中国発展フォーラムに登壇するティム・クック氏(2018年3月24日、北京)。
Reuters
- ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルに関する質問に応じたアップルのCEOティム・クック氏は、状況は「切迫している」と述べた。
- クック氏は、誰が何を閲覧し、誰と連絡を取ったかが分かる個人データに他者がアクセスできる機能は「存在すべきでない」と語った。
- アップルのビジネスモデルはフェイスブックとは異なり、広告ターゲティングで儲けることはしていない。
フェイスブック(Facebook)がここ2週間直面しているケンブリッジ・アナリティカのデータをめぐるスキャンダルについて、アップルのCEOティム・クック氏が口を開いた。
イギリスのデータ会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)がフェイスブックの独自のツールを不正に使用し、5000万人以上のユーザーのデータを取得したとされるこの疑惑は、フェイスブックの市場価値を大幅に低下させ、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏を謝罪に追い込んだ。
24日(現地時間)、中国でスピーチを行ったクック氏は、フェイスブックの名前に直接言及することはなかったが、状況は「切迫している」と述べ、規制が不可欠だとの考えを示した。ブルームバーグが報じた。
同氏は語った。
「状況は切迫しており、これほど大きな問題となったからには、適切な規制が不可欠だろうと考えている」フェイスブックの件に関連し、データの使用は制限されるべきかを問われたクック氏は答えた。「何を閲覧しているか、どんな人とつながっているか、さらにその人たちが誰とつながっているか、何が好きで何が嫌いか、私的な生活の詳細を他者が知る機能は、わたしから見れば存在すべきでない」
クック氏は続けた。
「我々は以前から、多くの国で人々が個人データを差し出していることを懸念してきた。それがどういうことなのか、そうして集められた情報がどんな風に利用されているのか、よく理解しないままに、だ。この先、何かが起きて、これまで気付かないうちに何をされてきたかを知れば、人々は腹を立てるだろう。こうした予測は、残念なことに1度ならず現実のものとなっている」
他のテック大手とは異なり、アップルは広告ビジネスを主な収入源とはしていない。
同社はプレミアムなコンピューター機器を売ることで儲けを出し、ユーザーのプライバシーやセキュリティーを守ることで顧客を喜ばせている。つまり、グーグルやフェイスブックのように、広告ターゲティングのためにユーザーのデータを集める必要もアップルにはないのだ。
アップルは最近、自社のプライバシー保護に対する意識の高さをマーケティングやプロモーションにも活用、「アップルでは、我々はプライバシーを基本的人権と信じている」とアピールしている。
アップルのこうしたスタンスは、少なくとも2010年のスティーブ・ジョブズ氏がCEOを務めていた頃までさかのぼることができる。
同社のビジネスモデルは、特にアンドロイドの携帯電話に比べ、iPhoneユーザーのプライバシーを堅く守ることを可能にしている。例えば、24日の報道によると、フェイスブックはアンドロイドの携帯電話から取得したメールや通話の記録(時間、相手)を含むユーザーのデータを保存していたという。
iPhoneは、フェイスブック・アプリにこうしたデータを取得できる機能を与えたことはない。
(翻訳、編集:山口佳美)