米国がシリアへの空爆を開始 —— 金融市場で大きな値動き

米国、シリアへの空爆を開始

化学兵器による攻撃を受けたとされる建物

Reuters

米国がシリアへの空爆を開始した。金融市場では、大きな値動きが見られた。

アサド政権が3日(現地時間)に化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことを受け、米政府はシリアの軍事施設に対して、巡行ミサイル59発を発射。ニューヨーク・タイムズによると、攻撃対象となったのはシャイラト(Al Shyrat)飛行場。政府高官によると、攻撃はシリア軍の戦闘機やその他の軍事施設を対象として行われた。

世界の金融市場では、金や原油などの価格が急伸。ブルームバーグによると、金相場が一時1%上昇し、1オンス1263.56ドルをつけた。金は4週連続高となるペースで、年初来でほぼ10%値上がりしている。ニューヨーク市場では、原油価格が一時1.7%上昇した。日経平均は午前11時12分に1万8517円まで値を下げ、取引時間中の年初来安値を更新した。株価はその後、ゆるやかに回復している。

みずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は、「市場は、株安円高のリスク回避の傾向に振れる可能性が高いが、今後の状況次第」とした上で、「オバマ政権はシリアに対して断固とした対応を取らなかったことを批判されたが、トランプはここで空爆をしたことによってひとつの断固とした決断をした。これがどのように評価されるかは、今後のロシア政府やアサド政権の対応をうまくまとめていけるかにかかっている」と話した。

現地報道によると、ミサイルは地中海に駐留する2隻のアメリカ海軍の軍艦から発射された。午後8時30分頃から始まった攻撃は3~4分続いたという。この攻撃について、トランプ大統領は「化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの空軍基地に対し、今夜軍事攻撃を指示した。アメリカの安全保障にとって非常に重要な国益だ」と述べた。

一方、シリアでは、米軍の攻撃による被害が報じられ始めている。ロイター通信によると、シリア国営テレビは「中央部にある空軍基地1カ所が本日、米国によるミサイル攻撃を受け、被害が出た」との軍関係者の話をニュース速報で報じた。

マーケットには「トランプ政権が北朝鮮に対しても強硬な態度を取るだろうと予想する市場関係者も多いはず」と、安井氏は加えた。

※この記事は、アナリストのコメントを第4段落に追加し、更新しました。

[原文:US launches more than 50 cruise missiles at Assad regime airfields over Syrian chemical attack]

(翻訳:山口佳美)

(取材協力:西山里緒)

(編集:佐藤茂)

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