米軍のシリア空爆でマーケットは乱高下 —— 市場に緊張感が走る

ドナルド・トランプ大統領

Reuters

アメリカがシリアの軍事施設に対してミサイル攻撃を行ったことを受け、世界の金融市場ではリスク回避の取引が活発化した。トランプ大統領の今後の強硬外交に対する懸念が広がり、マーケットに緊張感が走った。

トランプ政権発足後初となる軍事行動により、直後のマーケットでは円と原油、金が急伸した。ブルームバーグによると、リスク回避のドル売り・円買いが広がり、円は一時、1ドル=110円10銭台まで強含んだ後、110円台半ばまで反転。原油先物が一時1.7%上昇、金相場は1オンス 1264.90ドルと4週連続高となるペースで、年初来でほぼ10%値を上げた。日経平均は午前11時12分に1万8517円まで値を下げ、取引時間中の年初来安値を更新したが、1万8664円で取引を終えた。

みずほ総合研究所の安井明彦・欧米調査部長は、「市場は株安円高リスクの回避傾向に振れる可能性が高いが、今後の状況次第」とした上で、「オバマ政権はシリアに対して断固とした対応を取らず批判されたが、トランプ大統領はここで空爆をしたことで、1つ断固とした決断を下した。これがどう評価されるかは、今後のロシア政府やアサド政権への対応にかかっている」と話した。

北朝鮮

安井氏は、今週に弾道ミサイルを発射するなど、強硬姿勢を強める北朝鮮に対する今後のアメリカの動向にも注意が必要だと言う。「マーケットにはトランプ政権が北朝鮮に対しても強硬な態度を取るだろうと予想する関係者も多いはず」 と話した。

今回のミサイル攻撃は、トランプ政権のアメリカ国内での支持率上昇を狙ったものだとの見方を示すのは、日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎中東研究センター長。「トランプ政権は前政権への非難を繰り返し、違いを打ち出そうと手を尽くしてきたが、効果は出ていない。本来であればアサド政権が本当に化学兵器を使用したのかどうか、証拠集めが必要な段階だが、もはや放置した方が政治的リスクが大きくなると判断したのだろう」といい、「支持率浮揚にはシリアへの攻撃が必要だった。これは米国第一主義と矛盾しない」と述べた。

田中センター長は、今回の攻撃は影響力を増すロシアへのけん制となるだけでなく、昨年のアメリカ大統領選にロシアが干渉したとの疑惑から目を逸らす意図もあるのではないかと指摘。「米軍にとって、59発のトマホークミサイルのコストは大したことはない。支持率浮揚のためにも、対外的に中東でのプレステージを高めるためにも、損のない行動なのだろう」と話している。

トランプ政権は6日(現地時間)、シリアの空軍基地を巡航ミサイルによる攻撃を行ったと表明した。アサド政権が今週に化学兵器を使った空爆で多数の民間人を殺害したことに対する対抗措置。ロイター通信によると、アメリカ国防省の報道官は、地中海東部に展開する米海軍の2隻の駆逐艦から、59発のトマホークミサイルがシリア政府軍の空軍基地の航空機、防空システム、燃料貯蔵庫などに向けて発射されたと述べた。

(編集:佐藤茂)

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