アメリカに迫りくる“人口時限爆弾”、トイザらスの破綻はその第一歩か

トイザらスに来た子ども

トイザらスにショッピングに来た子どもたち。2003年、ニューヨーク。

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  • トイザらスは、アメリカ国内の700以上の店舗を閉店または売却する。
  • 同社は最新の年次報告書で、出生率の低下が売り上げに影響したと指摘した。アメリカでは2008年以降、出生数が急速に減少している。特にミレニアル世代の女性で顕著。
  • トイザらスは全米規模のおもちゃ小売チェーン、多くの小売事業者が厳しい恐々に追い込まれそうだ。

ミレニアル世代は、親世代とは違う。

ミレニアル世代とは一般的に1981〜1996年に生まれた世代で、前の世代よりも人種的な多様性に富み、大卒が多く、結婚が遅い。ミレニアル世代の女性の間では、親になることを先送りしたり、そもそも見送る人が増えており、アメリカの出生率低下に影響を与えている。2016年、15〜44歳の女性1000人あたりの出生率は62人となり、過去最低を記録した

エコノミストたちは、出生率の低下がアメリカ経済におよぼす影響を懸念している。人々が子どもを持たなくなると、経済成長は難しくなるからだ。

なかには、アメリカは「人口時限爆弾」を抱えるリスクに晒されていると指摘する人もいる。出生率の低下と同時に、高齢化が進む現象のことだ。日本は2016年、1899年に統計をとり始めて以来、始めて出生数が100万人を切り、2017年にはさらに減少、だが同時に高齢化も進んでおり、こうした現象の代表例とされる。

小売業者、特に新生児や子どもをターゲットにしている小売業者は、この現象に注目し始めている。最も新しい事例がトイザらで、同社は2017年の年次報告書に、アメリカの出生率の低下が売り上げ悪影響を与えている可能性があると記した。

「エンドユーザーのほとんどが新生児と子どもであり、当社の売り上げは、事業を展開する国の出生率に左右される」と年次報告書に記した

「近年、多くの国で出生率が低下もしくは停滞し、教育レベルと収入が上がっている。これらの国で新生児と子どもの数が大幅に減り続ければ、当社の事業に重大な影響を与えかねない」

トイザらスは、アメリカ国内735店舗の閉鎖または売却を発表した。トイザらスの破綻は、アメリカの出生率の低下だけが原因ではない。同社はオンライン小売業者との競争の激化、負債、オンラインゲーム人口の増加、工場での人件費の増加なども事業に影響したと述べた。

だが、同社が子どもの減少に懸念を示したことは、ビルド・ア・ベア・ワークショップ(Build-A-Bear Whorkshop)のような有名おもちゃブランドから独立系玩具店まで、様々な同業者に新たな問題を突きつけたのかもしれない。雑誌ニューヨークは2017年、地元の玩具店の中には売り上げが伸びず「全商品が超特価セール」になっている店もあるという記事を掲載した

トイザらス新店舗オープン

トイザらスの新店舗オープン。1990年。

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アメリカでは第2次世界大戦後、20年間にわたってベビー「ブーム」が起こり、子どもをターゲットにした小売業者に潜在顧客を提供し続けた。トイザらスは1957年、ワシントンD.C.に1号店をオープン。ベビーブーム世代がまだ若かった頃だ。

ベビーブーム世代はアメリカ史上最も人口の多い世代だが、ピュー・リサーチ・センターは2019年にはミレニアル世代がベビーブーム世代を追い抜くと予測している

トイザらスの売り上げは、1990年代はじめに落ち始めた。ちょうどその時期に出生数も減少し始めた。そして出生率の減少は2007年の世界金融危機の最中に加速した。トイザらスは玩具に注力した全米規模の小売りチェーンだった。その衰退は、1つの時代の終わりを表しているのかもしれない。

[原文:Toys R Us says millennials not having kids hurt the company — and it could be because of a looming 'demographic time bomb'

(翻訳:山口玲子、編集:増田隆幸)

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