2011年の東日本大震災発生時、電話やメールがつながらない中で、大きな役割を果たしたのがSNSだった。特にツイッターは、被災地の状況や安否確認などにおいて重要な役割を果たし、以降、災害にとどまらず、緊急事態発生時の情報共有ツールとして定着している。
あれから7年。2018年の3月11日、SNSユーザーたちは「3.11」「東日本大震災」をどうつぶやいたのか。投稿をビッグデータで分析した。
分析には、ビッグデータ解析サービスを提供するユーザーローカル(東京)のソーシャルメディア解析ツールを利用。3月8日から12日にかけ、「東日本大震災」「3.11」のキーワードが含まれた投稿を抽出した。
投稿件数は「風化」していない
毎年3月8日から12日までの投稿件数。
ユーザーローカルのデータを基に作成
記憶は月日が経つにつれ、「風化」する。甚大な被害と犠牲者を出した被災の記憶が薄れていくことが懸念されているが、3月8日―12日のツイッターの投稿数を時系列で比較すると、年によって増減しているものの、減少傾向ということはない。2018年の投稿数は前年より増え74万9439件。もっとも、ツイッターのユーザー数は年々増加しているため、「関心が高まっている」と一概には言えない。
6割超が30代以上
投稿したアカウントの興味関心を、プロフィールなどから分析した。
震災をキーワードにした投稿者を年齢別でみると、30代以上が65.8%を占めた。分析ツールを提供したユーザーローカルによると、ツイッターの投稿は普段10ー20代が中心であるため、このテーマの投稿者の年齢層は、明らかに高い。また、投稿者の関心分野は「社会・政治」「旅行・観光」に次いで「スポーツ」が多い。インスタグラムの反響があった投稿にも、サッカー選手が目立ち、スポーツと地域貢献の関係の深さがうかがえる。
熊本県ユーザーの投稿増
※赤が最も高く、青に向かうほど低くなる。
投稿したアカウントの所在地を、地域別で比較した。単純に投稿件数を比べると、ツイッター人口の多い首都圏が突出するため、普段の利用状況を基に相対値を表示した。2014年と2018年を比べると、どちらも被災地の東北地方の投稿が明らかに多く、首都圏はやや減少している。また、2014年に比べると、2016年に地震を経験した熊本県の投稿が増加している。
青は名詞、赤は動詞、緑は形容詞。
「東日本大震災」「3.11」のキーワードが含まれる投稿によく見られる単語も分析した。同一の文に出てくることが多い単語同士を線でつないだ結果を図表化した。名詞をみると、「寄付」「復興」「ヤフー」などが結ばれ、「検索」の文字も目立つ。
Yahoo! JAPANは3月11日に、ユーザーが「3.11」と検索すると一人につき10円を復興支援に携わる団体に寄付するキャンペーンを実施。約419万ユーザーが参加し、寄付金額が約4200万円に達したと13日に発表した。図表からは、このキャンペーンに多くのツイッターユーザーが呼応していることが読み取れる。
動詞では「忘れる」「できる」「買う」「知る」などの単語がみられ、投稿者が3.11にどのように向き合おうとしているか、心の一端が垣間見える。
インスタでは芸能人やサッカー選手
インスタで反響が多かった投稿もまとめた。トップ10には俳優、女優、アーティストといった芸能人のほか、サッカー選手が目立つ。フォロワーの多いアカウントが、いいねも多く集める傾向があり、サッカー選手のインスタ利用度の高さも浮き彫りとなっている。
3月12日時点の数字。
桐谷美玲
長友佑都
Yoshiki
槙野智章
北川悠仁
(文・表、浦上早苗)