北京でも開始、警察が顔認証メガネで車の乗員とナンバープレートをスキャン

北京の警官、顔認証メガネで通行人と車のナンバープレートをスキャン

EUTERS/Thomas Peter

  • 北京で警察が顔認証メガネのテストを始めた。
  • 2018年2月、河南省の州都・鄭州市の駅で使われ始めた顔認証メガネと同じもののようだ。
  • 中国は顔認証技術の利用を拡大している。全国民を3秒以内で認識する国家規模のデータベースの稼働に向けて動いている。
  • 新疆ウイグル自治区は高い監視体制が敷かれている。いずれ中国の他の地域にも及ぶと思われる。

北京郊外で、警察が顔認証メガネの使用を開始した。乗員と車のナンバープレートを数ミリ秒で認識する。

北京の高速道路の検問所で顔認証メガネが使われ始めたとロイターは伝えた

AI(人工知能)を使った顔認証メガネは、乗員の顔と車のナンバープレートを「ブラックリスト」とリアルタイムで照合し、リストと一致したときは警告サインを表示する。


顔認証メガネはLLVision製、同社は2月に中国河南省鄭州市の鄭州東駅で使われ始めた同様のメガネも製造。使用開始後すぐに交通違反から人身売買まで、複数の容疑者を特定し、当局から高い評価を得ている。

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中国では、監視技術および顔認証技術の利用が広がっている。すでに1億7000万台の監視カメラがあり、政府は2020年までにその数を3倍以上にしようとしている。国民2人に1台の監視カメラが存在することになる。中国の公安部は全国民を3秒以内で認識することを目指している。

専門家はプライバシーと人権の侵害を懸念しているが、製造元であるLLVision TechnologyのCEO、Wu Fei氏はそうした懸念には根拠がないと考えている。

「我々は政府を信頼している」とWu氏はロイターに語った。そして北京での顔認証メガネの使用は「崇高な目的」のためと付け加えた。

だが中国で高い監視体制にある新疆ウイグル自治区は、政府が国全体で計画しているであろうことの警告と言える。

新疆ウイグル自治区は住民の50%近くがイスラム教徒の少数民族ウイグル族、中国政府は監視体制を敷いている。顔認証カメラを各地に設置、車のナンバープレートは追跡され、移動の自由は厳しく制限されている。

新疆ウイグル自治区の当局は住民にスマートフォンに監視アプリをインストールするように求め、さらに住民のDNA、虹彩、指紋、血液型を収集している。しばしば住民が気づかないうちに。

2016年、新疆ウイグル自治区の警察は、住民の音声データの収集も始めた。これは、通話の録音記録から個人を特定可能な全国民を対象とした音声データベース構築への第一歩と言えるだろう。

中国の巨大な人口とプライバシーを軽視した法律は、警察と民間企業がこうしたテクノロジーにほぼ制限なしに取り組むことを可能にしている。テクノロジーが中国社会のあり方を劇的に変えそうだ。

[原文:Beijing police are using facial-recognition glasses to identify car passengers and number plates

(翻訳、編集:増田隆幸)

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