ウーバーは自動運転車の信頼性を問われることになる。
Gene J. Puskar / AP
- ウーバーの自動運転車が3月19日(現地時間)、アリゾナ州テンピで女性をはね、死亡させた。自動運転車が歩行者を死亡させた事故は初めて。
- ウーバーをはじめ、ウェイモ、GMなど自動運転車の開発に取り組む各社は、より高い安全性を証明する必要性に迫られる。
- ウーバーは2019年半ばに自動運転車を使ったサービスを開始しようとしていた。だが開始は延期されるだろう。
ウーバーの自動運転車が3月19日(現地時間)、アリゾナ州テンピで女性をはね、死亡させた。自動運転車が歩行者を死亡させた事故は初めて。
車は自動運転モードで走行中で、運転席にはドライバーも乗っていたと現地の警察は声明で述べた。ウーバーは「警察に全面的に協力している」とBusiness Insiderに述べた。
事故は自動運転車が登場して以来、ずっと残されていた懸念を浮き彫りにした。自動運転車を推進する人たちは、自動運転車は人間が運転するよりも安全と主張してきたが、彼らは今回の事故および今後発生するであろう事故は、自動運転テクノロジーの基本的な欠陥によるものではないと証明する必要に迫られる。
ウェイモ(Waymo)、GMといった企業、そしてウーバーは何年も自動運転車の開発に取り組み、数千マイルにおよぶ走行テストを行ってきた。今回の事故は自動運転車が歩行者を死亡させた初めて事故、これまで自動運転車の安全性については議論されてきたものの、ハイウェイで行われてきた数多くテストは密集した市街地での走行に比べると難易度の低いものだった。
市街地でのテストが増えるにつれ、各社は歩行者や交差点といった自動運転車にとってより難易度の高いハードルに直面している。重大事故は仮に発生数がわずかでも、少なくとも短期的な視点においては、議会やユーザーの意見に大きな影響を与えかねない。
ウーバーの事故は自動運転車にとって大きな後退となる
弁護士のニーマン・ローマニ(Neama Rahmani)氏は、今回の事故は自動運転車の開発を進めてきた各社にとって「大きな後退」となるだろうとBusiness Insiderに語った。
「かなり時間がかかると思う。安全性の問題は解決しなかればならないが、問題はまだ解明されていない」
2018年1月、ウーバーのCEOダラ・コスロシャヒ氏は、2019年半ばまでに自動運転車を使ったサービスを開始したいと語った。だが計画は延期されるだろう。同社は自動運転車を使ったサービスは、ドライバーが運転するよりも安全性が高いことを再度証明しなければならない。ウェイモは2018年末までに複数の都市で同様のサービスを開始する予定、またGMも2019年のサービスを予定しているが、2社がサービス開始を延期するかどうかは不明。
今回の事故はまた、自動運転車のテストを無人で(システムがミスをした際に介入するバックアップ用のドライバーを乗せずに)行うことを可能にした、カリフォルニアやアリゾナなどの州の新しい規制に対して疑問を呈することになるかもしれない。
他の新しい、革新的なテクノロジーと同様に、自動運転車は我々の生活を大きなスケールで、より簡単に、より安全なものにする可能性を持っている。いかに早く、各社が自動運転車を実用化できるかは、各社がいかに技術の発展とともに拡大していく問題を解決していくかにかかっている。
(翻訳、編集:増田隆幸)