トイザらスの破産申請は始まりに過ぎない? イギリスの小売業が苦戦している

閉店セール

イギリスでは、小売店やレストランの閉店が相次いでいる。

Oli Scarff/Getty Images

  • イギリスでは先週から、トイザらスや家電量販店のMaplinの破産申請に続き、PrezzoやByron、Jamie's Italianといったレストランの閉店が相次いでいる。
  • その背景にあるのは、物価上昇とオンラインとの競合だ。
  • アナリストたちは「更なる犠牲が出る可能性が非常に高い」と話している。

イギリスが寒波に見舞われている。

ブレグジット(イギリスのEU離脱)をきっかけに始まった消費危機によって、小売店やレストランの閉店が相次いでいるのだ。

トイザらスと家電量販店のMaplinは先週、破産を申請、5500人の雇用が失われる可能性がある。イタリア料理のチェーン店Prezzoも業績不振のため、最大100店舗を閉店すると発表した。同様に、人気ハンバーガー・チェーンのByronも一部店舗の閉店を迫られており、イギリスでは「裸のシェフ」として知られるジェイミー・オリバー(Jamie Oliver)氏のレストランも、店舗を縮小させている

「イギリスの大手企業にとって、いろいろな意味で厳しい冬になっている」City Indexのシニア・マーケット・アナリスト、フィオナ・チンコッタ(Fiona Cincotta)氏は指摘した。

「大手企業は2つの面で打撃を受けている。1つ目は、物価が上昇する中、実質賃金は減少することで、消費者の支出が危険なほど抑えられていることだ」

トイザらス

ロンドンにあるトイザらスでは、窓に閉店を知らせるサインが(2018年2月19日、イギリス)。

Jack Taylor/Getty Images

2016年6月のブレグジットの国民投票の後、ポンドは対ドル、対ユーロともにここ数年で最も弱くなっていて、これが物価の上昇につながっている。その上昇率は現在3%と、賃金上昇率の2.5%を上回っていることから、実質的にはイギリス人の購買力は低下している。

チンコッタ氏は言う。「2つ目は、こうした消費者の買い控えが、イギリスの企業にとって、これ以上ないほど悪いタイミングで起きていることだ。消費者は、すぐに配達してくれて、品揃えも豊富で、より魅力的な価格で商品を提供してくれるアマゾンといったオンライン・ショッピングを好むようになっている」

トイザらスとMaplinが苦戦する一方で、BoohooやEve Sleepといったオンライン小売業者は2桁の成長率を維持している。取り扱う商品に違いはあれど、この差は実店舗を伴う小売店とオンライン小売店の行く末をよく表している。

eコマースとの戦いは、レストラン業界にとっても無縁ではない。実店舗を伴うレストランが閉店していく中、ウーバー・イーツ(Uber Eats)やDeliverooなどが人気を集めている。

チンコッタ氏はトイザらスとMaplinについて、こう話している。「これら2つの大手企業が、最後の犠牲者になるとは考えづらい」

「オンライン・ショッピング革命が起こる中、ブレグジットを前にイギリスでは厳しい経済状況が続くだろう。更なる犠牲が出る可能性は非常に高い」

ひずみはさまざまな場所に現れている。カーペットや寝具を扱うCarpetrightや、赤ちゃん用品のMothercare、雑貨・アパレルのローラアシュレイ(Laura Ashley)の業績も芳しくない。12億ポンドの負債を抱えるアパレルのNew Lookは、賃料の60%を削減する緊急措置を模索している。百貨店のディベンハムズ(Debenhams)の株価は、投資家の厳しい見方を反映し、ここ8年で最も低くなっている。

そして、クリスマス商戦の後は小売業者にとって厳しい時期がやってくる。1年で最も売り上げが期待できる時期が終わり、銀行や投資家の見る目がさらに厳しくなるからだ。

リテール・アナリストのリチャード・ハイマン(Richard Hyman)氏はBusiness Insiderに語った。「小売業者にとって、最も取り引きが多く、キャッシュフローが好調なのは第4四半期で、第1四半期は最も弱い」

「3月の終わりが近づくにつれ、企業の苦戦ぶりがさらに明らかになる可能性が高い」

[原文:Britain's High Street had 'a brutal winter' — and another crunch is coming at the end of March]

(翻訳、編集:山口佳美)

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