コインチェック、来週から返金開始、一部サービス再開へ —— 資本提携は選択肢の1つ

仮想通貨取引所コインチェックから巨額の仮想通貨NEM(ネム)が流出した事件で、同社は2018年3月8日午後記者会見し、3月11日の週に日本円で利用者に返金を開始し、一部のサービスも再開すると発表した。

同社によれば、流出した顧客のネムは総額5億2630万10XEM(XEMはネムの通貨単位)で、対象者は約26万人にのぼる。対象者には、1XEMあたり88.549円を返金するとしている。日本円に換算すると約466億円となる。

コインチェック・和田社長と大塚取締役

3月8日の会見に出席したコインチェックの和田晃一良社長(左)と大塚雄介取締役。

木許はるみ

和田晃一良社長は「来週中にアカウント(口座)に反映することを予定している」と述べた。

東京都内のホテルでこの日、和田社長と大塚雄介取締役の2人が記者会見した。

送信されたマルウェア・メール

大塚氏の説明によれば、同社の複数の社員宛てに、マルウェアが含まれるメールが送られた。同社の複数の従業員が、受け取ったメールを開いたため、マルウェアに感染。外部のネットワークからこの従業員のパソコンを経由して、同社のネットワークに不正アクセスし、遠隔操作ツールを用いて、ネムの秘密鍵を盗み出した。この秘密鍵を使って外部にネムを流出させたとされる。パソコンは、会社から支給されたものだったという。

大塚氏は、メールの内容については明言は避けたが、一般的な仮想通貨取引所に送られた内容ではなく、コインチェックに宛てたメールだったという。

コインチェック

取引高の推移から、コインチェックのビジネスの規模が半年足らずで10倍以上に拡大した様子が読み取れる。

REUTERS/Kim Kyung-Hoon

ネム以外の仮想通貨と日本円は外部に流出していない。コインチェックは「ホットウォレットに管理していたため不正送金を防ぐことができなかった」としている。

同社は、これまで使用していた従業員の全パソコンの使用を取りやめ、新しいパソコンに切り替えたという。

今回の事案の原因のひとつとして、コインチェックは、業務の急拡大を挙げている。昨年秋ごろから、仮想通貨の価格が急騰し、利用者が急激に増えた。

急拡大したコインチェックの取引高

大塚氏の説明によれば、実際に、2017年8月ごろから、同社の取引高は急拡大している。大塚氏が明らかにした、2017年7月以降の同社の取引高は次のとおりだ。

  • 7月:2868億円
  • 8月:6512億円
  • 9月:7619億円
  • 10月:1兆282億円
  • 11月:2兆5268円
  • 12月:3兆8537億円

同社が明らかにした取引高の推移からは、半年足らずでビジネスの規模が10倍以上に急拡大した様子が読み取れる。

和田氏は「人員の拡大、採用がうまく進まず、このような事案を引き起こしてしまったものと考えております」と語った。

同社のビジネスは取引所と販売所の二種類がある。取引所については、利用者間で売買をするもので、取引量の約8割にのぼる。販売所は、コインチェックが仕入れた仮想通貨を利用者に販売するもので、全体の2割を占めるという。

コインチェック和田社長と大塚取締役

記者会見が終わり、頭を下げる和田社長(左)と大塚取締役(右)。

木許はるみ

日本円での補償については、マーケットへの影響や、実現可能性を考慮したうえで、日本円で補償することを決めた、としている。

資本提携の可能性

また、一部報道で、コインチェックが業務資本提携を検討していると報じられた。

大塚氏は「選択肢の一つという形で、具体的なものがあるわけでない」と回答。和田社長は「顧客保護が第一なので、そのための手段として一番良い手段を取りたい」と述べた。「大手の傘下に入る手段は考えられるか」との質問に対して和田氏は「それが顧客保護につながるなら当然そうだと思う」と話した。

コインチェックは13種類の仮想通貨を取り扱っているが、匿名性の高い通貨を取り扱っていることも、金融庁の審査を通過できない一因と言われる。大塚氏は「あらためてリスクの洗い出しをしたうえで、どの通貨を扱うか検討する」と話した。

1月26日以降、コインチェックでは仮想通貨の取り引きができない状態になっている。価格の下落に対する補てんについて和田氏は「(利用規約上)我々は責任は負わないと考えている」と述べた。

コインチェックは引き続き業務の継続と、金融庁への仮想通貨交換業者としての登録を目指すという。大塚氏は「要件を満たすべく、努力を進めている」と説明した。コインチェックによれば、2018年3月8日時点で、同社には累計で170万口座がある。

(文・木許はるみ、小島寛明、写真・木許はるみ)

(編集部より:会見の内容を更に加え、記事を更新しました。)

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