アマゾンの熱帯雨林の奥深くで、孤立して生活する部族。
Gleilson Miranda/State of Acre Department of Communication/Wikimedia (CC BY 2.5 BR)
人類の歴史上、我々は最も“つながった”時代を生きている。だが現代社会から離れた場所で、孤立して暮らす人々がまだ存在する。
そのような部族がどれくらい存在するのか、正確には分からない。しかし、先住民の保護に取り組むNGO、サバイバル・インターナショナル(Survival International)などは、世界中に100以上の孤立して暮らす部族が存在していると考えている。
彼らは“未接触部族”あるいは“孤立部族”などと呼ばれるが、厳密にはその意味は曖昧。今や外界との接触を避けることはほぼ不可能、貿易を通じて離れた場所にも入り込んでくる工業製品のナイフやボウルなどを避けることは難しい。
だが、それにもかかわらず、多くの部族が孤立した生活を続けている。
残念ながら、環境破壊や開発(森林を伐採して木材にしたり、農地にするなど)によって、多くが重大な危機に瀕している。サバイバル・インターナショナルやブラジル国立先住民保護財団(FUNAI)などは、危機に晒された部族を彼らに干渉することなく保護しようとしている。
彼らが住んでいる場所、そのユニークな存在を維持するなかで直面している課題を見てみよう。
「未接触」の意味は?
Gleilson Miranda/Acre Government/Wikimedia (CC BY 2.0)
ある時点ですでに外界と接触している可能性はある。だが侵入者による暴力行為で孤立した場所に戻っていったのかもしれない。当初、彼らの独立を擁護することに、誰も興味を持たなかった。
Gleilson Miranda/Government of Acre (CC BY 2.0)
こうした部族は、概ね地理的な理由から外界との接触を避けることができている。アマゾンの熱帯雨林やインドネシアの島々など、地球上で最も人里離れた場所に住んでいるからだ。
Gleilson Miranda/Acre Government/Wikimedia (CC BY 2.0)
ニューギニアの密林地帯にある高地に住んでいる部族もいる。
Kensy Cooperrider
インドネシアの西パプア州には、40以上の未接触部族がいると見られている。しかしその数を確認することは難しい。山岳地帯であり、またインドネシア政府によって、マスコミや人権団体は立ち入りが禁止されているためだ。
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アンダマン諸島に住む部族も。インドとマレー半島の間だ。
Google Maps
最近まで、アンダマン諸島に住むジャラワ(Jarawa)族は、外界との接触を避けていた。しかし幹線道路の開通により、観光客と密猟者がやってきた。病気の発生と搾取を招いている。
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アンダマン諸島から少し離れた場所にあるのが北センチネル島。センチネル(Sentinelese)族が住んでいる。彼らは島に上陸する人が誰であれ攻撃する。
Indian Coast Guard
出典:Tech Insider
だが、すでに知られている未接触部族の大半はアマゾンの熱帯雨林の奥地に住んでいる。
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ブラジル政府は世界の未接触部族のうちの大半、77部族が存在すると述べている —— ナショナル・ジオグラフィックは84部族と推定。ほとんどがマットグロッソ州、ロンドニア州、アクレ州などブラジル西部に住んでいる。
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アマゾンでの違法伐採がこの地域に住む彼らを重大な危機に晒している。拡大する荒廃に抗議して、姿を現す部族も出てきた。
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ブラジル政府はこれらの部族を守る最良の方法との考えから、彼らを見つける「ファースト・コンタクト」調査を実施していた。しかし政府は、こうした調査を中止し、時折、上空からの調査を行っている。
Gleilson Miranda/State of Acre Department of Communication/Wikimedia (CC BY 2.5 BR)
ブラジル国立先住民保護財団(FUNAI)は、未接触部族をアマゾン川流域の先住民と同様に保護するために、折を見て上空から調査し、彼らが住居を移動していないか、木材の伐採者が彼らの土地に不法侵入していないかを確認している。
Gleilson Miranda/Acre Government/Wikimedia (CC BY 2.0)
出典:FUNAI
約15の未接触部族が住むペルーのように、こうした地域を守る予算が乏しいアマゾン川流域の国々では、自然保護活動家が地域と未接触部族の居住地を木材の伐採者や金採掘者から守るために苦闘している。
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残念なことに、外界から孤立していることは、彼らが外界からの病気に弱いことを意味している。
Gleilson Miranda/Government of Acre/Wikimedia (CC BY 2.0)
それが人類学者や先住民の権利を擁護する人が、未接触部族の孤立を維持しようとする理由の1つ。
Gleilson Miranda/Acre Government/Wikimedia (CC BY 2.0)
これらの部族は我々人類の仲間であり、彼らのユニークな文化は保存し、保護されるべき。
Corey Spruit/Wikimedia (CC BY 2.0)
[原文:More than 100 'uncontacted' tribes exist in total isolation from global society]
(翻訳:本田直子、編集:増田隆幸)