インスタセレブになろうとしたLissette Calveiroさん(26歳)は、約110万円の負債を抱えることに。
Facebook/Lissette Calveiro
- ミレニアル世代の若者の中には、インスタグラムに載せる完璧な写真を撮るために、数十万円をつぎこんでいる人もいる。
- ニューヨーク・ポスト紙は今週、インスタセレブになろうとして、1万ドル(約110万円)の負債を抱えることになったLissette Calveiroさん(26歳)の話を報じた。
- Calveiroさんは「インスタグラムのためだけに」何度も旅行をしたと同紙に語っている。
- こうしたインスタ映えを追求するライフスタイルは、経済的な破たんを招くだけでなく、メンタルヘルス(心の健康)を害する可能性もある。
ミレニアル世代の若者の一部は、インスタグラムに載せる完璧な写真を撮るために、数十万円をつぎこんでいると言う。
ニューヨーク・ポスト紙は今週、インスタセレブになろうとして、1万ドルの負債を抱えることになったLissette Calveiroさん(26歳)の話を報じた。
ニューヨークでのインターンを含め少ない収入で働きながら、Calveiroさんはブランド物のバッグや洋服を買ったり、豪華な休暇を過ごしてきたと言う。
「完璧な『インスタ映え』のために」洋服を買い漁ったと同紙に語るCalveiroさんは、自身の収入以上の暮らしを送っていた。
「偽りの生活を送っていたの」Calveiroさんは言う。「借金はどんどん膨らんでいったわ」
Calveiroさんは「インスタグラムのためだけに」何度も旅行をしたと語っている。
インスタグラムは、自身の生活を完璧なものに見せたいという消費者層を生み出した。彼らは「インスタ映え」のためなら、数十万円をつぎこむこともいとわない。
結果的に大きなツケを払うことになるケースもある。インフルエンサーとして成功すれば、1回の投稿で何十万円も稼ぐことができる。ちょっとしたセレブよりも大きな影響力を持てるかもしれない。
例えば、旅行に関する投稿で有名なLauren Bullenさん(24歳)とJack Morrisさん(26歳)のカップルは、2人で世界を旅して回ることで数千万円を稼いでいる。Morrisさんは、スポンサーから3000ドル(約31万8000円)以上もらえなければ投稿しないと、雑誌『コスモポリタン』のインタビューに答えている。
しかし、多くの人にとってこうしたライフスタイルは経済的な破たんを招きかねない。
Calveiroさんは、インスタグラムでは「誰もそんな(経済の)話はしていなかった」と話す。
「自分のイメージを気にする女の子たちがどれだけいることか。それが心配なの」Calveiroさんは言う。
そして、こう付け加えた。「お金を貯めることもできたはずね」
「何かに投資することだって、できたはずだわ」
広がる影響
インスタ映えを追い求めるライフスタイルは、ユーザーを借金へ向かわせるだけではない。より広い意味で、文化的な影響も及ぼしている。
イギリスの王立公衆衛生協会(Royal Society for Public Health:RSPH)は最近、メンタルヘルスに最も悪い影響を与えるソーシャル・メディアとして、インスタグラムを名指しした。RSPHは、14歳~24歳の約1500人のイギリス人を調査した結果、インスタグラムが最も被験者の精神状態に悪い影響を及ぼし、自分の欠点や不安を感じさせることが分かった。
「ソーシャルメディアは、たばこやアルコールよりも中毒性が高いと言われてきた。若い人たちの生活に深く根ざしていて、彼らのメンタルヘルスを語る上で、もはや無視できない存在になっている」RSPHのCEO、Shirley Cramer氏は言う。
インスタグラムだけが悪いのではない。アプリの人気が爆発するもっと前から、自身のイメージに対する執着は存在していた。
だが、アメリカ心理学会(American Psychological Association)が2012年に出版した900万人の若者を40年間追跡したある研究によると、ミレニアル世代はこれまでの世代よりも、自身のお金とイメージを気にかけていることが分かっている。
「金銭的に裕福になることが非常に重要だと答えた学生の割合は、ベビーブーマー世代(1966~1978年に調査)の45%に比べ、ジェネレーションX(1979~1999年に調査)で70%、ミレニアル世代(2000~2009年に調査)で75%に増えている」研究結果に関するプレスリリースにはそう書かれている。
(翻訳、編集:山口佳美)