アディダスのスニーカー「ウルトラブースト」
Adidas
- 海洋環境保護に取り組むParleyと提携し、アディダスが販売する海に捨てられたプラスチックごみから作ったスニーカーは、100万足以上売れていることが分かった。同社が最近明かした。
- こうした持続可能な素材を使った靴は、多くの企業が参入したことで、市場で存在感を放ち始めている。
- コストやその他の理由によって、伝統的な素材以外のものを使う新たな常識が生まれつつあるようだ。
アディダスの持続可能なフットウェアの取り組みが成長している。
同社は3月、海に捨てられたプラスチックごみから作られたスニーカーが100万足以上売れていると明かした。スニーカーには、海洋環境保護に取り組むParleyが開発した、プラスチックごみから作った糸が使われている。
こうして生まれたスニーカーは、その他のアディダスのスニーカーと比べても、ほぼ見分けがつかない。しかし、こうした靴を作ることでもたらされる恩恵は、今後のフットウェア業界に大きな影響を与えそうだ。
100万足という数字は、アディダスの年間販売数に比べれば決して多くはない。Parleyと提携したこの靴の販売が始まったのは、約2年前のことだ。それでも100万足は小さな数字ではないし、一定の需要があることを示している。
アディダスとParleyの提携は2016年に期間限定でスタートしたが、2017年にはそのコレクションは増えた。
それぞれのスニーカーには、平均11本のペットボトルが使われていて、再利用されたプラスチックは靴紐やかかと部分、中敷などに生まれ変わる。
持続可能性に力を注いでいるのは、アディダスだけではない。履き心地にこだわったウール製のスニーカーで知られるAllbirdsは最近、ユーカリの木の繊維を使った靴を発表した。同社は、伝統的な手法よりも持続可能性の高い靴を作るのに、どのような素材が使えるのか見直す中で、この新しい素材に至ったと話している。
Allbirdsのコレクションは、その大部分が天然素材から作られている。同社のウール製のシューズも、これまでに100万足以上売れている。
Allbirdsの新しい靴には、ユーカリの木の繊維が使われている。
Allbirds
競合するスポーツウェア世界最大手のナイキも、靴作りに使う素材を見直し始めている。同社のコレクションの大半はレザーや石油系合成繊維から作られているが、レザーファイバーを再利用する新たな素材を開発した。
フライレザーと呼ばれるこの新素材は、レザーの切れ端を1つの素材としてまとめ直したもので、ナイキの製造プロセスで出るごみを減らし、伝統的なレザー製品をより持続可能性高く作ることができる。
ナイキはこれを「(同社にとって)二酸化炭素の排出量が史上最も少ないレザー素材」であり、素晴らしく上質な皮革だと話している。
持続可能なフットウェアは、多くの恩恵をもたらす。企業の環境への配慮をアピールするだけでなく、ごみを減らすことにもなる。
だが、これは将来、石油に大きく依存した伝統的な手法のコストが高くなりすぎたとき、全ての企業はこのような手法で靴を作ることになるだろうという大きな賭けでもある。海に捨てられたプラスチックごみを使ったスニーカーが限定版ではない持続可能な未来を垣間見るようだ。
ナイキ「フライレザー」
Nike
(翻訳、編集:山口佳美)