研の調査によると、2016年通期での携帯電話全体の出荷台数シェアは2位がソニー、3位が京セラ、4位がシャープの順だった(1位はアップル)。しかし、2017年度通期では2位がシャープ、3位がソニーと順位を落としている。

一方でスマートフォンのみの出荷台数を見てみると、ソニーは依然国内2位だが前年比3.9%減の431.3万台。一方、携帯電話全体でソニーを抜いたシャープは、スマホ単体では386.6万台だが前年比では62%増と、スマートフォンで猛追している状況だ。

Xperia XZ2/XZ2 Compactの日本投入に関する公式ステータスは現時点では未定だが、例年通りであれば3キャリアから販売される。もしそうなれば、シェア巻き返しのための重要な端末になるわけだ。

2017smartphone

2017年度の携帯電話全体の出荷シェア。スマホ単体に絞るとソニーは2位を維持しているが、背後には前年比で62%増の出荷で猛追するシャープが迫って来ているのが現状だ。

MM総研

アピールや技術導入のタイミングに最適化が必要

ソニー(ソニーモバイル)は、しっかりとした技術を持ったメーカーである。例えば、今回のMWCでサムスンから発表された「Galaxy S9/S9+」は、最大960fpsで撮影可能なスーパースローモーションを大々的にアピールしているが、基本的にはXperiaシリーズと同じであり、ソニー製のセンサーによるものと思われる。

また、昨今のAIブームで、カメラアプリを使って画像認識をしたり、アニメーションするスタンプを貼り付けたり、被写体に合わせてシーン判別をするといった機能をウリにした端末が増えているが、これらも機能的にはすでにXperiaシリーズで実現済みのものだ。

特にカメラ(センサー)で高い技術力があり、他社に先駆けて素晴らしい機能の端末を世に出せる実力もある。それなのに、アピールの仕方やそのタイミングが空回りしてしまうのは、あまりにもったいないのではないか。

ソニーモバイルの「Info Eye」

「Xperia Z1」で紹介されているInfo Eyeの機能。4年半前のモデルだ。現在は開発が止まっており、最近のXperiaシリーズには非搭載だったりと、「ソニーモバイルはスタートダッシュは早いが持続力がない」という問題もある。

ソニーモバイル

編集部より:初出時、ソニーのシェアを5位としておりましたが(2017年上期時点調査)、最新の調査では携帯電話全体の出荷シェアで3位、スマートフォンのみでは2位となります。訂正を反映し、該当部分の考察を改めました。ご指摘いただいた読者の方、ならびに関係者の皆様にお詫びして訂正致します。2018年3月7日 19:40

(文、撮影・中山智)

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