サウスウエスト航空ボーイング737-300。
Southwest Airlines
- ボーイング737は、ベストセラーのジェット旅客機。
- 2018年2月までの総受注機数は1万4545機に上る。
- 1967年の初飛行以来、737は短距離路線から貨物輸送まで様々な役割を担い、世界の航空会社の柱となってきた。
737はどこにでもある。過去50年間に飛行機に乗ったことがあれば、ボーイング737に乗った可能性は高い。
737の受注数は1965年以来、1万4545機に上る。ボーイングは2018年3月半ば、サウスウエスト航空に1万機目となる737 MAX 8を引き渡した。
一方、同社で2番目に人気のワイドボディ機(客室内に通路が2つある機体)、ボーイング777の受注機数は2000機弱。だが長距離フライト向けの777の価格は737の数倍、航空機マーケットでのセグメントも異なる。
ボーイング737は長年にわたり、世界中で、頼りにされてきた。その汎用性の高さは驚くほど。1967年、50席の小型機としてデビューしたが、今では太平洋を横断できる座席数200席以上のモデルもある。
第4世代のMAXシリーズも登場、737は70歳を過ぎても順調に飛び続ける予定。
ボーイング737の素晴らしい歴史を見てみよう。
1964年、座席数50~60席、通路が1つのナローボディ機で50~1000マイル(約80~1600キロ)の短距離フライト向けの機体として開発がスタート。当時、同社で最も小さい機体だった727の約半分のサイズ。
ボーイング727。尾部の3基のエンジンが特徴。
Reuters/Mike Segar
出典:New York Times.
当時、ボーイングは大型ジェット機で有名だった。例えば、707や、
US Air Force/ Ken LaRock
エンジンを8基搭載したB‐52戦略爆撃機。
Chung Sung-Jun/Getty Images
そのため737はベビー・ボーイングと呼ばれるようになった。もともとの737は、今ならリージョナルジェットと呼ばれる類のものだった。
Boeing
開発期間を短縮するため、737の胴体の設計はより大型の707、727から流用。その結果、737の客室の幅は大型の機体と同じ。つまり、座席は横6列。
Boeing
それは今も変わらない。
Boeing
これはライバルのマクドネル・ダグラスDC-9に対するアドバンテージとなった。DC-9は横5列。
Flickr/Aero Icarus
最初の顧客は、ローンチカスタマーのルフトハンザ航空、ユナイテッド航空、マレーシア・シンガポール航空(現在のシンガポール航空、マレーシア航空)など。
Boeing
※ローンチカスタマー:新型機開発をサポートし、1号機を受け取る航空会社。
1967年12月、737-100の1号機をルフトハンザ航空に納入。機内で子どもに配られる本のキャラクターにちなんで「ボビー」と呼ばれた。
Lufthansa
試作機は商用利用されなかったが、NASAで試験機として数十年間活躍した。現在はシアトルの航空博物館に展示されている。
Wikimedia Commons/NASA
737-200は100型をもとに製造された。胴体がわずかに長い。200型のローンチカスタマーはユナイテッド航空、ルフトハンザ航空が100型の1号機を受け取った翌日に納入された。100型と200型はともにプラット・アンド・ホイットニーの低バイパス比のターボファンジェットエンジンJT8Dを搭載。
Lufthansa
ボーイング737-200は1988年まで製造された。
Reuters/Stringer
1981年、同社は「クラシック」と呼ばれる第2世代の737を発表。高バイパス比のターボファンジェットエンジンCFM56を搭載。100型、200型のエンジンよりも静かで、燃費とパワーも向上。
Flickr/Aero Icarus
737クラシックは、737-300(126席)、737-400(147席)、737-500(110席)の3種類。300型が最も人気で、1000機以上が製造された。
Flickr/Aero Icarus
1980年代半ば、エアバスA320ファミリーの登場によってナローボディ機の市場は劇的に変化した。エアバスが737の真のライバルとなった。
JetBlue
この脅威に対抗するため、ボーイングは1993年、第3世代の737を発表。600型、700型、800型、900型、900ER型は737ネクスト・ジェネレーション(737NG)と呼ばれる。
AP
737-700(149席)、初就航は1993年11月。
Flickr/Aero Icarus
737-800(189席)、1994年9月。
Norwegian Air
737-600(132席)。
Flickr/Shawn
737-900/900ER(220席)。
Boeing
737は世界中で使われている。アメリカン航空から、
AP
インドネシアのライオン・エア、
Boeing
ブラジルのゴル航空など。
REUTERS/Pilar Olivares
だが737にとってサウスウエスト航空以上に重要な航空会社はない。テキサス州ダラスを本拠地とする格安航空会社は、700機以上の737を運航している。
Southwest
アイルランドの格安航空会社ライアンエアーも400機以上を運航している。
RyanAir
ボーイング737は、手頃な価格と信頼性で新規の航空会社に多数導入されている。
AP
その汎用性の高さから軍用機としても使われている。輸送機や、
Reuters
対潜哨戒機P-8ポセイドンなど。
REUTERS/Jason Reed
貨物機もある。
Boeing
2011年、第4世代の737MAXが登場。CFMインターナショナルの最新エンジン「LEAP-1B」、新しいウイングレットとアビオニクス(飛行電子機器)を搭載。
Boeing
737MAXのラインナップは4種類。MAX 7(172席)から、
Boeing
MAX 10(230席)まで。これまでに4300機を受注し、売り上げを急速に伸ばしている。
Boeing
ワシントン州レントンにあるボーイングの組立工場は、しばらくの間、忙しい日々が続くだろう。
Boeing
[原文:The incredible history of the Boeing 737 — the best selling airliner of all time (BA)]
(翻訳:山口玲子、編集:増田隆幸)