“桜の満開”時期はAIが知っている「桜の開花予想サイト」に仕組みを聞いてみた

夜桜

この時期にしか見られない桜を見逃さないように。

気象庁は3月17日、東京都 千代田区の靖国神社にある桜の標本木ソメイヨシノの開花を確認したことから、東京の開花を発表した。例年より9日も早い開花は、関東をはじめ各地の「春のお花見」スケジュールに影響を与えそうだ。

いつ満開になるのか? 気になる満開予想には、ビッグデータと機械学習などのAIの手法が使われている。異なるデータをもとに推定している2つの2018年版開花予想サイトに、その仕組みを聞いてみた。

1. ユーザーレポートが強い「ウェザーニュース さくらCh.」

ウェザーニュース

ウェザーニュースの「さくらCh.」。

ウェザーニュース

気象情報サイト大手のウェザーニュースも、桜の開花・満開予想を公開している。同社の強みは過去最大50年間分の統計データと、2004年から現在までに蓄積してきた約200万通のユーザーレポートだ。

●ウェザーニュースの満開予想の例

東京(靖国神社) 3月27日

名古屋(名古屋城) 3月29日

大阪(万博記念公園) 3月31日

(2018年3月18日18時時点、編集部にて確認)

https://weathernews.jp/s/sakura/

ウェザーニュースの広報担当によると、「アメダスを含む約1万3000カ所の気象データをベースに機械学習で開花状況を予測、その後各地から送られてくるレポートと全国700カ所の独自取材のデータを照らし合わせて、予測値を公開・更新している」とのこと。

同社は同じ仕組みで通年の天候情報などを公開している。ユーザーレポートを取り入れて精度の向上を狙う仕組みは、桜の開花状況報告から始まったことだと語る。

ユーザーはスマートフォンのアプリなどから投稿可能で、各地の開花状況も同アプリやウェブサイトで確認できる。お花見の名所ごとの予測にも対応している。

weathernews

ウェザーニュースのさくらCh.で明治神宮外苑の開花予報を表示したところ。

2. 今年からAIを活用する「お天気JAPAN」

お天気☆JAPANの桜予想

お天気☆JAPAN

島津ビジネスシステムズ

お天気JAPANは、島津製作所子会社である島津ビジネスシステムズが運営する気象情報サイトだ。同社は2018年よりAIによる桜の開花・満開予想を発表した。

●お天気JAPANの満開予想の例

東京 3月29日

名古屋 3月31日

大阪 4月2日

(2018年3月18日18時時点、編集部にて確認)

http://www.otenki.jp/sp/art/sakura/?pg=11

同社によると、従来は予報士が「満開予測式」を用いて開花と満開時期の予測をしていた。しかし、2018年からは過去10年にわたって蓄積された桜の開花データ約98万件と同期間のアメダスの情報をかけあわせて、AIによる予想モデルを構築した。

2017年まで全国137カ所だった予測対象地点は、AIで自動化することで1000カ所にまで拡大。更新頻度も2017年まではシーズン中に4回更新だったが、毎日4回更新になった。

またこの仕組みによって、全国610カ所の桜の名所スポットについて、「開花」「満開」予想だけでなく、「五分咲き」「七分咲き」「散り始め」「終わり」という各段階についても予想する。マップで位置を確認しながら、その地点の開花状況(推定)を確認できる。

さくらの開花予想

島津ビジネスシステムズはもともと気象予測データを各企業に販売してきたが、担当者は、「桜の開花予想でAIの精度を確認した後、桜と同じ“予測式”を用いている農学の分野にAIの技術を活かしていきたい」と話す。

テクノロジーの力で満開時期を逃さない

桜が落ちてしまっているところ

今年こそ「気がつけば、もう見頃ではなくなってた……」なんてことはなくしたい。

今回取材した2つ予測は、同じようにAIでの予想をしているといっても、集めるデータはそれぞれ異なる。花見の予定をつくるなら、複数のデータを見比べてより確からしい時期で検討してみよう。

(文、撮影・小林優多郎)

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