ワールド・ピース・アンド・ユニフィケーション・サンクチュアリー教会で、弾を込めていない銃を手に、礼拝に臨む人々(2018年2月28日、ペンシルベニア州ニューファウンドランド)。
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2月の終わり、ペンシルベニア州の小さな村で、数百人もの人々がライフル(AR-15)を手に合同結婚式を行った。手にした銃は黙示録の「鉄の杖」を象徴すると言う。
結婚式が行われたのは、ニューファウンドランドにあるワールド・ピース・アンド・ユニフィケーション・サンクチュアリー教会。この教会の牧師で、世界平和統一家庭連合(統一教会)の創始者である文鮮明氏の息子、文亨進氏は、統一教会の「分派」であるこのサンクチュアリー教会で「全能の神が与えた権利によって武器を持ち、民が互いと人類の繁栄を守ることのできる平和の警官、平和の兵士の王国」のために祈っているという。
合同結婚式の様子を見てみよう。
ペンシルベニア州ニューファウンドランドには、世界各地から式典に出席するため、多くのカップルが集まった。日本や韓国、ヨーロッパからも信者が訪れた。
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サンクチュアリー教会は最近、フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件でも使用されたAR-15ライフルを黙示録の「鉄の杖」の象徴として認めた。
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教会は、この式典はカップルに祝福を与えるもので、「形だけのもの」ではないと主張している。教会の責任者ティム・エルダー(Tim Elder)氏は、AR-15は「宗教的な携行品」に過ぎないと話している。
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銃の安全性は、この行事における重要な要素だった。出席者は教会の入り口でそれぞれの武器に弾が込められていないか、きちんとプラスチック製のひもで縛られているか、チェックを待っていた。
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出席者は人種的にも文化的にも多様だった。礼拝は、一部は韓国語で、一部は英語で執り行われた。タキシードやドレスを着ている人もいれば、ジーンズにNRA(全米ライフル協会)の帽子姿の人もいた。
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多くの人が冠を身に付けていた。中には、銃弾で作られたものも。
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冠は王の民であることを意味している。文牧師は式の最中に、「彼らが冠と鉄の杖を持った王や王女として立つことを我々は祈っている」と話した。
教会関係者もAR-15を手に、式に臨んだ。
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彼らは支持政党も明らかにしている。教会の1週間続く祝祭行事の中には「トランプ大統領に感謝する夕食会」が含まれている。
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しかし、この行事は反発も招いた。フロリダ州で合法的に購入されたAR-15を使った銃乱射事件で17人が死亡したのは、わずか2週間前のことだったからだ。
教会の外には、抗議する人たちの姿も。
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教会員たちは、式典は何カ月も前から計画されていたもので、フロリダの銃乱射事件を受けて計画されたものではないと主張している。アメリカでは、この事件をきっかけに銃規制を求める声が高まっている。
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それでも抗議の声は止まない。中にはピクルスを書いたボードを掲げる人の姿も。これは、文氏の「鉄の杖」の解釈は、「ピクルスの杖」とした方がよほど理にかなっていると主張するものだ。
ピクルスを書いたボードを持ち、教会の外で抗議する人たち。
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「(あなたたちは)コミュニティーの人々を怖がらせている」教会員に対し、デモ参加者の1人は言った。「それを分かっている? 」
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別のデモ参加者は言う。「(わたしも銃は所有しているけれど)自分の身を守るのに、攻撃用の武器など必要ない。それは人を殺すためのもの。それだけ。この武器が優れているのは、大量に人を殺すことだけ。それを賛美するつもり? 恥を知りなさい」
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だが、教会員たちは平然としている。「わたしは修正第2条を支持している」80歳の男性は言う。「この国で最近起きているのは、これを肯定するものだ。自分たちの面倒は自分たちで見なければならない」
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合同結婚式に出席した41歳の女性は、自身の武器が「頭のおかしな人間や邪悪なサイコパス」から家族を守ると言う。「人々には武器を持つ権利があるし、神の王国ではそれを守らなければならない」
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「この銃を見て、怖がる人もいるでしょう」70歳の女性は言う。「わたしも以前は少し怖かった」
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しかし、教会のすぐ向かいに住む59歳の女性は、もう十分だと言う。「全てがばかげている」女性はたばこを吸いながら話した。「彼らは自分たちが信じているものに本当に身を捧げているのよ。それがどんなものであれ、ね」
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(翻訳、編集:山口佳美)