ニューヨークの収入格差を示す地図。
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アメリカでは、住む場所が収入と密接に関係している。サンフランシスコ、ワシントンD.C.、ニューヨークのような大都市に、富の集中が進んでいる。
地図作成ソフトウエア開発企業Esriが公表した地図には、アメリカの各地区ごとの平均所得が示され、現在のリアルな姿を映し出している。
地図では、世帯年収を4つに色分けして表示している。青の点は典型的な世帯の年収が少なくとも10万ドル(約1070万円)以上の地域、紫は10〜5万ドル、ピンクは5〜2万5000ドル、そして赤は2万5000ドル以下。
地図はアメリカの都市、そして国全体での富と貧困のパターンを明らかにしている。見てみよう。
ロサンゼルスやワシントンD.C.などの大都市には年収10万ドル以上の人が多い。
アメリカ全土の収入地図。
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地図制作にあたって、Esriは国勢調査のデータを使用した。
国全体では、約25%が年収10万ドル以上。一方、約22%は年収2万5000ドル以下。
ロサンゼルス、豪邸が並ぶビバリーヒルズ(左)、小規模な住宅が密接する南側(右)。
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各都市をよく見てみると、地区ごとの格差が分かる。
デトロイト、リッチな郊外(左)、ゼネラルモーターズのデトロイト・ハムトラマック(Detroit-Hamtramck)工場付近に広がる空き地(右)。
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1970年代と80年代に大規模な失業を経験したデトロイトでは、ダウンタウンと郊外で大きな所得格差がある。
デトロイトの収入地図。
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国勢調査によると、デトロイトでは25万人以上が貧困ライン以下で生活している。
同じようにロサンゼルスでも、所得格差は市内のあちこちに広がっている。
ロサンゼルスの収入地図。
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裕福な地区はハリウッドやサンタモニカなどの海岸沿いや、市を見渡せる丘の上の地区に集中している。一方、低所得地区はダウンタウンとその南側、サンフェルナンド・バレー(San Fernando Valley)、そして東側のサンバナディーノ(San Bernardino)。
マンハッタンはほぼ全域がリッチだが、ローワー・イースト・サイド(Lower East Side)と市の北側は例外。
ニューヨークの収入地図。
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近年、ニューヨークの複数の地区、特にブルックリンでは都市の再整備と高級化が進み、所得レベルが上昇した。
フィラデルフィアでは、西側と北側が極度の貧困に苦しんでいる。
緑が広がるアードモア(Ardmore)地区(左)と、住宅が密集するケンジントン(Kensington)地区。
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中心部の一部もリッチ。
フィラデルフィアの収入地図。
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フィラデルフィアと同様、ヒューストンもリッチな地域が郊外に拡がり、また中心部に点在している。
ライス大学(Rice University)近くの豪邸(左)、ガルフトン(Gulfton)地区の小規模な住宅。
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リッチな地域は、市の西側と南側に拡大している。
ヒューストンの収入地図。
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特に東海岸では、リッチな地区は都市の中心部にある。
東海岸の収入地図。
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西海岸も同様。サンフランシスコは特に青が目立つ。年収10万ドル以上の世帯が多いことを示している。
西海岸の収入地図。
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南部の州の様子はかなり違う。赤が目立つ。南部のほとんどの地区では約4分の1以上の世帯が年収2万5000ドル以下。
南部の収入地図。
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所得格差はリアルかつ、より極端に。
マンハッタンのアッパー・イーストサイド(左)、ブロンクスのモットヘイブン(Mott Haven)地区(右)。
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アメリカの多くの地区が経済的繁栄から取り残されている。
シカゴ、レイクフロント(Lakefront)地区(左)、空き地が目立つ南側のイングルウッド(Englewood)地区(右)。
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[原文:Striking maps reveal the huge wealth gap between American cities and the rest of the country]
(翻訳:相馬佳、編集:増田隆幸)